■MRI-超音波融合標的生検
出典:【オンライン医療講演】前立腺がん最新の組織検査〜ターゲット生検〜 医療法人徳洲会 南部徳洲会病院




■検査中でも前立腺は動く
・患者の体動やプローブの押し付けで
⇒前立腺は変形する
⇒更に、腸内ガスが降りてきたり、便の移動の影響も(放射線治療の際に問題になる)
⇒標的のズレを修正し、標的を外さない(臓器自動追跡)


■腫瘍の採取困難領域

■問題解決(腫瘍の採取困難領域)


■従来、針が届きにくい部位(採取困難領域)も生検が出来る


■効果(メリット)

<参考情報>
・トリニティMRIフュージョン標的生検
⇒MRIと超音波画像を融合させて前立腺内の病変部位を特定し、生検を行う技術。
⇒前立腺がんの診断に有用なツールとして、保険適用されている。
【保険適用】
- 2022年度の診療報酬改定で保険適応されました
- MRI-超音波融合画像ガイド下前立腺生検(MRI/US fusion guided biopsy)という名称で保険点数が定められています
【使用機器】
- トリニティ(仏 コエリス社製)の生検システムを使用します
- MRI/US 弾性融合技術と独自のセンサーレス画像ベースの臓器追跡技術(OBT Fusion®)を組み合わせています
■従来の前立腺生検の問題点
従来は8 ~12箇所の無作為抽出法(系統的生検:図1)による生検が標準とされてきましたが、
MRIの進歩に伴い、生検前のMRI情報に基づいたtarget生検(MRIでがんが疑われる病変を狙って生
検する方法)が普及しつつあります。
ただ、当初施行されていたcognitive fusion(経直腸超音波を用いた前立腺生検施行時に、MRIでのtargetをおおよその病変を頭の中で超音波画像と融合させる方法:図2)でさえも、
⇒小さな病変やtargetの部位によっては正確なtargetingができない症例が存在します。

出典:https://www.okamoto-hp.or.jp/oka2/about/pdf/chiren_25.pdf
※従来の前立腺生検では標的病変が小さかったり、
⇒ターゲットが前立腺腹側にあるため生検困難と思われる症例や、
⇒再生検が必要と判断された患者様も
⇒このMRIフュージョン生検法により正確に組織採取・診断が可能となりますので、適応の患者様がいらっしゃいましたらご紹介の程宜しくお願い致します。
※当院ではこのMRIフュージョン生検を経会陰的に施行する為、麻酔科管理のもと2泊3日の入院で行っております。
⇒所要時間は30分程度で、これまでに80例ほどの症例を経験しました。
⇒通常の生検に比べてやや煩雑な準備工程がありますが、
⇒2022年度の診療報酬改定により正式に保険適応となり、
⇒従来の生検に比べ約5倍の点数が認められた事によりこれも解決しました。

■前立腺肥大があると
特に前立腺肥大症を伴う大きな前立腺の場合(前立腺肥大症があると前立腺癌になりやすいわけでは決してありません)、
⇒従来法では病変部を正確に採取することがより難しくなります。
⇒当科で行っているMRIとエコーを癒合した画像を用いた生検(フュージョン生検)では、かなりの精度で病変を採取することができます。

※生検針が、がん組織に当たらなかった場合のイメージ図:この場合、「がんではない」という診断結果になってしまいます
本当にがんでなければよいのですが、
⇒引き続きPSAが高値で2次検査で再びがんの疑いが出てしまうと、
⇒複数回前立腺生検を受けることになり、
⇒ようやく前立腺がんが見つかった時には症状が進んでしまっていた、という事態も考えられます。

■検査スケジュール例

■MRI/超音波融合生検の実際の費用
■2泊3日の検査入院(経会陰式にて/上記『検査スケジュール例』と同じ)
・検査:8,210点
・包括評価診療(DPC):12,647点
・麻酔:1,004点
・病理診断:840点
・医学管理等:630点
・その他:492点
小計:23,823点
※一部負担金:¥48.340円
※入院時食事療養費:¥2,910円
※食事自己負担額:¥2,040円
■総点数:24,168点
◆総医療費:¥244,590円
・自己負担額(20%):¥50,380円
・保険等負担額:¥194,210円
■MRI/超音波融合生検の費用(主治医に要確認)
2022 年 5 月 1 日より健康保険適用となり、費用が抑えられます。
これまでは…通常の入院検査費(3 割負担で 4 万円)に加え、
⇒先進医療費 11 万円
⇒保険適用後…入院費用(3 割負担で)約 69,000 円
※食事代や差額ベッド代などは別途かかります。
・2022年度の診療報酬改定において保険収載された。
⇒この技術は、特定の施設基準を満たした医療機関でのみ実施可能で、
⇒診療報酬点数は8,210点とされている。
【保険適用条件】
・超音波検査では検出できず、
⇒MRI撮影によってのみ検出できる病変が認められる患者に対して、
⇒当該病変が含まれる前立腺を生検する目的で実施した場合に限り算定できます
※MRIにて異常所見をみとめる患者さん
(PIRADS ( Prostate imaging -reporting and data system) ver 2, スコア3から5)
※【保険点数のコード】
8,210点。(1点10円、8,210×10=82,100円)
※検査には2泊3日の入院が必要で、先進医療の費用は約110,900円です。

※PIRADS ver 2は以下①~③の像をそれぞれ評価する必要がある。
その評価方法は辺縁領域と移行領域とで異なる。
①T2強調像
②拡散強調像
③ダイナミック造影像
⇒造影剤を静脈に急速に注入しながら撮影するMRI検査です。
⇒造影剤の濃度変化を画像化することで、腫瘍の循環動態を定量評価し、診断や治療効果の判定に役立ちます。
※MRI検査には、造影剤を使用しない単純検査と、造影剤を使用する造影検査がある。
■MRI/超音波融合生検
⇒近年は先に写したMRIの画像データを生検時の超音波画像と融合し、
⇒がん細胞の位置を確認しながら狙った位置に針を刺す「MRI/超音波融合生検」が注目されています。
⇒「MRI/US融合生検」「フュージョンバイオプシー」あるいは「ターゲットバイオプシー」とも呼ばれています。
⇒PSAが高いにも関わらず、
⇒標準的生検を繰り返してもがんを発見できない方が時々おられますが、
⇒そのような方には、この「MRI/超音波融合生検」をお勧めしています。
※「MRI/超音波融合生検」の実施施設(2024年9月現在:リスト漏れも有る事に注意)



3次元化した前立腺の超音波画像に、 MRI画像を融合し、生検の採取ヶ所をすべて正確に記録することが可能であり、 的中精度が向上し、がんの発見がしやすくなるので、生検の本数が減らせ、病理検査においてもより正確な評価が可能となり、再生検にも有利となるので、今後さらなる普及が期待されます。

出典:https://pros-can.net/01/01-2.html#301
<参考情報>
出典:https://www.m.chiba-u.ac.jp/class/urology/patient/sinryo/index.html

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2019年11月より、Koelis社のTrinityを用いたMRI-超音波画像融合前立腺標的生検(MRI-TRUS融合画像リアルタイムガイド下経直腸式前立腺標的狙撃生検)を導入しました。 これまでは前立腺癌が疑われ、MRI画像で異常信号(がん疑いの病変)を認めた場合でも、腫瘍性病変から正確に生検組織を採取することは容易ではありませんでした。 MRI-超音波画像融合前立腺標的生検を用いることにより、従来の系統的生検と比較して、より正確な診断、リスク評価につながり、治療法選択の際にもより重要な情報を得る利点があると考えられます。 ![]() 図の黄色が標的部位、赤が実際に針生検にて採取した部位 (アムコ社より提供) |
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副腎・腎・上部尿路疾患(癌を含む)の手術、早期前立腺癌に対する前立腺全摘除術、リンパ節郭清術に対して腹腔鏡手術を実施しています。 |

出典:https://jcr.or.jp/site/wp-content/uploads/2022/07/20220704_1-1.pdf
■MRI/超音波融合生検(標的生検)


・本システムでは
①MRI画像にて前立腺がんを疑う部位を超音波画像と融合させることで、
⇒前立腺がんが疑わしい部位をより正確に組織採取することが可能となります。
②超音波画像による前立腺の3D立体イメージを使用して、
⇒実際にどの部位の針生検が行われたかを立体的に表示して記録することも可能です。
⇒前立腺の3D立体イメージへのがんの局在をマーキングする機能により、
⇒ロボット支援前立腺全摘除術時における手術ナビゲーションに応用することも可能となり、
⇒将来的にはこれらの機能を利用して前立腺がんの局所療法への応用も期待されています。

出典:https://www.med.tottori-u.ac.jp/urology/introduction/advanced/zenritsusengan/seiken.html
■MRI/超音波融合による前立腺生検とロボット手術とのデータ共有
・MRI/超音波融合による前立腺生検(標的生検)
⇒前立腺がんの確定診断には、前立腺生検が必要です。
⇒今回当院では、より正確な前立腺生検を可能とするMRI-超音波融合生検を開始しました。
⇒MRI-超音波融合生検は過去に撮影したMRI情報にリアルタイムの3次元USデータを高い精度で融合することで正確なtargetが可能となります。

・ロボット手術とのデータ(3Dマッピング)共有
⇒今回当院で導入したMRI-超音波融合機器(KOELIS トリニティ)は、
⇒MRIおよび生検結果より前立腺の3D立体イメージへのがんの局在を表示する機能を有しております。
⇒ロボット支援前立腺全摘除術時における手術ナビゲーションに応用することも可能となり、
⇒より精度の高い手術(具体的には手術時の外科的断端陽性率の低下)が可能となります。

<参考情報>
■手術の質の評価項目
◆切断断端(断端陽性率)
⇒pT2の場合:断端陽性は-
※但し、手術ミスでガン細胞領域を斜めに切除すると
⇒断端陽性は+になる
⇒pT3の場合:断端陽性は-と+(膜外浸潤部位)の混在



※MRI/超音波融合による前立腺生検と手術へのデータ共有概念イメージ

出典:https://tmdu.tokyo/schedule/07.html 東京科学大学大学院医歯学総合研究科 泌尿器外科学教室
■MRI-超音波 弾性融合画像ガイド下前立腺生検
■生検の問題点



■MRI-超音波 弾性融合画像ガイド下前立腺生検
・MRIと超音波画像を融合させて、
⇒前立腺がんの疑われる部位を正確に生検する検査
⇒従来の超音波検査のみの前立腺生検と比べて、前立腺がんの検出精度が向上している
【特徴】
・MRIで前立腺がんが疑われる部位を特定し、超音波画像上に表示させる
・生検時に超音波画像とMRI画像を重ね合わせて表示させる
・超音波画像による前立腺の3D立体イメージを作成し、生検の精密さと信頼性を向上させる
・前立腺がんの早期発見や、前立腺生検による再生検の必要性を減らす効果が期待できる


【適応】
・病変が小さかったり、
・従来の前立腺生検では前立腺がんの診断ができず
⇒再生検が必要と判断された患者様
【保険適用】
・2022年の診療報酬改定で保険収載され、健康保険が適用されるようになりました。
■MRI-経直腸超音波融合画像ガイド下前立腺生検とは
出典:鳥取大学医学部 器官制御外科学講座 腎泌尿器学分野
https://www.med.tottori-u.ac.jp/urology/introduction/advanced/zenritsusengan/seiken.html
2017年8月に、超音波画像診断装置KOELIS TRINITY(株式会社アムコ)を導入しました。
山陰地区では初の導入となり、本邦では5施設目の導入となります。
本システムは前立腺がんの診断の際に、より正確な前立腺針生検をサポートするシステムとして開発された超音波画像診断装置です。

■前立腺がんの画像診断には、
・主に経直腸超音波検査、CT(コンピュータ断層撮影)検査、MRI(核磁気共鳴画像)検査などがありますが、
⇒前立腺がんの局在診断についてはMRI検査が最も診断能力に優れています。
⇒しかし、MRIガイド下での前立腺針生検法は一般的な普及には至っていません。
・このため従来法では
⇒MRI画像を医師の頭の中でイメージしつつ、
⇒経直腸超音波検査を用いて前立腺針生検を実施していました。
・このような理由から、MRI画像で前立腺がんが疑われていても、
⇒超音波ガイド下の針生検では、
⇒がんを発見できない場合があったと推測されます。
・今回導入した超音波システム(MRI-経直腸超音波融合画像ガイド下前立腺生検)を用いることで、
⇒MRI画像を超音波診断装置内に取り込んで融合画像を構築することが可能となります。
⇒つまり、MRI画像にて前立腺がんを疑う部位を超音波画像と融合させることで、
⇒前立腺がんが疑わしい部位をより正確に組織採取することが可能となります。

■また、前立腺の動きや変形を自動的に補正した3D立体イメージとして表示することで、
⇒前立腺針生検の精密さと信頼性の向上が期待されています。
⇒本システムを用いたMRIと超音波画像の融合によるFusion 前立腺針生検法では、
⇒従来の超音波画像のみの前立腺針生検法と比較して、
⇒前立腺がんの検出精度の向上が報告されています。
・また、本システムでは超音波画像による前立腺の3D立体イメージを使用して、
⇒実際にどの部位の針生検が行われたかを立体的に表示して記録することも可能です。
⇒前立腺の3D立体イメージへのがんの局在をマーキングする機能により、
⇒ロボット支援前立腺全摘除術時における手術ナビゲーションに応用することも可能となり、
⇒将来的にはこれらの機能を利用して前立腺がんの局所療法への応用も期待されています。

<参考情報>

下図動画紹介時間


出典:「前立腺がん治療における手術の進歩と役割について」 社会医療法人 熊谷総合病院 泌尿器科 川島清隆氏
■前立腺癌に対するMRI/US fusion guided biopsy

前立腺癌に対するPSA検診および系統的前立腺生検の問題点に対するMRI/US fusion guided biopsyによる正確な臨床診断がもたらす有益性について、自施設での経験を交えて宮地 禎幸先生に解説いただいています。
出典:https://radiology.bayer.jp/training/biopsy_movie/01




■過剰治療?








・グリソンスコアの細分化(2016.v3)



■系統的前立腺生検の問題点(従来の生検)

【事例内容】








■解決策
・MRI/US fusion guided biopsyの導入


・事例紹介

<参考情報>

・PSA20.0ng/mL以下の症例事例

・事例紹介1
⇒PI-RADS:4

・全摘標本の解析結果

・事例紹介2
⇒PI-RADS:4








■『前立腺癌に対するMRI/US fusion-guided biopsy VOL 2「放射線科医の立場から」』






■前立腺マルチパラメトリックMRI(mpMRI)
・T2WI=T2強調像
・DCE-MRI=ダイナミック造影
・DWI=拡散強調像

・移行域の腹側の臨床的有為ガンも明瞭に描写

<参考情報>

■PI-RADS v2.1
⇒マルチパラメトリックMRIの診断法

・辺縁域(PZ)に腫瘍があった場合



・移行域(TZ)に腫瘍があった場合




・画像は経験が豊富な放射線医によって評価する









■弾性融合

■PSA6.70ng/mLの事例






■PI-RADS v2.1で評価












■『前立腺癌に対するMRI/US fusion-guided biopsy VOL 3 検査の流れ : 前処置、MRI撮像、画像の取り込み』

















<参考情報>


・MRI検査の限界
⇒MRI検査で病期はcT3aと評価したが
⇒手術後の標本を調べたらpT2c(MRI検査は過剰診断だった)






■『前立腺癌に対するMRI/US fusion-guided biopsy VOL 4 検査の流れ : 標的生検手技』







<参考情報>























<参考情報>

■局所再発ガンに対する救済Focal brachytherapy
・小線源部分的治療

・9例の実例


出典:根治的治療後に再発した前立腺がんの診断と治療
東京医科歯科大学大学院 腎泌尿器外科学 教授 藤井 靖久先生 2020/03/27


















■MRI-超音波 弾性融合画像ガイド下前立腺生検





■MRI-超音波 弾性融合画像ガイド下前立腺生検のワークフロー



■MRI/超音波融合生検と弾性融合画像ガイド下生検の違い(Microsoft Copilotの回答)
MRI/超音波融合生検と弾性融合画像ガイド下生検は、どちらも前立腺がんの診断精度を向上させるための技術ですが、いくつかの違いがあります。
■MRI/超音波融合生検
手法:MRIで撮影した画像を超音波画像と融合させ、がんが疑われる部位を特定して生検を行います。
特徴:MRIの高解像度画像を利用することで、がんの位置をより正確に特定できます。
利点:従来のランダムな生検に比べ、がんの検出率が高く、不要な生検を減らすことが可能です。
適応:MRIで異常が検出されたが、超音波では確認できない場合に特に有効です。
■弾性融合画像ガイド下生検
手法:超音波画像に基づき、前立腺の弾性(硬さ)を測定し、がんが疑われる硬い部位をターゲットに生検を行います。
特徴:前立腺の硬さを可視化することで、がんの可能性が高い部位を特定します。
利点:がんの硬さに基づくため、特に進行がんの検出に有効です。
適応:超音波で硬さの異常が確認された場合に使用されることが多い。