※PSMAーPETとは前立腺ガン特異タンパク質を検出するPET検査

・事例
・CTではリンパ節転移が発見できず
⇒PSMA-PETでは矢印部の転移部位を発見
※全医者が待ち望んでいる検査


■生検による高リスク前立腺ガン評価格差
・診断医間格差
・生検の再現性
※ダウングレード、ダウンステージもあり、
一方、リンパ節転移が隠れている

■治療方針
・高リスク・超高リスク
⇒拡大郭清(リンパ節転移を取り除く)を行うべき
※日本では医者まかせ



■中間・高リスク(cN1まで)の手術(再発リスクの低減を願い)
・拡大リンパ節郭清は行われるべき
⇒主治医に手術前に確認すべき
⇒医師によっては限局リンパ節郭清だけにしているケースもある
※高い手術スキルがないと拡大リンパ節郭清ができない

※診断の問題点・治療の問題点を含めて主治医と要確認が必要だ
※高リスクにおけるリンパ節転移の率
⇒23.7%
※転移の平均的大きさ:1.8mm
⇒大半のリンパ節転移をCT検査で見逃している(再発因子)
※CTでは8mm以上でないと映らない



■リンパ節郭清
・拡大郭清すると40個も発見
・転移性陽性率の推移
⇒15.8%(2015年)

・低リスク以外は
⇒骨盤リンパ節郭清を多くの場合に実施(ミニマム創)

■前立腺レクチャー7:ロボット手術・リンパ節郭清
出典:https://ohori-hosp.jp/blog/11273/
Author Ohori 医療法人社団實理会理事長、東京国際大堀病院 院長・医学博士 大堀 理(Makoto Ohori)前立腺がんの診断と治療・手術支援ロボットda Vinci 日本泌尿器科学会認定専門医,指導医,日本がん治療認定医機構専門医,ロボット外科学会国内A級認定,ロボット外科学会 国際A級認定
■早期前立腺がんのリンパ節郭清は昔から論議のあるところです。
・手術の際に前立腺をきれいに摘出するのが一番の目的ですが、
⇒前立腺の周囲にあるリンパ節(脂肪の中に隠れている)を
⇒とることも意義があるのではないか?と言われています。
・ロボットを使用した手術の方が拡大して見えるので、
⇒リンパ節もきれいに取れる感じがしますが、
⇒やはりそれなりに時間がかかります。
⇒大急ぎでやって40−50分と言ったとことです。
・前立腺のがん細胞がいく可能性のあるリンパ節は
⇒外腸骨リンパ節、内腸骨リンパ節、閉鎖リンパ節が中心です。
⇒副作用(合併症)は出血、リンパ漏(リンパ液が溜まる)、リンパ液の感染、神経損傷(極めて稀)、足のむくみ(昔から良く言われていますが実際はほとんどありません)などがあります。
・どうして、やるかやらないか議論になるかと言いますと
1)前立腺がんでも低リスクや中リスクではリンパ節転移の可能性は極めて低い、
2)一般に、特に低リスク・中リスク、前立腺がんは成長がゆっくりであり、郭清したことの意義を見出すのにかなり長期間が必要で実際、不明瞭、
3)仮に何時間もかけて術者が完璧にリンパ節を取ったと確信しても、実は約30%は取れていないことが研究でわかっている。
・一方で、診断的価値はあると言われ、
⇒特に高リスク、超高リスクでは手術前のCTで明確でなくても、
⇒リンパ節郭清をすると数%〜にリンパ節転移が発見されます。
・発見されたら、どうするかもまだ論議がありますが、
⇒早期にホルモン治療する方が良いとする有名な論文があり、それに従う医師も多いですが、
⇒ホルモン治療せずに血液のPSAを見ていくという専門医も多いです。
・実際は多くの泌尿器科医が高・超高リスクの方にはお勧めする、
⇒低リスクの方にはお勧めしない(ガイドラインでも推薦していません)、
⇒中リスクの方は、その中身(PSA値や生検のグリソンスコアの詳細)や年齢、ご希望などによって判断しているのではないかと思います。
⇒CTでわかりにくいリンパ節転移は新しい画像診断でわかると言われていて、将来、日本でも普及すると思いますが、
⇒微細な転移がわかった時にそれをどうするかは単純な様で実は複雑な問題です。
⇒だいぶ先の将来には夢の様な薬が開発され、手術も必要なくなるかもしれませんが、当面は悩みつつ相談しながら、ですね。
■ロボット支援前立腺全摘術を受けられる患者さんへの説明文書
出典:https://www.twmu.ac.jp/KC/Urology/guide/doc/pdf/da_Vinci_doc02.pdf



■前立腺癌に対する拡大リンパ節 郭清の診断的・治療的有効性
出典:https://jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=3336
【Q】前立腺癌に対する前立腺全摘術におけるリンパ節郭清は,以前は診断的な意味合いが強かったのですが,現在ではハイリスクの前立腺癌に対して拡大リンパ節郭清が根治性向上のために行われるようになっています。臨床上,リンパ節郭清についてどのような指針で対応しておられるでしょうか。前立腺癌に対するリンパ節郭清の意義や施行方法などについて,東京女子医科大学・飯塚淳平先生のご教示をお願いします。
【質問者】
中神義弘:東京医科大学病院泌尿器科講師(登録日: 2015-10-24、最終更新日: 2016-10-18)
【A】
・前立腺全摘術におけるリンパ節郭清は,
⇒従来,閉鎖リンパ節のみ(もしくは外腸骨リンパ節を含む)の限局郭清が主流でした。
⇒リンパ節郭清には診断的意義しかなく,治療的意義はない,と考えられていたからです。
⇒一方で,近年の欧米のガイドラインにおいては拡大リンパ節郭清が標準的手技として位置づけられており,
⇒従来の限局郭清では多くの見落としが起こるため,もはや施行すべきではない,とすら記されています。
⇒リンパ節郭清を行うか否かの適応はガイドラインにより若干の相違がありますが,
⇒その有用性は特に高リスク症例において明らかとなってきています。
・当科における拡大リンパ節郭清の適応は,
⇒すべての高リスク症例とノモグラムで転移予測5%を超える中リスク症例としています。
⇒当院のリスク分類はD’Amico分類によるため若干の定義の相違はありますが,EAU(European Association of Urology)のガイドラインに準拠したものとなっています。
・どのノモグラムでリンパ節転移予測を算出すべきかに関しては,
⇒いずれのガイドラインにも明記されておらず,当院ではPartin tablesにより転移予測を算出しています。
・拡大リンパ節郭清の範囲は
⇒外腸骨節,内腸骨節,閉鎖節と尿管交差部までの総腸骨節の各リンパ節と定義されていますが,
⇒これもガイドラインにより若干の相違があります。
・当科における郭清範囲は以下のように規定しています。
⇒すなわち,外側は陰部大腿神経から,
⇒内側は膀胱周囲脂肪との境界まで,
⇒背側は骨盤底部,
⇒末梢側は回旋枝の起始部から,
⇒中枢側は総腸骨動脈の尿管交差部までとしています。
外腸骨動脈の外側,および外腸骨動静脈の背側(骨盤壁との間)に関しては施行していないとする報告が多いのですが,
一方ではリンパ節マッピングの結果,外腸骨動脈の外側にも転移を認めたとする報告もあり,
施行しなくてよいとする明確な根拠は乏しいと考えています。
・現在,当科ではすべてロボット補助下に前立腺全摘術およびリンパ節郭清を行っていますが,
⇒郭清操作だけで片側約30~40分かかっており,
⇒両側で約1~1.5時間,総手術時間が延長します。
・リンパ節郭清を施行した51例において,郭清操作に起因すると考えられる合併症は
⇒現在まで3例に認めており,リンパ嚢腫2例と深部静脈血栓症1例です。
⇒リンパ嚢腫は1例において感染を併発したため洗浄ドレナージを要しましたが,1例は保存的に治療できました。
⇒深部静脈血栓症はリンパ節郭清を施行しなくても発症しうる合併症ですが,郭清操作による手術時間の延長は避けられず,注意が必要であると考えています。
・拡大リンパ節郭清の診断的有用性に関しては多くの報告により明らかですが,
⇒近年ではその治療的有用性を示す報告も散見されるようになってきました。
現在,欧米において前立腺全摘術における拡大リンパ節郭清の有効性を検証するランダム化比較試験が複数進行中であり,これらの結果が待たれるところです。
■ロボット支援根治的前立腺摘除術
社会福祉法人 同愛記念病院
出典:https://www.doai.jp/sinryo/hinyoukika/pdf/shujutsu17.pdf




















