第55回 調達価格等算定委員会委員長案(暫定案)が 2020年2月4日 に発表された。
過去、委員長案から変更された事はないので、ほぼ正式案と見なせる。
太陽光発電(10kW以上50kW未満)の区分に『2つの地域活用要件』が付けられた事が大きな特徴になっている。
①余剰売電である事(自家消費比率:50%で計算されている。但し、今後の動向を注視することとしたと記載されている)。
⇒全量売電できなくなった。
②災害時に活用できる事。
注:営農型太陽光発電は全量売電可能。但し条件がある。
以下、委員長案の内容を見ていく。
■2020 年度の事業用太陽光発 電の入札対象範囲は、「250kW 以上」とすることした。
2019 年度の入札結果
太陽光第4回(2019 年度上期・募集容量 300MW)の入札は、入札対象範 囲を「500kW 以上」に拡大して初めての入札となった。上限価格を非公表として実施し、実際の入札件数・容量は 71 件・266MW となり、募集容 量を下回った。
平均入札価格は 13.46 円/kWh であった。63 件・196MW が 落札し、平均落札価格は 12.98 円/kWh・最低落札価格 10.50 円/kWh とな った
太陽光第5回(2019 年度下期・募集容量 416MW)の入札は、上限価格を非公表として実施した。
実際の入札件数・容量は 72 件・186MW となり、平均入札価格 は 13.38 円/kWh だった。
27 件・40MW が落札し、平均落札価格は 12.57 円/kWh・最低落札価格 10.99 円/kWh となった。
■太陽光発電 区分
◆太陽光発電(10kW以上50kW未満)
2020 年度の事業用太陽光発 電(10-50kW)に適用される調達価格は、自家消費型の地域活用要件が設定されることを前提としたものとなる。
■地域活用要件具備に要する費用の取扱い
2020 年度に自家消費型の地域活用要件が設定される規模(10-50kW)の 事業用太陽光発電については、災害時に活用するための最低限の設備を 求めるものとして、災害時のブラックスタート(停電時に外部電源なし で発電を再開すること)が可能であること(自立運転機能)を前提とし た上で、給電用コンセントを有し、その災害時の利活用が可能であるこ とを求めることとした。
注:参考 2における産業用電気料金のデータについては、低圧・ 高圧・特別高圧といった料金の異なるカテゴリが混在していることから、 FIT 制度の下で情報収集を進めた上で、より具体的な自家消費の実態を 把握し、自家消費分の便益の設定について、必要に応じて見直しを検討 することとした。 ( 令和2年度の調達価格等に関する意見(案) より)
以上の定義より
①余剰売電である事(自家消費比率:50%で計算されている。 但し、今後の動向を注視することとしたと記載されている)。
⇒全量売電できなくなった。
②災害時に活用できる事。
注:営農型太陽光発電は全量売電可能。但し条件がある。
◆太陽光発電(50kW以上250kW未満)
■■営農型太陽光発電の取扱い ■■
営農型太陽光発電は、営農と発電の両立を通じて、エネルギー 分野と農林水産分野での連携の効果も期待されるものである中で、
一部 の農地には近隣に電力需要が存在しない可能性もあることに鑑み、
農林水産行政の分野における厳格な要件確認を条件に、
自家消費を行わない案件であっても、
災害時の活用が可能であれば、地域活用要件を満たす ものとして認めることとした。
(※)農地転用の制度運用上、FIT 認定がなければ農地転用許可を得ることが実質的に難しいとの指摘があるため、上記条件の下での農地転用許可がなされることを条件に FIT 認定を行い、事後的に農地転用許可がなされたことを確認することとした。
■事業用太陽光発電の廃棄等費用の取扱い
今後の事業用太陽光発電の廃棄等費用の 想定値については、入札対象範囲の内外に関わらず、資本費の5%では なく、定額として定めることとし、その額は、調査結果や現行の想定値 (約1万円/kW)も踏まえ、想定資本費の額に関わらず、1万円/kW とす ることとした。
加えて、現行の調達価格は、廃棄等費用を運転開始 20 年目に一括して 支出することを念頭に算定されているが、
廃棄等費用確保 WG の中間整 理において、廃棄等費用積立担保制度の外部積立てでは、一律に調達期 間の終了前 10 年間で積み立てることとされていることから、
今後は、 運転開始 11~20 年目に分割して積み立てる想定で算定を行うこととし た。