② 身の回りで起こり得る災害シナリオと被害の様相(常用薬不足と避難食の偏食化も含む)~東京都総務局総合防災部防災計画課より~

■首都直下地震を想定して

千葉県北西部直下地震・房総半島東方沖日本海溝沿い地震も想定し、

数秒で『安全ゾーン』に移動できる空間を整備する

あなたは何階に住んでいますか? 1階は震度5強でも10階では震度7!? 高層ビルの危険を実験で検証

出典:あなたは何階に住んでいますか? 1階は震度5強でも10階では震度7!? 高層ビルの危険を実験で検証 CBCニュース

出典:https://www.pref.chiba.lg.jp/bousaik/higaisoutei/documents/02shou.pdf 平成26・27年度千葉県地震被害想定調査報告書

高層マンションの長周期地震対策例を参考にして

冷蔵庫はベルト式固定器具で壁に固定するなど、転倒防止対策を行う

・食器棚などの家具類には、ラッチ付きのものを使用するか、飛び出し防止対策をする。

・電子レンジ・テレビなどの家電製品は、ベルトやゲル等の耐震グッズで固定する

日常的に動かすキャスター付き家具類は、動かさない時はキャスターをロックし、着脱式ベルトなどで固定する。

・テーブル・椅子等は滑り止めをし、使用しない時は動かないようにする。

・家具は転倒防止対策を行う。壁に直接固定できない場合は、長押(下地材)を張ってそれに固定する。

・吊り下げ式照明器具は、天井から数本のチェーンや釣り糸などで揺れ防止を取る。

・エアコン器具や蛍光灯は、落下防止対策をする。

・出入り口に、割れ物や家具類は置かない。

・飛ばされそうなものは床に置かず、壁などに固定する。

フロアごと、部屋ごとに「安全ゾーン」を設定する。

・フロアごと、部屋ごとに「飛ばされ防止手すり」を設置する。

※「安全ゾーン」とは、地震時などに身を守る安全なスペースのことで、ガラスから離れた場所で、転倒落下物の少ない、閉じ込められない場所。

絶対安全ではなくても

居る場所から数秒で行ける、より安全な場所を設定する

例、空きスペースや玄関など

国土交通省の長周期地震動対策の対象地域内(1-(6)図の緑色で示す範囲)に存在し、00年5月以前に建築された既存の超高層建築物等は、南海トラフ巨大地震による長周期地震動の影響を受けるおそれがあるとされている。

国は南海トラフ巨大地震発生時、最悪の場合三大都市(大阪、名古屋、東京)の沿岸部で、揺れ幅2~4mの長周期地震動の揺れが10分以上続く可能性があると推計している

その時、東京は最大震度5強であっても、東日本大震災の倍の揺れ幅の長周期地震動の大揺れが長く続き、対策を行っていない高層マンションや高層オフィスなどの上層階では被害が出る可能性がある。

【被害甚大】首都直下地震で起きる実際の被害、そして圧倒的に不足する応援部隊などなど、意外と知らない話を解説!

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■首都直下地震等による東京の被害想定(令和4年5月25日公表)

東京都総務局総合防災部防災計画課(身の回りで起こり得る災害シナリオと被害の様相)

https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/taisaku/torikumi/1000902/1021641/index.html

最初の3日間は断水・停電(ガス供給停止)になると想定する。

身の回りで起こり得る被害の様相(1)

インフラ・ライフラインの復旧に向けた動き

発災後当面の間は、

ライフラインの途絶や公共交通機関の寸断など、

身の回りの生活環境に大きな支障が生じるとともに、

被害が甚大な場合は、その復旧が長期化するおそれがあります。

身の回りで起こり得る被害の様相(2)

救出救助機関等による応急対策活動の展開

⇒建物倒壊などにより至るところで道路が閉塞し、

救出救助部隊や、被災者が必要とする物資の円滑な移動が困難を極め

消火・救助活動や被災地支援が遅滞し、長期化するおそれがあります

⇒また、隣接県でも甚大な被害が発生し、都外からの応援が十分得られない可能性があります

身の回りで起こり得る被害の様相(3)

避難所での避難生活

避難所では、発災直後から多くの被災者が殺到し、

避難所運営が混乱するだけでなく、

物資の不足やトイレの衛生環境の悪化

プライバシーの確保や避難者間のトラブルなど様々な課題が発生する可能性があります。

能登半島地震の避難所事例①:常時服用薬の不足に直面

多くの避難所で「クスリがなくなる…どうしたらいいのか」と質問を受けた

出典:https://hc.nikkan-gendai.com/articles/279960?page=2

私の病院のチームは

⇒避難所を回ったのですが、そのほとんどすべてのところで聞かれたのが、

「もうすぐ年末に処方してもらったクスリがなくなるけど、どうしたらいいのか」という話でした。

高齢の避難者の中には、疾患のために継続的にクスリを服用・使用している方が非常に多くいらっしゃいます

・大規模災害の場合、家屋だけでなく病院や薬局も同様に被害を受けていることも多く、

受診できないケースも想定されます

⇒また、道路も被害を受けているため、

⇒仮に病院が診療を再開していたとしても、そこに行けないという状況が多く発生します

⇒健康の維持、疾患の治療のためにはクスリを服用・使用しなければなりませんし、

⇒いつまで続くかわからない避難生活の中でクスリがなくなってしまうことも十分に考えられます。

そもそも大規模災害は突然起こるので、

避難するときにクスリを持っていくこと自体、不可能に近いかもしれません。

大規模災害の発災直後の医療は

被災者の救命を目的としていますので主に緊急性の高い患者の診療を行う。

・これは発災直後から数日間続きます。

⇒その後、避難所にいる方の診療、クスリへの対応が始まります。

今回のような大規模災害などで病院の受診が困難な場合、

特例で病院を受診しなくても薬局でクスリを受け取ることができるケースがあります。

ただし、誰でも受け取れるというわけではありません。

お薬手帳(もしくはお薬説明書)で

継続的に服用・使用している

クスリの内容が

確認できる必要があります

⇒正確に言うと、そういった情報をもとに調剤しクスリが交付されるのですが、

⇒事後で病院や診療所から処方箋を発行してもらうという流れになります。

ここで注意してもらいたいのが、

あくまで「継続的に服用・使用しているクスリに限る」という点です。

体育館の冷たい床に今も雑魚寝、高齢被災者に過酷な避難所…「このままでは関連死防ぐの難しい」

(出典:読売ONLINE 2024/02/02  https://www.yomiuri.co.jp/medical/20240202-OYT1T50032/

急激な環境変化に伴うストレスは高齢者の持病を悪化させかねない。

⇒高血圧の場合、命にかかわる心臓や血管の病気を招く恐れがある。

⇒心臓病などの急変は、発災当日から起こり得る。

翌2日早朝、幸子さんは普段と変わらぬ様子で近所の人と話していた。しばらくして異変が起きた。「胸が痛い」と訴え、顔色が真っ青になった。幸子さんには高血圧の持病があった。

忍さんの運転で地元の病院に連れて行った。道路の地割れのため、ゆっくりとしか進めない。

 午前11時に到着、検査を受けると「大動脈が破裂しかけている」と説明された。ドクターヘリを要請してくれたが、昼頃に容体が急変し午後1時過ぎ、息を引き取った。

「いつもにこにこ笑っている人だった。本当に元気だったのに、あまりに突然で信じられない」と忍さん。輪島市に災害関連死の申請をするつもりだという

■避難所のストレスに寒さや栄養が偏った食事が重なると高血圧が悪化する。

・床で雑魚寝だとホコリを吸いやすく、睡眠不足にもなるため、肺炎のリスクが高まる。

⇒奥村教授は「災害関連死を防ぐには、避難生活の環境をどれほど改善できるかがカギを握る」と話す。

広範囲に断水が続き、衛生環境が改善しない避難所も少なくない。

同市内の別の避難所でも、同様に被災者が床に敷いたマットレスの上で寝ていた。この避難所に身を寄せる小路貴穂さん(52)は「すきま風が入るし、夜は寒い。団体生活にもストレスを感じる。こんな生活がいつまで続くのか」と不安を訴える。

⇒「じっとしていて筋力が低下し、一人でトイレに行けなくなった人もいる」と話す

「環境の変化により、不眠や不安を訴える人の相談が続いている。

⇒認知機能の低下も懸念される」と話す。

⇒食事以外は部屋にこもる人もいる。

能登半島地震の避難所事例②:避難食の偏食化に直面

「能登半島地震」避難所の食事の現状…高脂質、高塩分のメニューが続き体が悲鳴

出典:日刊ゲンダイ(yahooニュース1/30 9:06配信)

能登半島地震発生から約1カ月が経った。日々報道されているように能登半島内でも地域によって状況はさまざまで、いまだ栄養のある食材が十分に行き届いていない地域や避難所もある。

一方で、食べる物はあるが、栄養面では問題が散見されるところもある。ある避難所で炊き出しを行う男性の声を届ける。

現在、男性が懸念しているのは避難所の食事内容の偏りだ。

「私が行っている避難所では、という話ですが、企業さんから食事が提供されるようになり、食べることはできるようになっています。

食のフェーズが、命をつなぐものから健康を守るものへと切り替わる段階にあるのです。しかし……

同じ献立が続くことも  4日間、大手の外食チェーンが炊事に入った時は、次のような献立だった。

【1日目】 昼食:豚丼、豚汁、サラダ 夕食:牛そぼろ丼、トマトスープ

【2日目】 昼食:ハンバーグ丼、豚汁、サラダ 夕食:カレーライス、豚汁

【3日目】 昼食:カルビ丼、豚汁、サラダ 夕食:のり弁(磯辺揚げ、唐揚げ、コロッケ、白身魚フライ)、豚汁、サラダ

【4日目】 昼食:イカ焼き 夕食:唐揚げ弁当

避難所にいる300人近い人の7割ほどが60代以上の高齢者です

脂っこいお肉や揚げ物がメインの高脂質、高塩分の食事が連日続き、かなり参っています。

一方、自宅で避難生活を送っている方は肉などが不足していると聞きます。

食を提供する側と提供される側のマッチングがうまくいっていない」

また、企業の炊事は数日間限定の単発的なもので、前後の食事内容などを考慮していない。

「だから、カレーや丼など同じメニューが続くことは珍しくない。

かつ、避難所に炊事に来てくれる企業さんは、大手チェーン店がほとんどです。

災害時に避難所などで提供された食事で、

健康を害する恐れがあることは、専門家からも指摘されている。

男性は「避難所生活が数カ月にわたる可能性も考えると、統括的に栄養面や献立を管理する専門家が派遣されればいいのですが」と締めくくった。

■身の回りで起こり得る被害の様相(4)

住み慣れた自宅等での避難生活

⇒建物に大きな被害がなくても、

⇒家具や家電製品等が、転倒・移動し、下敷きになったり、人に衝突する可能性があります。

また、排水管など建物内の設備の損傷等により、

トイレやエレベーターが長期間に渡り使用できなくなる可能性があります

ただし、家具転倒防止や携帯トイレの備蓄など必要な備えを行えば

プライバシーが確保され、住み慣れた自宅に留まることは有効です。

■身の回りで起こり得る被害の様相(5)

・帰宅困難者をとりまく状況

⇒携帯電話の不通などにより、

家族の安全が確保できず、

⇒多くの人が自宅などに帰ろうとしますが、

道路の閉塞や延焼火災、余震による看板の落下などが至るところで発生し、

帰宅困難者自身の安全確保にも重大な支障が生じる可能性があります。

■地震が発生したらすぐに避難するための備えとは?

■大阪府北部の地震(Mj6.1)に学ぶエレベータ対策

2018年大阪府北部地震(活断層による直下型地震)では

6万基を超えるエレベータが緊急停止し、300人を超える人が閉じ込めになりました。

大阪府と兵庫県のエレベータの約半数が止まるという前代未聞のできごとでした。

Mj6.1と余り大きな地震ではなかったので長周期の揺れは少なかったのですが、

直下の地震だったため、

P波とS波の時間差が少なく、

地震時管制運転装置が付いたエレベータを中心に緊急停止し、

閉じ込めが発生してしまいました。

◎海溝型地震のように震源が離れていれば、

緊急地震速報が間に合い、

P波到達後の余裕もあるので最寄りの階に自動停止が可能なのですが、

直下の地震では閉じ込めの危険があります。

そういう意味では、首都直下地震でのエレベータ閉じ込めが心配です。

東京だけでも16万台ものエレベータがあり、とくに高層エレベータは途中階を飛ばすので、気がかりです。

出典:https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/614d350fcf3b15c7ea6965c6c6970087b68514f5 東日本大震災から10年、長周期地震動で大きく揺れた高層ビル、その後の対策は 福知伸夫 名古屋大学名誉教授、あいち・なごや強靭化共創センター長

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