⑤ 地震考古学~21世紀の巨大地震を考える -歴史から探る関西の地震:産業技術総合研究所 活断層・火山研究部門 寒川 旭 名誉リサーチャーの動画を紹介~

産総研サイエンスカフェ in 関西 「21世紀の巨大地震を考える -歴史から探る関西の地震-」【産総研公式】

■21世紀の巨大地震を考える -歴史から探る関西の地震

近々、起きることが懸念されている南海トラフの巨大地震ですが

最近の 2 千年間について、発生の歴史が概ねわかっています

⇒江戸時代では 1707(宝永 4)年と 1854(安政元)年の2回ですが、

⇒大阪平野では激しい揺れが長く続いて多くの家屋が倒壊しました。

⇒この時、大阪湾に押し寄せた津波が、道頓堀などの水路をさかのぼって、大坂の市街地の一部が泥水に被われました。

一方、関西圏には活断層が多く、大きな地震を引き起こしています

⇒豊臣秀吉の時代である 1596(慶長元)年には、京都から大阪・神戸を経て淡路島まで続く活断層によって「伏見地震」が発生しました。

⇒そして、1995(平成 7)年には淡路島の野島断層が「阪神・淡路大震災」を引き起こしています。

出典:能登半島地震と関西ー歴史を通してこれからの地震を考えるー寒川 旭 2024年4月2日 大坂自由大学特別講座

今年は 2011 年 3 月 11 日の「東日本大震災」から5年目です。

想定外と言われた巨大地震ですが、

実は、同じような地震が平安時代前期の 869(貞観 11)年に起きていました。

そして、1000 年余の年月を隔てた

9 世紀と現代を比較すると、

地震の起こり方がよく似ているのです。

・このように、古文書・日記などの記録や、考古学の遺跡で見つかった地震痕跡から

⇒過去の地震が復元できて、多くの知識が得られます。

出典:能登半島地震と関西ー歴史を通してこれからの地震を考えるー寒川 旭 2024年4月2日 大坂自由大学特別講座

津波堆積物等の地質学的情報と古文書情報の新たな視点の提供

M9級の3.11は貞観地震(869年)以来の地震であったのか?

地道な津波堆積物調査から

⇒過去3,000年間で4回の巨大津波による津波堆積物が宮城県から福島県にかけての太平洋沿岸で見つかっている。

1回は、864年の貞観地震によるもが確認されている。

⇒もう1回は次のいずれか。1455年の享徳地震(M8.4以上、室町時代:歴史的記録が少ない)、1611年慶長三陸地震(M8.4以上、伊達政宗が仙台藩を統治していた時代)。

 尚、貞観地震に匹敵する巨大地震が室町時代(享徳地震)にも発生していた可能性が高いことが、東北沖地震の前年に指摘されていた。

⇒他の2回は(4世紀、紀元前4~3世紀)

⇒下図の600年サイクルも浮かび上がる

出典:https://www.eri.u-tokyo.ac.jp/YOTIKYO/OpenReport/H30/H30SeikaGaiyo.pdf 「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画」平成30年度年次報告 科学技術・学術審議会測地学分科会 地震火山部会

出典:「新菱沼津波堆積物地層」提供/岩沼市教育委員会

注:宮城県岩沼市教育委員会の調査によって発見された津波堆積物のある地層。いちばん上の白っぽい第1層は東北沖地震で堆積した。第4層と第8層も津波堆積物の可能性がある。放射性炭素年代測定などの結果から、第4層の年代は16〜17世紀ごろ、第8層は8〜9世紀ごろと推定している。

【追加情報(2024年3月17日):600年サイクル説に関連する情報

「そろそろ満期だ」M9クラスが約300年に1回発生“千島海溝巨大地震”の怖さ 震度3でも津波10m超のケースも(tbc 東北放送)

https://news.yahoo.co.jp/articles/709dd493745c27338acc82702841770720a4d12b?page=1

今後、高い確率で発生が予想される巨大地震に、北海道沖を震源とする千島海溝地震があります。宮城でも10メートル以上の津波が予想されていて、専門家の観測で、それを裏付けるプレートの動きも見えてきました。

■巨大地震「千島海溝モデル」とは

北海道沖の千島海溝沿いや三陸沖の日本海溝沿いでマグニチュード7以上の地震が起きた場合に、その後、発生する可能性があるマグニチュード9クラスの巨大地震への注意を促す情報です。

・この巨大地震による宮城県の被害想定は、「日本海溝モデル」が震度6強で津波の高さは16メートル、津波による死者は8500人。

・一方、「千島海溝モデル」は、震源が遠いため震度は3以下ですが、津波の高さは11メートルで、震災後に整備された防潮堤を越える計算です。死者は5200人にのぼります。

場合によっては、前震にあたる地震が無く、

注意情報が出されず

いきなり北海道沖の千島海溝沿いや三陸沖の日本海溝沿いでマグニチュード9クラスの巨大地震が起こるケースもあります。

1611年の『慶長三陸地震』での大津波とは

・慶長16年、1611年に宮城を襲った慶長三陸地震。大津波により仙台藩で1783人の犠牲者が出ました。

岩沼市の沿岸部では、この慶長津波と、869年の貞観津波、そして、13年前の東日本大震災という3つの津波の痕跡を示す地層が2013年に見つかりました。現在、この地層は市の図書館に保存されています。

ところで、この慶長三陸地震については、震源は三陸沖と推定されてきました。

■慶長三陸地震の震源は千島海溝だった可能性が

・産業技術総合研究所の岡村行信さんは、「実は千島海溝が震源だった可能性がある」と考えています。

「ほぼ同じ時期に北海道の東部、十勝から根室沿岸に巨大津波が発生したということが分かっています」

⇒これは、北海道東部の浜中町で見つかった地層です。17世紀前半に津波が押し寄せたことを示す砂の層がみられます。

⇒岡村さんは、この津波はかなり内陸まで届いたとみられることから、震源は千島海溝付近で、これが慶長地震として宮城にも津波をもたらしたとみています

⇒「(北海道東部の)当時の海岸から3キロ4キロ内陸側まで砂が運ばれていったと、そういう砂の層の分布が見つかっているわけですね。

⇒慶長三陸津波は、北海道道東付近(千島海溝)の巨大地震によって発生した可能性があると考えています」

出典:https://www.nishinippon.co.jp/image/424092/ 西日本新聞 M9で死者19万9000人想定 日本海溝・千島海溝地震 津波早期避難なら8割減 (2021年12月22日)

9世紀の地震活動を復元すると

・東日本各地で約50年間にわたって

内陸地震が発生したた後、

⇒東北地方の太平洋沖のプレート境界で巨大地震が発生(869年:貞観地震)

・西日本でも少し遅れて内陸地震が多くなり

⇒さらに相模湾で大型地震

⇒南海トラフから巨大地震が発生するという道筋をたどる。

出典:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jaqua/52/5/52_191/_pdf 地震考古学に関する成果の概要 寒川 旭

■この時期に噴火した火山

F:富士山、C:鳥海山、K:開聞岳

出典:サブタイトル ⑤ 今年316年、宝永からマグマを溜め続けた富士山・・次の大噴火は「これまでにないステージの始まり」となるか  鎌田 浩毅氏(京都大学名誉教授)の記事(2023.12.15現代ビジネス)を転記~より

<参考情報:相模湾(元禄関東地震)⇒宝永地震⇒富士山宝永噴火>

■21世紀の巨大地震(考古学における地震災害の情報より転記)

出典:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jasdis/9/0/9_24/_pdf 考古学における地震災害の情報 寒川 旭

南海トラフから発生するプレート境界の巨大地震の発生年月日

⇒文字記録によってかなり把握されている

⇒一例として、日本最古の歴史書である『日本書記』の記述から

⇒684年11月29日に(白鳳)南海地震が発生したことがわかる。

トラフの西半分から生じる南海地震

⇒文字記録から

⇒887年・1099年・1361年・1605年・1707年・1854年・1946年に発生したことがわかる。

⇒しかし、近世には豊富な文字情報も

それ以前では乏しくて、

地震があっても記録として残っていないことが多い

■文字記録から地震の発生年を考える

・1099年と1361年、13061年と1605年の間には、262年と244年となって

通常の二倍の間隔となる。

南海地震に極端に大きな間隔があるのか?

それとも、記録に無い南海地震が存在していたのかという疑問が残る

■考古学の発掘調査

・四国南西部の高知県四万十市にあるアゾノ遺跡(1:図2に示した番号)

・四国東部の徳島県板野郡板野町にある宮ノ前遺跡(2)等では

15世紀末頃の液状化跡が見つかっている

これは四国全体を揺らす南海地震の存在を示唆している。

出典:https://kansai.main.jp/swfu/d/jishin20230516.pdf 地震講座「どうする秀吉 天正地震と慶長伏見地震」

出典:https://www.youtube.com/watch?v=qFXeS4VMex8 地震講座第2回「不運な綱吉 南海トラフの巨大地震」

・一方では、大阪府堺市の石津⁀太神社遺跡(3)

・和歌山県南端の那智勝浦町にある川関遺跡(4)

1200年代初頭の液状化跡が見つかっており

これも南海地震の痕跡である可能性が高い。

もし、この2回の南海地震が存在したとなると

少なくとも684年以降(日本書記の記録)は

⇒200年以内の間隔で、かなり規則的に発生し続けたことになる

トラフの東半分から発生する東海地震についても

記録にない年代の地震痕跡が認められている

⇒静岡県の坂尻遺跡(6:袋井市)や川合遺跡(7:静岡市)

⇒更に愛知県一宮市の田所遺跡(5)の

液状化跡は7世紀後半の年代となり

日本書記の白鳳南海地震(684年)に対応するような

東海地震が存在した可能性が高い。

出典:https://www.youtube.com/watch?v=qFXeS4VMex8 地震講座第2回「不運な綱吉 南海トラフの巨大地震」

21世紀に南海トラフから巨大地震が発生すると言われているが

出典:https://www.youtube.com/watch?v=qFXeS4VMex8 地震講座第2回「不運な綱吉 南海トラフの巨大地震」

南海地震と東海地震(別の表現では:東海・東南海地震)は、

ほぼ、同時に発生しているように思える。

⇒これを考慮すれば

⇒1707年の宝永地震のようにトラフ全体から1つの地震として

あるいは、1854年の安政東海地震と安政南海地震のように連続して発生する可能性が高い。

出典:https://www.youtube.com/watch?v=qFXeS4VMex8(左図、真中図)

出典:左上図)内閣府 南海トラフの巨大地震モデル検討会 右上図)NHK:明日をまもるナビ:火山灰の脅威に備える 徹底検証 富士山噴火(3) 左下図)https://www.youtube.com/watch?v=zpEXTV4p6Yg 

出典:https://kansai.main.jp/swfu/d/jishin20230530.pdf 地震講座第3回「悩んだ道真 九世紀の地震と現代」

■9世紀の大地震と最近の大地震

類似性

内陸地震の多発後に

巨大地震が発生

出典:https://kansai.main.jp/swfu/d/jishin20230606.pdf

<参考情報:岩手・宮城内陸直下型地震:2008年>

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: image-29-1024x516.png

出典:ウェザーニュース 【地震解説】岩手県沿岸北部でM6.1 震度5弱 20224年4月2日

出典:JIJI.COM 2024.2.24

出典:https://weathernews.jp/s/topics/202304/060275/ ウェザーニュース

■南海地震の発生パターン

内陸直下型地震の多発後に

南南地震が発生

出典:https://www.npo-lso.or.jp/earthquake/index.html

出典:能登半島地震と関西ー歴史を通してこれからの地震を考えるー寒川 旭 2024年4月2日 大坂自由大学特別講座

出典:https://kansai.main.jp/swfu/d/jishin20230530.pdfとhttps://kansai.main.jp/swfu/d/jishin20230606.pdfの図を組合せにして編集

出典:http://ares.tu.chiba-u.jp/marulab/note/bosai/Lec4.pdf 防 災 工 学 第4回 千葉大学 工学部 都市環境システムコース 丸山 喜久

出典:既存各出典先を編集