■千葉県東方沖の『ゆっくりすべり』発生時の地震活動(1996年~2024年)
出典:https://www.static.jishin.go.jp/resource/monthly/2024/20240226_eoff_chiba.pdf 気象庁
出典:左図)国土地理院 https://www.gsi.go.jp/common/000256000.pdf 右図)気象庁 https://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/nteq/nteqword.html
■GNSSによる地殻変動比較
左図:東北地方太平洋沖地震(M9.0)後の地殻変動(水平)-本震9年後から10年後まで-
基準期間:2020/02/01 — 2020/02/15 [F3:最終解]
比較期間:2021/02/01 — 2021/02/13 [F3:最終解]
右図:東北地方太平洋沖地震(M9.0)前の地殻変動(水平)
基準期間:2010/02/01 — 2010/02/15 [F3:最終解]
比較期間:2011/02/01 — 2011/02/15 [F3:最終解]
出典:https://www.gsi.go.jp/common/000231300.pdf 国土地理院
出典:https://www.bousai.go.jp/jishin/nankai/tyosabukai_wg/pdf/h280926shiryo08.pdf 南海トラフで見られる現象のモニタリング
出典:https://weathernews.jp/s/topics/202403/030085/ ウェザーニュース
■震央分布図(2000年~、M≧1.0、深さ0~40km)
・各活動期間(3ヵ月)最大規模及び最大震度5弱の地震に吹き出し
出典:気象庁 報道発表 令和6年3月1日 2月26日からの千葉県東方沖の地震活動について
■2007年&2013年のSSE(スロースリップ=ゆっくりすべり)におけるすべり速度の時間発展の推定結果
出典先:https://www.eri.u-tokyo.ac.jp/research/7463/ 東京大学地震研究所
出典:https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu6/toushin/attach/__icsFiles/afieldfile/2017/07/11/1387784_1.pdf インバージョン解析により推定された2013-2014 年房総SSE の時空間発展(東京大学地震研究所[課題番号:1509])
■令和6年能登半島地震を想起させる房総半島沖(千葉県東方沖)のゆっくりすべりと群発地震
出典:左図)国土地理院 https://www.gsi.go.jp/common/000256000.pdf 右図)気象庁 https://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/nteq/nteqword.html
出典:https://www.jishin.go.jp/resource/column/column_18aut_p08/ 地震本部
出典:左図)https://www.youtube.com/watch?v=Dx1xf-22ODM 右図)「ワーストシナリオの中でも予想上回る」 (注)サブタイトル ⑩ 想定外を想定する~統計手法(帰無仮説を含む)も活用した避難判断に関する各種情報収集~ に詳細情報を記載
出典:https://www.youtube.com/watch?v=7tfLjMCn4vI 2021年注目ニュースのウラ側 【地震研究最前線】今年も相次いだ地震…懸念される南海トラフ 前兆を捉えるための最新研究に迫る
出典:https://www.youtube.com/watch?v=2EReI1NBDn0&t=12s 「スロースリップ」は巨大地震の前触れか~
<参考情報①>
出典:東日本大震災の“割れ残り”千葉県沖で巨大地震発生か 多発する地震と関連は? YouTube人が死なない防災
■千葉・房総沖の地震(関東地方のM7級地震の周期)について
・37~38年間隔で大地震発生
⇒前回1987年(千葉県東方沖地震:Mw6.7)の地震から今年は37年目
参照先:⑩ 想定外を想定する~統計手法(帰無仮説を含む)も活用した避難判断に関する各種情報収集~
・首都圏の大規模地震周期について
・千葉・房総沖でスロースリップが約6年間隔で発生
・スロースリップ発生によりひずみが解消
・一方、固着域(周辺)のひずみ負担増
(スロースリップによるひずみの解消に伴い)
⇒大きな地震の引き金に
・1996年よりGNSS観測開始
⇒スロースリップ現象を確認
⇒今回(今年2月)で7回目が発生
⇒1996年以来スロースリップが約6年間隔で発生
・スロースリップが7~8回で大地震発生と仮定したら?
⇒過去の地震活動も説明可?(GNNS観測以前であるが)
■グーテンベルグ・リヒター則(G-R則)
・地震の規模(x)と発生頻度(y)の間に見られる経験則
⇒小さい地震は多数発生するが、大被害が生じるような大きな地震は稀にしか発生しない。
・「マグニチュード」と『その発生個数の対数』との間には直線的な関係(直線で近似出来る)が成り立つ。
logn(M)=a−bM
の式で表される。
⇒Mはマグニチュード、n(M)はマグニチュードMの地震の発生個数、
⇒N(M)はマグニチュードM以上の地震の総数(積算地震数)
⇒aとbは定数で
⇒bは直線の傾きを表しており、
⇒地下の応力状態を表す重要なパラメータの一つであると考えられている。
⇒尚、bは地域性などに違いがあり、
⇒bが大きいほど相対的に小さな地震が多くなる。
参照先:⑩ 想定外を想定する~統計手法(帰無仮説を含む)も活用した避難判断に関する各種情報収集~
出典:http://namazunokai.starfree.jp/pdf/lecture_03.pdf 地震の規模別頻度分布 梅田 康弘 京大名誉教授
■2つの巨大地震(東日本大震災&関東大震災)の滑り残り
◆東日本大震災(2011年3月11日:M9.0)
・房総沖が滑り残り
・延宝房総沖地震(1677年:推定M8.3 津波の高さ17m以上)
<参考情報>
・超巨大地震(東北地方太平洋沖型)は過去3,000年間に5回発生しています。
⇒それぞれ新しい順に、2011年の東北地方太平洋沖地震(Mw9.0)
⇒1611年の慶長三陸地震(Mw8.4~Mw8.7)または1454年の享徳地震(Mw8.4以上)
⇒869年の貞観地震(Mw8.3~Mw8.6もしくはそれ以上と推定)
◆関東大震災(1912年9月1日:推定M7.9)
・房総沖が滑り残り(300年間のエネルギーを溜めている)
尚、元禄地震は全域が滑った(1703年11月23日 推定M7.9~8.2)
出典:https://www.youtube.com/watch?v=oBnqpD_mc-s&t=417s
<参考情報>
典:上図)https://www.youtube.com/watch?v=S4jDuyqm_D0 下図)https://www.youtube.com/watch?v=SQ3ReZR16Vw
出典:https://www.gsj.jp/data/chishitsunews/05_01_04.pdf 海岸段丘が語る過去の巨大地震 穴倉 正展 氏
出典:https://www.youtube.com/watch?v=qFXeS4VMex8 地震講座第2回「不運な綱吉 南海トラフの巨大地震」(寒川旭さん)
■未知の房総沖巨大地震に関する情報収集
① 房総半島東方沖で発生が予想される巨大地震の被害想定(注目されていなかった震源域)
・2016年に千葉県が被害想定を発表
出典:https://www.pref.chiba.lg.jp/bousaik/higaisoutei/higaisoutei28.html 千葉県防災・安全・安心
出典:https://www.pref.chiba.lg.jp/bousaik/higaisoutei/documents/02shou.pdf 平成26・27年度千葉県地震被害想定調査報告書
② 1677年の房総沖震源の延宝地震
⇒現在の一宮町などを最大8メートルの津波が襲った記録があるが、
⇒これ以前がわかる古文書は今のところ把握されていないという。
<参考情報②>
出典:東日本大震災の“割れ残り”千葉県沖で巨大地震発生か 多発する地震と関連は? YouTube人が死なない防災
③ 1000年前「未知の巨大地震」が発生か、九十九里浜に大津波の跡
・千葉県・房総半島沖で1000年ほど前に未知の巨大地震があり、
⇒九十九里浜一帯が大津波に襲われた可能性があると、
⇒産業技術総合研究所などのチームが発表した。
⇒地震の規模はマグニチュード(M)8・5~8・8で、当時の海岸線から3キロ・メートル前後まで浸水したと推定されるという。
研究グループは、匝瑳市と山武市、一宮町で掘削調査を行い、海で生息する有孔虫の化石が含まれている砂の層を発見。砂は当時の地表面を削りながら堆積(たいせき)していたことから、津波で陸上に運ばれたと判断した。また上下の地層に含まれていた植物化石の分析から、砂は西暦800~1300年に堆積したと推定した。
こうした調査結果をもとに、津波浸水シミュレーションを実施。
複数のモデルの中で、房総半島東方沖の太平洋プレートとフィリピン海プレートの境界でM8・5以上の地震が発生した可能性があるとした。
「太平洋プレートとフィリピン海プレートの境界」で起こる地震については、
これまで検討されてこなかった。
発生周期はまだわからないが、新たな津波のリスクとして意識してほしい」と話す。
出典:https://www.asahi.com/articles/ASQ3773XJQ33UDCB00Q.html 朝日新聞DIGITAL
※千葉県東方沖は、
⇒日本列島が位置する北米プレートの下に南からフィリピン海プレートが沈み込み、
⇒フィリピン海プレートの下に東側の太平洋プレートが沈み込むという複雑な構造になっています。
⇒簡単に言えば『3層構造』になっており、どれかが動けば他にも影響する。
・太平洋プレートがフィリピン海プレートを押して南海トラフ地震につながる恐れもあれば、
・フィリピン海プレートが北米プレートを押して首都圏の巨大地震につながる恐れもあるのです」
(立命館大環太平洋文明研究センター特任教授の高橋学氏)
■超巨大地震(東北地方太平洋沖型)
・超巨大地震(東北地方太平洋沖型)は過去3,000年間に5回発生しています。
⇒それぞれ新しい順に、2011年の東北地方太平洋沖地震(Mw9.0)
⇒1611年の慶長三陸地震(Mw8.4~Mw8.7)または1454年の享徳地震(Mw8.4以上)
⇒869年の貞観地震(Mw8.3~Mw8.6もしくはそれ以上と推定)
⇒4~5世紀頃の地震、
⇒紀元前4~3世紀頃の地震に対応すると考えられます。
・この地震(3.11)の震源域は
⇒岩手県沖南部から茨城県沖までに及んでおり、
⇒その長さは約400km以上、幅は約200kmで、最大のすべり量は50m以上であったと推定されています。
出典:https://www.jishin.go.jp/regional_seismicity/rs_kaiko/rs_tohokuoki_eq-type/ 地震本部
■多数のシミュレーション案から浮かび上がる事例
出典:https://www.youtube.com/watch?v=2EReI1NBDn0&t=12s 「スロースリップ」は巨大地震の前触れか~
出典:https://www.youtube.com/watch?v=7tfLjMCn4vI 2021年注目ニュースのウラ側 【地震研究最前線】今年も相次いだ地震…懸念される南海トラフ 前兆を捉えるための最新研究に迫る
■震源断層面積比較と地震のエネルギーの大きさ比較
出典:https://www.jishin.go.jp/main/pamphlet/wakaru_shiryo2/wakaru_shiryo2_4.pdf 地震が分かる!解説編 第1部地震の仕組みと現象
出典:https://mtl-muse.com/study/earthquake/sourcefault/ 大鹿村中央構造線博物館
出典:https://www.duma.co.jp/blank-4
出典:https://weathernews.jp/s/topics/202304/060275/ ウェザーニュース
出典:左図)https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/kenkou/suido/tantousya/dl/s01.pdf 東日本大震災地震動の特徴と被害との関係 金沢大学理工研究域環境デザイン学系 宮島 昌克
※マグニチュードの詳細内容についてはサブタイトル ⑩ 想定外を想定する~統計手法(帰無仮説を含む)も活用した避難判断に関する各種情報収集~ に記載
出典:あなたは何階に住んでいますか? 1階は震度5強でも10階では震度7!? 高層ビルの危険を実験で検証 CBCニュース
■地震学者の京都大学・梅田康弘名誉教授の解説より
※梅田先生の地震学基礎講座(関西なまずの会)
http://namazunokai.starfree.jp/lecture.html
■【専門家警鐘】「次のステージに入っている」千葉県東方沖で相次ぐ地震 大地震に繋がるリスクも…「バーンといってしまうと巨大地震に」メカニズムと今後の可能性を解説
(「情報ライブミヤネ屋」2024年3月4日放送より)
https://news.yahoo.co.jp/articles/0c80f954b9479bfcdb599d98b31d94b9d7de18d0?page=1
◆千葉県付近で相次ぐ地震、原因は“ゆっくりすべり” 「全体が動いてしまうと巨大地震に」
2月27日から、千葉県付近、特に東方沖で地震が相次いで発生しています。
2月29日~3月2日まで、3日連続で震度4の地震を観測していて、震度1以上が32回となっています。
地震調査委員会は、「過去の地震活動を踏まえると引き続き震度5弱程度の強い揺れが観測される可能性がある」としています。
日本列島は、いくつものプレートが押し合っている状況のところにあるので、いつどこで地震が起こってもおかしくない状態なのですが、
千葉県東方沖では、3年~6年程度の頻度で、“ゆっくりすべり”を伴う地震を観測しています。
今回の“ゆっくりすべり”とはどういうものかというと、「通常時」は、海のプレートが沈み込むことで、陸のプレートも引きずり込まれて常に“ひずみ”が蓄積されていきます。
この陸側のプレートの“ひずみ”が限界に達して一気に跳ね上がると、大きな揺れが起こり、津波が発生するおそれもあります。
今回千葉県東方沖で起こっている“ゆっくりすべり”は、このプレートの“ひずみ”が限界に達しているものの、
一気に跳ね上がるのではなくゆっくり跳ね上がる現象です。
この場合、揺れは感じず、津波も発生しないのが特徴です。
Q.ゆっくり跳ね上がるところでは何が起こっているのでしょうか?
(京都大学・梅田康弘名誉教授)
「ゆっくり動くというのは、陸側のプレート全部が動くのではなく、その中のごく一部がゆっくり動いているのです。
全体が動いてしまうと巨大地震になってしまいます。
ほんのわずかな部分がずるずるっと滑っているイメージです」
Q.今回ゆっくりすべりが起こったのは、同じ場所なのでしょうか?別の場所なのでしょうか?
(梅田名誉教授)
「ほとんど同じ場所です。そういう性格のある場所なんです。
固着しているところが大半なんですが、ごく一部そういう弱いところがあって、そこが繰り返しゆっくりずるずるすべるんです」
Q.なぜ弱い部分があるのですか?
(梅田名誉教授)
「流体というものがあって、流体が上がってくるとそれが潤滑油のようになって滑りやすくなるんです。
それが溜まってくると圧力が上がって、ずるずるずるっと滑るというメカニズムです。
基本的には流体が入ると岩石が滑りやすくなるので、『横ずれ』でも『境界』でも『縦ずれ』でも同じように滑ります」
<参考情報③>
出典:左図)https://www.youtube.com/watch?v=Dx1xf-22ODM 右図)「ワーストシナリオの中でも予想上回る」 (注)サブタイトル ⑩ 想定外を想定する~統計手法(帰無仮説を含む)も活用した避難判断に関する各種情報収集~ に詳細情報を記載
Q.千葉県東方沖というのは、もともとそういう特徴のあるところなのか?たまたまゆっくり滑ったのか?どちらなのですか?
(梅田名誉教授)
「そういう性格のある場所です。過去にも6回くらい2年ないし6年位で同じところで起こっています。
これ自体は“ゆっくりすべり”で被害もないのですが、これが起こると周りにストレスを溜めてしまうのです。
それが誘発地震を起こしてしまって、今回の地震活動になるんです」
◆“ゆっくりすべり”がきっかけで大地震が起こる可能性も…「周囲にストレスが溜まってしまう」
千葉県は2016年、3回にわたる地震被害を調査し最新の科学的知見を踏まえ、地震被害想定調査を公表しました。
房総半島の東方沖、深さ25キロを震源とするマグニチュード8.2の地震を想定した場合、
主な被害は津波によるもので、
最大の波の高さは8.8メートルの高さになり、
死者数は最大5600人、
建物被害も全壊が約2900棟などとなっています。
Q.ゆっくりすべっていて、どこかで周りを巻き込んで大きく動いて、大地震が起こるリスクはないのですか?
(梅田名誉教授)
「それがあるんです。非常に恐ろしいんですよ。
ゆっくりすべっているとそこのひずみは解消するのですが、周りにストレスが溜まってしまいます。
今回はマグニチュード5ぐらいですが、バーンといってしまうと巨大地震になってしまいます」
<参考情報④>
出典:https://www.youtube.com/watch?v=2EReI1NBDn0&t=12s 「スロースリップ」は巨大地震の前触れか~
<参考情報⑤>
Q.千葉の地震はまだ警戒が必要ですか?
(梅田名誉教授)
「過去6回の例をみますと、”ゆっくりすべり“そのものは2~3日で終わっていますが、それに誘発される地震は、数週間以上続く可能性があります」
Q.今回の千葉東方沖地震は、首都直下地震を誘発するものでしょうか?
(梅田名誉教授)
「ちょっと難しいんですが、『千葉県東方沖』は海なので、首都直下からは外れています。
ですが、3月2日に千葉県南東部のちょっと離れたところの陸地でマグニチュード5.0地震が起きました。
これは直下地震に入るんです。
地震を誘発したのが“ゆっくりすべり”の周辺だけに止まっていれば良いのですが、
離れたところに誘発し始めると直下型地震に繋がる恐れがあります」
<参考情報⑥>
出典:https://www.static.jishin.go.jp/resource/monthly/2024/20240226_eoff_chiba.pdf 気象庁
<参考情報⑦>
出典:https://www.titech.ac.jp/news/2018/040877 東京工業大学
・スロースリップ発生域のプレート境界は
⇒水の間隙圧 (地盤内の水圧)が極めて高い状態にあると考えられている。
⇒水は断層の破壊強度を低下させるため、
⇒スロースリップによって水の移動が起こると、
⇒周囲のプレート境界の強度が著しく低下する可能性がある。
<<2024年3月21日 午前9時8分頃 茨城・埼玉県境で震度5弱発生:地震多発地域>>
出典:右下図を除きウェザーニュース
<参考情報⑧>
・2011年9月の時点でのM7級が起こる発生確率とその後の地震発生回数の低下による発生確率の低下
出典:http://namazunokai.starfree.jp/pdf/lecture_03.pdf 地震の規模別頻度分布 梅田 康弘 京大名誉教授
注:G-R則(グーテンベルク・リヒター則)の内容についてはサブタイトル ⑩ 想定外を想定する~統計手法(帰無仮説を含む)も活用した避難判断に関する各種情報収集~ にて記載
<参考情報⑨>
出典:https://kansai.main.jp/swfu/d/jishin20230530.pdf 地震講座第3回「悩んだ道真 九世紀の地震と現代」
<参考情報⑩>
<参考情報⑪>
出典:左図)https://www.hinet.bosai.go.jp/about_earthquake/sec2.2.html 防災科研 右図)https://www.manabi.pref.aichi.jp/contents/17100006/senmon.html
<参考情報⑫>
出典:https://weathernews.jp/s/topics/202304/060275/ ウェザーニュース
出典:左図)https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/kenkou/suido/tantousya/dl/s01.pdf 東日本大震災地震動の特徴と被害との関係 金沢大学理工研究域環境デザイン学系 宮島 昌克
Q.今回の「千葉県東方沖地震」と「関東大震災」は同じ「相模トラフ」で起きていると思って良いのですか?
(梅田名誉教授)
「そうです。相模トラフのほんの一部です。
しかし、関東大震災は今から100年前に起こっていますので、あんな巨大地震は近々では起こらないだろうと我々はみています」
<参考情報⑬>
出典:https://www.static.jishin.go.jp/resource/monthly/2024/20240226_eoff_chiba.pdf 気象庁
<参考情報⑭>
出典:東日本大震災の“割れ残り”千葉県沖で巨大地震発生か 多発する地震と関連は? YouTube人が死なない防災
Q.相模トラフが動いたとして、東京都内にある活断層が連動して動くということはあるのでしょうか?
(梅田名誉教授)
「連動するかどうか、ちょっとそれは分かりません。私はないと思いますが、何とも言えません」
◆「次のステージに入っています」日本各地で起こっている地震 “南海トラフ地震”も「だんだん近づいてきている」
2月26日、愛媛で最大震度4の地震。また3月2日、宮崎で最大震度4の地震がありました。
Q.愛媛や宮崎の地震は南海トラフ地震につながるのでしょうか?
(梅田名誉教授)
「九州と四国の間の豊後水道でも“ゆっくりすべり”がずっと起こっています。
そういうものが起こって、南海トラフ地震もだんだん近づいています。
愛媛の地震も宮崎の地震もそれに関連して起こっているんです」
Q.今日本は地震の活動期なんですか?
(梅田名誉教授)
「そうです。活動期です。
南海トラフ地震が起こって70年ほど過ぎていますので、次のステージに入っています。
ですから西日本でも地震活動が活発になっています」
出典:https://www.eri.u-tokyo.ac.jp/KOHO/Nenpo2013/images/ch2.5/fig12.html
<参考情報⑮>
■南海トラフ領域でのゆっくりすべり(スロースリップ)
出典:https://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/nteq/nteqword.html 気象庁
■1703年12月31日未明に発生した元禄地震(海溝型地震)
・地震規模は
⇒マグニチュード 7.9~8.2 とされ
⇒南関東一円で甚大な被害を出した。
出典:上図)https://www.youtube.com/watch?v=S4jDuyqm_D0 下図)https://www.youtube.com/watch?v=SQ3ReZR16Vw
出典:https://www.gsj.jp/data/chishitsunews/05_01_04.pdf 海岸段丘が語る過去の巨大地震 穴倉 正展 氏
出典:https://www.youtube.com/watch?v=qFXeS4VMex8 地震講座第2回「不運な綱吉 南海トラフの巨大地震」(寒川旭さん)
出典:https://www.bousai.go.jp/kyoiku/kyokun/pdf/genroku_light.pdf 1703 元禄地震 報告書(平成25年3月 内閣府(防災担当))
出典:関東が危険すぎる!巨大地震と強い関係がある“急激な隆起”が確認されています 人が死なない防災)https://www.youtube.com/@user-ti6iu9yu5g/featured
■スロースリップと大地震の相互作用事例(メキシコ)
出典:https://www.youtube.com/watch?v=7tfLjMCn4vI 2021年注目ニュースのウラ側 【地震研究最前線】今年も相次いだ地震…懸念される南海トラフ 前兆を捉えるための最新研究に迫る
■ゆっくりすべり(スロースリップ)
出典:https://www.youtube.com/watch?v=2EReI1NBDn0&t=12s 「スロースリップ」は巨大地震の前触れか~
■大阪府北部の地震(Mj6.1)に学ぶエレベータ対策
・2018年大阪府北部地震(活断層による直下型地震)では
⇒6万基を超えるエレベータが緊急停止し、300人を超える人が閉じ込めになりました。
⇒大阪府と兵庫県のエレベータの約半数が止まるという前代未聞のできごとでした。
⇒Mj6.1と余り大きな地震ではなかったので長周期の揺れは少なかったのですが、
◎直下の地震だったため、
⇒P波とS波の時間差が少なく、
⇒地震時管制運転装置が付いたエレベータを中心に緊急停止し、
⇒閉じ込めが発生してしまいました。
◎海溝型地震のように震源が離れていれば、
⇒緊急地震速報が間に合い、
⇒P波到達後の余裕もあるので最寄りの階に自動停止が可能なのですが、
直下の地震では閉じ込めの危険があります。
そういう意味では、首都直下地震でのエレベータ閉じ込めが心配です。
東京だけでも16万台ものエレベータがあり、とくに高層エレベータは途中階を飛ばすので、気がかりです。
出典:https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/614d350fcf3b15c7ea6965c6c6970087b68514f5 東日本大震災から10年、長周期地震動で大きく揺れた高層ビル、その後の対策は 福知伸夫 名古屋大学名誉教授、あいち・なごや強靭化共創センター長
三菱電機ビルソリューションズ 災害時の復旧対応
関東大震災から100年】もしもエレベーターで大地震に遭遇したら――進化する、乗る人の安全を守る仕組みとは
■2018年6月に発生した房総沖スロースリップ現象
出典先:https://weathernews.jp/s/topics/201806/220105/ ウェザーニュース
2018年6月、千葉県沖で「スロースリップ」現象が立て続けに発生しました。
千葉県東方沖では、
海側のフィリピン海プレートが陸側のプレートの下に沈み込んでいますが、
プレートの境界がゆっくりずれ動いているのです。
「大地震の前兆」と危惧する声もありますが、はたしてどうなのでしょうか。
■スロースリップが起こるワケ
・フィリピン海プレートは1年に数cmずつ移動しながら陸側のプレートに沈み込んでいます。
⇒プレート同士は強い圧力で密着しているため、
⇒ところどころ固着域(アスペリティ)ができていて、
⇒この固着域が一気に剥がれるとプレートがズレ動いて地震が起こります。
・ところが、固着域が徐々に剥がれると
⇒プレートも時間をかけながら動きます。
⇒これがスロースリップと呼ばれる現象です。
⇒地震の場合は10〜20秒でプレートがズレ動きますが、
⇒短期的スロースリップなら2〜3分、長期的スロースリップでは数時間〜数日かかることもあります。
・スロースリップは昔から起こっていましたが
⇒日本の地震観測網が充実した2000年代初頭から検出されるようになったのです。
出典:左図)「情報ライブミヤネ屋」2024年3月4日放送 右図)気象庁
■千葉県沖のスロー地震で大津波
千葉県沖のスロースリップ現象は、大地震の前兆なのでしょうか?
過去に千葉県沖でどんな大地震があったのか、
歴史地震を研究している都司嘉宣さん(元東京大学地震研究所)に聞きました。
・「1677(延宝5)年に起こった延宝(えんぽう)房総地震があります。
⇒震源は不明確ですが、房総半島沖と考えられます。
⇒地震の規模はM8−8.5と幅がありますが、
特徴的なのは、
地震による被害がほとんどなかったのに、
大津波で甚大な被害があったことです」
■スロースリップとスロー地震
都司さんが続けます。
・「明治三陸地震(1896年)も、
震度は3−4程度で地震被害はわずかでしたが、
大津波で死者・行方不明者約2万2000人という犠牲者を出しました。
延宝房総地震も明治三陸地震も、
揺れが小さいのに大津波を起こしたのは、
“スロー地震”と考えられます」
ちなみに、「スロースリップ」と「スロー地震」は同じ現象ですが、
スロースリップの規模が大きくて被害が出ればスロー地震と呼ばれています。
■津波浸水高は最大13.5m
都司さんは、延宝房総地震の津波の規模をしらべるために千葉県東岸一帯を現地調査しました。
・「主に津波浸水高を調べましたが、
勝浦市で8m前後、御宿町で6〜10m、いすみ市の矢指戸(やさしど)では12.8m、
最大は銚子市の小畑池の13.5mという結果を得ました。
当時の江戸幕府による調査によると、
岩船(いすみ市)という集落で57人が溺死、
東浪見(一宮町)では97人溺死といった記録もあります。
341年前に房総半島がこれほどの地震津波の被害を受けたことを知る人はあまりいません」
スロースリップだから大地震になるのではありません。
スロースリップが大規模化すると、
揺れが小さくても
甚大な津波被害をもたらすのです。
千葉県沖のスロースリップの動向から目を離せません。
■房総半島沖で発生したスロースリップイベントの時間発展過程の多様性
出典先:https://www.eri.u-tokyo.ac.jp/research/7463/ 東京大学地震研究所
福田淳一(東京大学地震研究所)Journal of Geophysical Research: Solid Earth, 123, 732-760, 2018.
https://doi.org/10.1002/2017JB014709
・スロースリップイベント(SSE)は
⇒数日から数年の期間に亘って非地震性すべりが加速する現象であり、
⇒GNSS等の測地学的観測により、
⇒沈み込み帯を始めとする世界各地のプレート境界で多数検出されてきました。
出典:左図)https://www.gsi.go.jp/denshi/denshi_aboutGNSS.html 国土地理院
・これらのSSEの
マグニチュード、継続時間、繰り返し間隔、すべりの空間分布などの
静的なパラメータは多くの研究で明らかにされてきましたが、
SSEの時間発展過程を明らかにした研究は少数にとどまっています。
しかし、詳細な時間発展過程を明らかにすることは、
SSEの発生メカニズムやSSEによる地震活動の誘発メカニズムの理解につながる可能性があるため、重要です。
そこで本論文では、房総半島沖で数年ごとに繰り返し発生してきたMw6.6-6.7のSSEの詳細な時間発展過程を推定することを試みました。
本研究では、
1990年代半ばに国土地理院のGNSS観測網が構築されてから発生した
1996, 2002, 2007, 2011, 2013-2014年のSSE発生時のプレート境界面におけるすべり速度の時間発展を
GNSSデータを解析することによって推定しました。
例として、2007年のSSEにおけるすべり速度の時間発展の推定結果を図1に示します。
・大局的に見れば、
⇒5つのSSEは全て房総半島の東方沖で始まり、
⇒すべりの加速とともに西に拡大・伝播し、
⇒その後すべりは減速しながら南東に伝播するという共通の特徴を持っています(図1)。
しかし、より詳細な時間発展を調べると、
5つのSSEにおけるすべりの加速や伝播のパターンは
イベントごとに異なることが明らかになりました。
すべりの加速の特徴は、推定されたすべり速度から計算されたモーメントレート関数に現れています(図2)。
1996年、2013-2014年のSSE では、2002、2007、2011年のSSEに比べてモーメント(すべり)が緩やかに加速したことが分かります(図2f)。
特に2013-2014年のSSEでは、
すべりの開始後15~20日の間非常にゆっくりとした加速が継続するという特徴が見られました(図2e, f)。
すべりの加速時に起きたすべり域の拡大・伝播についても、その伝播様式がSSEごとに異なることが分かりました(図3)。
5つのSSE全てに同期して、群発的な地震活動が見られました(図1, 2)。
地震活動の震源分布と推定されたすべり速度を比較すると、
地震活動はすべり速度が大きな領域の深部側の端付近で発生し(図1)、
震源分布はすべりの伝播と共に移動したことが分かりました(図1, 3)。
このような震源分布の移動とすべりの伝播の間の強い相関は、
地震活動がスロースリップによる応力変化により誘発されたことを示唆します。
■日本列島直下に沈み込むプレート内の水の挙動がスロー地震発生に関係-南海トラフでのスロー地震のメカニズムの理解へ道筋-
https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2019/pr20190130/pr20190130.html
国立研究開発法人産業技術総合研究所(以下、「産総研」という。)のWebサイトの研究成果記事(2019年)を転記
【ポイント】
・日本列島直下に沈み込むプレート内部での水の通りやすい方向を力の概念で検討
・プレート内部での水の通りやすい方向と沈み込むプレートから放出される水の量との関係を解明
・スロー地震の発生が陸側と海側のプレートの境界付近に蓄積される水の量に関係
【概要】
日本列島直下に沈み込むフィリピン海プレート内に作用する力を解析した。
結果として、深さ約30~70 kmの位置にあるフィリピン海プレート内に作用する力の向きに場所によってばらつきがあることから、
沈み込むプレート内部の水の流れやすさに空間的な違いがあることを見いだした。
・プレート内部の水の流れやすさは、
⇒沈み込むプレ-トから放出される水の量と
⇒プレート境界付近での水の溜まり方に大きく影響し、
⇒この付近での地震の起こりやすさにも影響すると考えられる。
プレート境界付近に大量の水が存在すると、
地下の岩石の破壊に達するまでの摩擦が大きく下がり、
数多くの微小な亀裂の連鎖的な破壊、
いわゆる、ゆっくり地震(スロー地震)を発生させる可能性がある。
そこで、南海トラフにおけるスロー地震の分布と
本研究で明らかにした水の流れやすさの分布の比較から、
南海トラフでプレート境界に供給される水の量の違いがスロー地震発生に関係することが分かった。
今回の結果は、早急な解明が求められている日本列島直下で発生するスロー地震の発生メカニズムの理解への道筋を示すものといえる。
スロー地震が発生する場所での沈み込むプレート内の水の流れやすい方向(青色矢印)と地震発生時に岩石にかかる力の向きと岩石中の水の流れやすさの関係を示す図
灰色矢印は、応力の三つの主応力の向きを示し、矢印の大きい方から、最大、中間、最小となる。
【研究内容】
沈み込むフィリピン海プレート内で発生している地震のタイプと分布に空間的な違いがあることに注目した。
まずユーラシアプレートの下に沈み込むフィリピン海プレート内の深さ約30~70 kmで発生した地震データを抽出し(図1b)、地震発生に必要なプレート内の応力を計算した。
図 1 (b) 深さ約30~70 kmでのフィリピン海プレート内部で発生する地震の分布
その結果、応力状態はタイプIとタイプIIの二つに分類でき、
図 2 (a) 応力と水の流れやすい方向の関係
このうち、応力状態タイプIは、応力がもつ最大主応力と中間主応力の大きさがほぼ同じである(図2a赤枠)。
応力状態タイプIIは、最大主応力と中間主応力の大きさが異なり、中間主応力の向きが沈み込むフィリピン海プレートからユーラシアプレート下のマントルへ向いていた(図2a青枠)。
・水は岩石のすき間を移動するため、岩石中での水の浸透率が高いと水は流れやすい。
⇒水の浸透率はその場の応力に依存し、
⇒岩石中には中間主応力と平行な面に亀裂が生じてそこを水が流れるため、
⇒プレート内部に溜まった水は中間主応力の方向へ抜けやすいと考えられる(概要図)。
そのため、
・図2a赤枠の応力状態タイプIでは、
⇒最大主応力と中間主応力がほぼ同じ大きさで、どちらも中間主応力の働きをするので、最大主応力と中間主応力と平行な面のどちらにも亀裂が生じ、水はそれぞれの面に流れる。
図 2 (a) 応力と水の流れやすい方向の関係
・一方、図2a青枠の応力状態タイプIIでは
⇒中間主応力の方向と平行な面に集中して水が流れる。
沈み込むフィリピン海プレート内での圧力および密度を踏まえると、水の流れる方向は沈み込むフィリピン海プレートからユーラシアプレート下のマントルとなる。
・岩石中を水が流れる方向が異なると、
⇒フィリピン海プレートからユーラシアプレート下のマントルに供給される水の量も異なるため、
⇒このマントルに蓄積される水の量に差が生じると考えられる。
⇒周囲に比べてフィリピン海プレートからマントル方向へ水が流れやすい応力状態タイプIIの領域(図2b青丸)では、
⇒マントル内に周囲より水が多く蓄積されると考えられる(概要図)。
フィリピン海プレートから供給された水がマントルに多く蓄積されると岩石間の摩擦が減少して滑りやすくなるというモデルでスロー地震の発生を説明できる。
・一方、応力状態タイプIの領域(図2b赤丸)では、
⇒最大主応力と中間主応力の大きさが近いため、水の流れやすい方向が一方向ではなく、マントル内に周囲より水の蓄積が少ない紀伊水道下では、スロー地震が発生しづらいと考えられる(図2b赤色点線)。
図 2(a) 応力と水の流れやすい方向の関係、(b) 推定されたフィリピン海プレート内の応力四国および紀伊半島での深部流体の上昇域はUmeda et al. (2007)の結果を引用した※。 灰色矢印は、応力の三つの主応力の向きを示し、矢印の大きい方から、最大、中間、最小となる。応力状態タイプIでは、最大と中間の主応力の大きさが近い。
また、フィリピン海プレートからの水の供給量が高い場所では(図2b青丸)、水に含まれるヘリウム3とヘリウム4の同位体比(3He/4He比)から推定されるフィリピン海プレート起源の深部流体が上昇している場所と一致している(図2b)。これは、今回のスロー地震の発生モデルを支持する結果である。今回の結果は、沈み込むプレート内の水の挙動とスロー地震発生との関係解明に新機軸を与えると期待される。
◆スロー地震:普通の地震による断層のすべり(スリップ)よりもはるかに遅い速度で発生するすべり現象のこと。サイレント地震や、ゆっくり地震とも呼ばれている。数日から数週間、長くは数か月かけてゆっくり起こる。
スロー地震には、低周波地震(低周波微動)、超低周波地震、短期的スロースリップ、長期的スロースリップがある。
◆フィリピン海プレート起源の深部流体:フィリピン海プレートからの脱水により生じた熱水のことで、陸側プレート下のマントル成分を含みながら浅部に上昇する。