⑤-4-3-3.手術(ミニマム創・ダビンチ手術)

■「前立腺がん治療における手術の進歩と役割について」

社会医療法人 熊谷総合病院 泌尿器科 川島清隆氏 2017年7月15日開催

出典:https://www.youtube.com/watch?v=4AMAtl6OMu4&t=134s&ab_channel=%E3%80%9C%E5%89%8D%E7%AB%8B%E8%85%BA%E3%81%8C%E3%82%93%E6%82%A3%E8%80%85%E3%83%BB%E5%AE%B6%E6%97%8F%E3%81%AE%E4%BC%9A%E3%80%9C%E8%85%BA%E5%8F%8B%E5%80%B6%E6%A5%BD%E9%83%A8

・針生検(14本)で腫瘍進展を把握

・グリソンスコアの評価例(針生検)

■生検の問題点

針を刺す位置で当り外れがどうしても出る

・病期分類

・MRI検査の特性と限界

MRI検査で病期はcT3aと評価したが

手術後の標本を調べたらpT2c(MRI検査は過剰診断だった

・CT検査によるリンパ節転移が有ると判断のケース

炎症の場合もある

・リンパ節郭清

拡大郭清すると40個も発見

転移性陽性率の推移

15.8%(2015年)

高リスクにおけるリンパ節転移の率

⇒23.7%

・転移の平均的大きさ:1.8mm

大半のリンパ節転移をCT検査で見逃している再発因子

※CTでは8mm以上でないと映らない

・生検によるステージ分類とTNM分類

T:病期の進展度

N:リンパ節転移

M:他臓器(主に骨)転移

・NCCN分類とD’amoco分類ではリスク評価が違う

・生検による高リスク前立腺ガン評価格差

⇒診断医間格差

⇒生検の再現性

※ダウングレード、ダウンステージもあり、

一方、リンパ節転移が隠れている

・治療方針高リスク・超高リスク

拡大郭清(リンパ節転移を取り除く)を行うべき

※日本では医者まかせ

■中間・高リスク(cN1まで)の手術(再発リスクの低減を願い)

拡大リンパ節郭清は行われるべき

主治医に手術前に確認すべき

⇒医師によっては限局リンパ節郭清だけにしているケースもある

高い手術スキルがないと拡大リンパ節郭清ができない

※診断の問題点・治療の問題点を含めて主治医と要確認が必要だ

高リスクにおけるリンパ節転移の率

⇒23.7%

※転移の平均的大きさ:1.8mm

大半のリンパ節転移をCT検査で見逃している再発因子

※CTでは8mm以上でないと映らない

■古典的開腹手術

・低リスク以外は骨盤リンパ節郭清を多くの場合に実施

・手術のステップ(概要)

前立腺の手術は難易度が高い

高いスキルが求められる(多くの経験も含む)

・多い出血の中での手術

・手術の合併症

根治性と機能温存の両立が難しい

・神経温存術

勃起神経の温存パターン

ガン細胞が占める領域によって

・勃起神経の走行(シート状)

※動画にて詳細に説明されている

・手術の進化

腹腔鏡下手術

・長所・短所

操作が難しいので熟練者が行うべき(資格制度)

・ロボット支援手術

操作性が高い

前立腺全摘に占めるロボット手術の割合

⇒75%(2017年)

・ダビンチ手術(ロボット手術)の利点(メーカーカタログ)

・ダビンチ手術(ロボット手術)の特徴

動画で紹介されている

※実際の手術しているシーンとその詳細な内容が説明がされている

・長所・短所

数年前(2017年の時点で)に

将来ロボット手術が優るであろうと言われている

■ミニマム創手術

6㎝程度の開腹

熊谷総合病院 泌尿器科 川島清隆氏が運用している手術

・長所・短所

リンパ節郭清が行いやすい

拡大手術ができ進行症に向いている

⇒根治性の高い手術(手術者の技量に依存

熟練が要し、慣れても難しい

高い手術スキルがないと拡大リンパ節郭清ができない

※診断の問題点・治療の問題点を含めて主治医と要確認が必要だ

高リスクにおけるリンパ節転移の率

⇒23.7%

※転移の平均的大きさ:1.8mm

大半のリンパ節転移をCT検査で見逃している再発因子

※CTでは8mm以上でないと映らない

■施設間、術者間で成績の差が大きい(手術方式・病院の選択)

<<事前確認項目>>

・根治性

断端陽性率、再発率

・出血量

⇒輸血の有無

・神経温存の成績

・失禁の割合

■手術の質の評価項目

◆切断断端(断端陽性率)

⇒pT2の場合:断端陽性は-

但し、手術ミスでガン細胞領域を斜めに切除すると

断端陽性は+になる

pT3の場合:断端陽性は-と+(膜外浸潤部位)の混在

・2010年度時点でのロボットの全摘除術の成績例

再発率:リスク度別推移比較

5年目で比較すると

・小線源治療(岡本先生事例)

⇒高リスクでも再発率が低い

(トリモダリティー治療)

ホルモン治療は極めて短期間で使用

・ランセット調査例(2016年度)

米国泌尿器科学会レポート

・NCCN(全米総合がん情報ネットワーク)ガイドライン2017

合意できない内容熊谷総合病院 泌尿器科 川島清隆氏

豊富な経験・熟練の医師を見つけるは至難の業

ミニマム創手術とダビンチ手術の特徴比較した書籍

公平に検証している

熊谷総合病院 泌尿器科 川島清隆氏の見解

・目標(ゴール)

・手術はまゴールへの途上

熊谷総合病院 泌尿器科 川島清隆氏の実感

根治の難しさ

拡大リンパ節郭清を含めて手技に依存

EPE1:被膜外進展ガン

・RMI:断端陽性部位

<参考情報>

・局所的にはガン細胞を取り切れた事例

リンパ節転移数:80個

7個転移が有った

局所浸潤はなんとか対応

転移を含めた治療(マルチモダリティ)

放射線、ホルモン治療で対応

<参考情報>

高リスクにおけるリンパ節転移の率

⇒23.7%

※転移の平均的大きさ:1.8mm

大半のリンパ節転移をCT検査で見逃している再発因子

※CTでは8mm以上でないと映らない

高リスクで根治を目指すと

⇒括約筋の損傷があり

失禁(尿漏れ)が起きる

薄い皮膜間の剥離

⇒息を止めて剥離手術(高度なスキルを要す)

※祈りの気持ちで臨むレベルかもしれない

・拡大リンパ節郭清

大変な手術(行われ無い事が多い

しっかりやらないといけない(根治を目指して

内腸骨

頻度が多い部位

非常に郭清が難しい

※実際の手術しているシーンとその詳細な内容が説明がされている

前立腺周囲の血管の出血を抑える

⇒赤の点線の3箇所

・手術方法(ロボット)

⇒逆行性

⇒順行性

・ミニマム創手術

・直腸との間の剥離

※実際の手術しているシーンとその詳細な内容が説明がされている

・尿道切離

ガン細胞が尿道から離れていると

⇒機能温存ができる

ガン細胞が尿道から近いと

血管や神経、膜が廻りにあり

回りがよく見えなくなる

見ないで手術するのは難しい

※実際の手術しているシーンとその詳細な内容が説明がされている

・出血量

⇒中央値で88㏄(2017年時点)

⇒輸血はしない

・pT3以上、断端陽性率(RMI)の推移

・手技が安定してきた期間(白枠)

・同期間の再発率の推移

・リスク別比較推移

尿禁制の推移

ロボット手術の場合(文献)

神経温存

尿禁制に効果

・栃木県立がんセンターの治療方針

・ミニマム創手術の合併症

手術の評価

リンパ節転移

事前にはほとんど分からない(手術して初めて分かる)

高リスクにおけるリンパ節転移の率

⇒23.7%

※転移の平均的大きさ:1.8mm

大半のリンパ節転移をCT検査で見逃している再発因子

※CTでは8mm以上でないと映らない

■追加治療

・術後のフォローアップ

再発

・まとめ

・予防(事前・事後)

重要なメッセージ

■手術のメリットのまとめ

特にリンパ節転移は手術で初めて分かる

1~2個の転移であれば根治出来ることもある

周囲の骨盤内リンパ節を郭清(摘出)する場合もあるので事前確認

リンパ節への転移対応(全員ではない

<参考情報>

前立腺周囲の膜構造(右図)

左図の黄色の領域に該当する(神経を含む)

イメージとして4枚程のサランラップ層を1枚毎に剥ぎ取る手術

緻密な手術が必要になる