敗戦後(1945年)、
1,000万人が餓死すると言われたほど、深刻な食糧不足に陥り、
かつ痩せた土地(黒ボク土)に対し、
食料増産を図る観点から、
化学肥料や農薬の多投による慣行農法は、短期的には省力化や生産性の向上をもたらした。
しかしながら、他方で、中長期的には土壌の劣化や水質汚染をもたらし、
その結果、生産性の低下や健康被害をもたらした。
『食料生産の持続性』は、
人類生存の基本である事から、この慣行農法に関する見直しが始まり、
それに代わる農法として、
『環境保全・循環型農法』の開発が始まった。
その立ち位置は、
慣行農法の前の時代に発展してきた方法を土台にしており、
土壌の生産力を超えない収穫量が原則である為、
反当り生産量は慣行農法に比べるとかなり少なくなる。
従って、ビジネスとして立ち行くための『ビジネスモデル』を構築する必要がある。
◆1.環境保全型農業とは
環境保全を目的とする農法である事から、
方法は多種多様であり、
農薬・化学肥料の減量化した農法もその中に入る。
自然生態系と調和した農法であるが故に自然環境や農作物についての観察力・知恵、更に人力も必要になる。
この為、自然循環型農業が占める面積は日本で1%未満である事からも分かるように、農業経営上の困難さは環境保全型農業を遅らせている。
一方、個人が週末に行う家庭菜園規模(7m×7m=49㎡)では、ほぼ環境保全型農法を実践出来ている。
家庭菜園レベル(7m×7m=49㎡)には大きなギャップが存在するが、
それを埋める事例としてキューバの都市農業や滋賀県の『環境こだわり農産物認証』等は道しるべとして参考になる。
◆キューバ農業における農薬使用量の変遷と都市農業生産の推移
1998年の冷戦終了により、キューバは食料危機に直面し、大規模国営農場が解体され、『小規模化』する農業改革がなされ、都市部に住む多くの人々が、家庭菜園をするきっかけにもなり、有機農業転換への一助となった事例は、今日の世界各国の都市住民にとって参考となる雛形であり、示唆に富むと考える。
1989年の農薬の使用量は9,740トン、1995年には4,124トン、2000年には3,213トン、2005年には2,558トンにまで激減している。
他方、都市農業生産の推移は、1989年はゼロ、1995年には40,000トン、2000年には1,680,000トン、2005年には4,110,000トンにまで急激的に激増している。
都市農業生産は、2005年の農産物合計の9,646,785トンの43%を占めるまでになった。
◆滋賀県環境こだわり農産物認証事例
詳細内容は、
メニュー『環境保全型農業が取組むブランド創造事例と環境破壊がもたらすブランド喪失』の■■環境保全と土壌管理を結び付けた『安全で栄養価が高くて美味しい』ブランド創造 にて記載。
2020年5月に『欧州グリーンディール』を先取りする動きである。
2030年までの10年間に
・農薬の50%削減
・化学肥料の20%削減
・有機栽培面積の25%への拡大
等を明記した。