身近な消費生活の『質の向上』が仕組みとして社会的に整え始められる事で『シェアする社会』が進展していく。
日々消費する身近な物の代表として『電力エネルギー』と『食料』がある。
それぞれ独立、分離して消費するのではなく、組合せて消費する事で需要側のSharing economy社会の新しい姿が見えてくる。
他方、供給側の組合せは田園地帯に『新たに電力エネルギーの基盤』を追加する事で、消費生活の質の向上を同時に可能せしめられる。
従来型の電力供給基盤は、沖積平野の液状化が起きやすい海岸沿いに立地し、環境負荷が高い火力・石炭発電所と原子力発電所が主な供給源であるが、福一の事故で原発の新規設置は不可能になった。
持続可能な社会において従来型の電力供給は環境制約になっており、太陽光発電で代表される再生エネルギー供給が代替策として広がり始め、国の政策として電力消費費用にその代替策負担金(再エネ賦課金)を上乗せて代替策を加速させている。
同様に食の安全に関しても減農薬農業や有機農業の取り組みもされているが市場占有率は低く、食の安全性確保が消費者から強く求められて久しい。
今日、日常の生活に溶け込んだスマートフォンは、手軽に食の安全性=信頼性を確認できる仕組みを提供し始めた。例えば、食の安全性トレーサビリティとしてウォールマートのブロックチェーン事例が注目されており、供給側と消費者側が瞬時に食の安全に関する情報共有(=シェア)出来る仕組み作り(=ブロックチェーン技術を基盤とする信頼性担保の技術)が世界規模で開発・利用され始めている。
日本における食の安全性への取り組み事例として、宮崎県綾町で以前から取組されてきた有機農業と信頼性担保技術であるブロックチェーン実証実験事例がある。
有機農業とブロックチェーン実証実験の出会いは、シェアリングエコノミー社会の先駆けとなり、農産物の価値評価の新たな切り口(付加価値=信頼性担保)をトークン発行にて提示しており、 従来の画一的な評価(価格)の枠組みを取り除き、真に生産者と消費者が望む農産物の品質=安全性をシェア出来る時代に入った。
★ethical(倫理的)と共感が時代を前に推し進めるキーワードである。
21世紀はシェアリングエコノミー社会である事を『再生エネルギーの普及』と食の安全性を担保する『ブロックチェーン実証実験』にて実感出来る。この動きは『 品質』を求める経済社会に浸透させていき、『質の高さ』を生産者と消費者が共有し評価するシェアリングエコノミー社会の基本モデルと合致している。
『食の安全性』に関するシェアリングエコノミーの雛形が日本の周辺部(宮崎県綾町)から生み出された事は意義深く必然だとも考えられる。決して中心部から価値ある新しいモデルは生まれない。山口昌男氏が説く『中心と周縁』の理論通りの事例である。
消費者の『食の安全性』への志向が高まる一方、供給側の現状はどうか?日本の食の供給を支えている農業従事者の平均年齢は67才を超え、今後、休耕地、耕作放棄地帯の増大化が一気に進むと予測されており、同時に農業は低所得業種である為、新規就農者の参加率が極めて低く、供給側に持続性の構造的な問題点を抱えている。
今後予想される日米貿易交渉で休耕地・耕作放棄解消取組事例も風前の灯になると思われる。
農業従事者の高齢化は今後(10年程度後)農業の持続可能性を一気に低下させる事態に直面する。新たな食の供給源先として海外からの安定食品ルートの確保も課題になるが、他方、政策(自由貿易協定締結&日米二国間貿易協定)が更に日本の零細農家の経営的悪化を加速させる。高齢化と貿易交渉が食料の自給体制の基盤を揺るがしている。
1994年のNAFTA協定でメキシコの農業(特に主食のトウモロコシ:零細農家が主)が崩壊し、米国への違法移民の温床地帯に変貌した事実を確認する必要もある。 特に非合理の代名詞であるトランプ政権は、日米貿易赤字原因と全く関係のない農業分野での貿易赤字解消交渉要求は、日本の零細農家の没落・崩壊を招き、食の供給体制を著しく破壊していくと予想される。
電力と食の消費でも分かるように、平成の30年間は平成初頭の大バブル崩壊を経て価格破壊とデフレ社会の進行で『質の向上』と真逆の質を問わずの風潮が広がった。
その行き着く先に起きた象徴事例を二点挙げる。
①福一の原発事故による終結の目途が立たない放射性物質の除去問題
②品質不正問題。かつて世界から高品質と謳われて信頼性が高かった日本製の工業製品は、出荷前に実施する品質検査工程で不正検査を繰り返し、不正検査問題を一気に噴出させ、信頼性(企業倫理)を大きく揺らがすに至り、社会問題にまでなっている。
『世界の進運に遅れざらんことを期すべし』の昭和天皇の言葉で象徴されるように戦後復興は、米国(米国進駐軍)よりデミング博士を紹介され、博士を日本に招いて品質管理を学び、創意工夫を繰り返しながら品質向上に努めた結果、1980年代は日本の工業製品=高品質であるとの評価が世界の人々から認知された輝かしい時代を実現した。
平成時代の末期に一気に広がった不正品質検査問題は、供給側の一方的な情報の独占に警鐘を鳴らし、情報をシェアできる仕組みがブロックチェーンの登場と共に再度品質を高める社会(=持続可能な社会)を始動せさるようになってきた。立場の違いがあろうと誰にでも同じ言葉を使うインテグリティの概念が会計分野から出てきた事は示唆に富む。
Sharing economy社会の特性は
『質の高さ=信頼性の担保』を評価し共有する社会であり、持続可能な仕組みを整えていく社会である。
誰もが手軽に始められ『質の高さ=食の安全性』を実感できる一例として貸し農園での農体験がある。
自ら土作りから始め、畝を作り、施肥、は種、栽培品目の生育世話、収穫の一連の農体験で食の安全も確認が出来る。他方、第三者(部外者=消費者も含む)もブロックチェーンの利便性で一連の農産物の生育プロセスが確認出来、収穫品目の評価も可能になり、消費行動を大きく変えさせていく時代を迎えている。
安価で使い易いブロックチェーンのソフトが世に出てくれば家庭菜園レベルでも実践したものである。
以下は個人的な農体験を介しての新たな知見と感動を得た事を紹介する。
農作物の生育過程には三つの側面がある。
①種蒔きから緩やかに生育する傾きを持っ直線的な過程
②生育の環境が整い始めると一気に生育する指数的な過程
③収穫期になるに従いゆっくり成熟し落ち着く過程
まるでロジスティックス曲線が描く生育過程で有るかの如く、体感的にも分かる。
大自然の恵みを受け農地に直接的に関わる事は、実に驚きに満ちた多様な広がりを見せる事を再体験させ、自然と身心共に元気にしてくれる。
このかけがえのない自然の恵みをシェアリングする事は健康な社会へと導いてくれる。日常生活に農体験を取り入れる仕組み作りが『Sharing economy社会 』の到来も実感でき、新たな感動体験も得られる。
AI(人工知能)テクノロジーで話題になっているニューラルネットワークの2値分類問題(予測)にシグモイド関数の微分が利用されている。
将来の展望として『とまと』の生育AI診断システムの利用が出来たら楽しいであろう。