■標的生検結果 説明時の確認項目と内容
1.ガン検出の有無と検出数・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P2~3
⇒グリソンスコアと低・中・高のどの分類に入るか?
2.病理診断書の確認(前立腺がんの予後不良因子)・・・・・・・・・・P5~6
・クリブリフォーム:顔つきの悪いがん細胞
⇒ふるい状構造の腺管
(ロボット全摘症例:3年で約40%、5年だと60%の人が再発/三重大・愛知医大)
・IDC–P:正常の基底細胞に囲まれた広い管腔内にがん細胞が増殖
⇒初回の針生検におけるIDC–Pの存在はグリソンパターン5よりも予後に影響
(ロボット全摘症例:3年で約50%、5年だと55%の人が再発/三重大・愛知医大))
※手術時からすでに転移があったと思われる方が一定数おられた
※高・超高リスクで上記の特徴を持つ300名の患者を対象
3.病期診断(標的生検でがん細胞が検出された場合)
3-1.リンパ節転移の診断
・CT検査:8㎜以上の腫瘍サイズ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P8
・MRI検査:約8mm以上のリンパ節転移を検出することが可能・・・・・・・P10
・PET-CT検査:約4mm以上のリンパ節転移を検出することが可能
⇒リンパ節ガンの平均サイズ:1.8㎜(高リスク)・・・・・・・・・・・・・P9
3-2.骨転移の診断・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P11
・骨シンチで表示できる転移には限界(転移の見逃し)がある
⇒放射性同位元素(ラジオアイソトープの略)を静脈注射し、各臓器や組織に集まる状態を 撮影し、機能や形態を調べる検査です。
■DWIBSは2020年前立腺がんの骨転移を調べる検査に保険収載
・診断条件:
①未治療でPSA ≧ 10ng/mL、かつ直腸診陽性またはGleasonスコア ≧ 8の前立腺がん症例、および骨転移を示唆する症状のある前立腺癌症例の骨転移検索症症
・窓口支払額(3割負担:6,910円、別途加算負担:1,800円:計8,710円)
■PSMA-PET:非保険(25万円)・・・・・・・・・・・・・・・・・・P14~15



































■経会陰(けいえいん)式前立腺針生検
通常、二泊三日の入院で行います。
MRIにて
前立腺がんの病巣の場所が
腹側に近い場合や内腺領域にある場合などに、
経会陰式針生検法を行うことがあります。


肛門から超音波の機械を挿入することは経直腸的前立腺針生検と同じですが、
会陰部の皮膚から生検を行うため、
腰椎麻酔により手術室で行います。
麻酔の影響で排尿が困難になるため、一日尿道カテーテルを留置します。翌日、体調に問題がなければ尿道カテーテルを抜去して退院となります。
■前立腺がんの自然史
前立腺がんの発生から発症までは非常にゆっくりした流れがあり、
一般には前がん病変から臨床がん(限局がん)までになるのが約30年、
さらに進行して転移がんになるまでは、腫瘍の悪性度などで異なりますが多くは5年以上といわれています。
また、がんが発生しても多くはラテントがん(潜在がん)として生涯において臨床的に問題とならずに他の病気で亡くなることが多いのも前立腺がんの特徴です。
ラテントがん:ラテントがんはがん以外の原因で亡くなった人を解剖したときに、 初めて発見される微小がんのことです。当然、存命中は前立腺がんが発病していないから、がんの症状も現れていないし、本人もがんであったことなど気づいていません。
ラテントがんの頻度は欧米=日本人とほぼ同じといわれ、
臨床がんとラテントがんの境界は
- 年齢が若い
- 悪性度が高い・・・病理組織像: Gleason score 7点以上
- 腫瘍の体積が広い: 0.5ml (直径1cm)以上
が臨床がんとなるリスク因子と考えらえています。
医療者側は常に上記のことを参考に過剰診断・過剰治療にならないよう注意をしています。また治療では病期(病気の進み具合)・PSA値・悪性度にあわせ、患者さんの年齢や体力・希望・家族の支えなどを考慮して治療選択をおこなっています。

出典:https://www.j-rc.org/public/radiology/pdf/radio2010_14.pdf















■造影MRI










■病期診断のための検査


前立腺の周囲のリンパ節や臓器への転移、
また、肺や肝臓などの遠隔臓器への転移を調べるために行います。




