🔳4大生活習慣病から『慢性腎臓病(CKD)』を取り上げる。
■腎臓の働き(役割)
◆腎臓は血液をろ過し、尿を作り、身体に不要となった塩分や老廃物を身体から排泄する役割を担っている。
・腎臓は血液の酸度を一定に保つ役割もある。
注)人間の血液は、弱アルカリ性(ph7.35~7.45)に保たれている。
・血液と腎臓の働き
⇒血液は酸素や栄養素を全身に運ぶとともに、老廃物や毒素も受け取って循環している。
⇒全身を巡って汚れた血液は、やがて腎臓を通る。
⇒腎臓では、血液から老廃物や毒素をろ過して取り除き、綺麗に浄化する。
⇒余分な水分なども一緒に取り除く。
⇒腎臓が1日にろ過する血液の量は150Lと言われており、大型のドラム缶1本分に相当する。
・腎臓で尿を作っているのは『ネフロン=糸球体』という構造
⇒ネフロンは腎臓の最小単位の構造体物であり、腎臓1個に約100万個ある。
⇒毛細血管が詰まった『糸球体』と呼ばれる組織で、ボーマン嚢(のう)と言う袋に包まれている。
・糸球体に血液が送り込まれると
⇒糸球体ろ過により毛細血管からボーマン嚢に水分が滲み出る。これが尿の元(原尿)になる。
⇒原尿は『尿細管』という細い管に流れていく。
⇒『尿細管』は、原尿から塩分やタンパク質など、身体にとって必要な物質を選び出し、その99%を再吸収する。
⇒最終的に残り1%が、不要な老廃物を含んだ水分である尿として、体外に排出される。
上記記載内容は「尿で知る腎臓の病気」尿の作られ方より転記(下記のURLから参照)
https://www.adpkd.jp/yomoyama/vol08_01.html
◆腎臓の検診
腎機能の評価には様々な検査がある。
・血清クレアチニンの意義
⇒クレアチニンは主に筋肉で産生され、血液内を流れ、腎臓でろ過され、尿から排泄される。
⇒筋肉で産生されるクレアチニン量は、筋肉量に依存してほぼ一定。
⇒一方、尿から排泄されるクレアチニン量は、腎臓でろ過される血液の量に依存。
⇒腎臓でろ過される血液の量を、糸球体ろ過量(GFR)と言い、腎臓の機能を表す主要な指標となる。
【腎臓の機能が悪化した場合】
・尿への排泄量(GFR)が低下すると、血清クレアチニンの値が上昇。
⇒正常値を少し超えた程度の異常値の場合、自覚症状はほとんどないが、
⇒腎機能としては大きく低下している事があるため注意が必要。
・腎臓の機能を評価するため
⇒血清クレアチニン値だけでなく、年齢、性別、および血清クレアチニン値で算出される推算GFR(eGFR)の値も参考にする。
・慢性腎臓病(CKD)のステージ(eGFR)に応じたタンパク質・食塩・カリウム制限
■慢性腎臓病(CKD)の食事療法
・腎臓の働きが健康なときのeGFRが60%未満になるステージ3aから食事療法が始まる。
⇒腎臓は飲食の影響を受けやすいため、食事に気をつけることで腎臓の負担を軽減し、病気の進行を遅らせることも可能。
◆たんぱく質制限(ステージ3a(eGFR 45~55)から始まる)
・たんぱく質は体内で分解されて老廃物となり、ろ過する腎臓の負担を増やすため、摂取を制限。
⇒腎臓の機能が低下してくると、たんぱく質が代謝されてできる老廃物(燃えカス)が腎臓から排泄されず体内に蓄積するようになり、腎機能の悪化や尿毒症などを引き起こす。
◆カリウム制限(ステージ3b(eGFR 30~44)から始まる)
・高血圧予防に効果があるカリウム含有食品。
⇒一方、慢性腎臓病ではカリウム制限がステージ3bから始まる。
◆リン制限
・尿中に排泄されるべきリンは腎不全、透析の患者では血中に溜まり血液中のリン濃度が上昇。
⇒リンは体を構成しているタンパク質に含まれている。
⇒ヒトの体内のリンの総量は0.7~0.8kgで、多くはカルシウムと結合して骨にあるが、タンパク質として体のすべての組織にも含まれている。
・リン摂取量はタンパク質摂取量と相関する
⇒タンパク質1g当たりリンは15mg含まれる。
・タンパク質とリンの一日摂取量はどれ位に制限するべきか
⇒一般に、体重50~60 kgの人ではタンパク質60g/日までに制限。
⇒リンとしては60(g)×15(mg)=900mgまでとなる。
⇒リン利用率を考えると動物性タンパク質と冷凍・加工食品には特に気をつける。
・主な食品のリン含有量早見表例(目安として)
・リン酸はエネルギー(ATP)の基
◆栄養素のバランス
・適正エネルギー量(総カロリー量)はしっかり摂る
🔳慢性腎臓病(CKD)
◆慢性腎臓病とは『腎臓の障害』と『腎機能低下』に分けられる。
・『腎臓の障害』
⇒「蛋白尿」や「腎形態異常」を指す。
・『腎機能低下』
⇒糸球体ろ過量60ml/min/1.73㎡未満を指す。
【生活習慣病との関連】
・慢性腎臓病(CKD)の原因の一つとして、食生活が大きく影響していると言われている。
⇒初期の腎臓病ではほとんど自覚症状がない
⇒腎臓の機能がある程度まで低下してしまうと
⇒元の状態に戻らない。
⇒腎臓病の進行を遅らせるためにも、薬物療法だけでなく『薬物療法+食事療法』が大切
・生活習慣病は、
⇒心臓病・脳血管障害(脳卒中)・足壊疽(えそ)などの全身の血管に関連する病気(心血管病)に深く関与している。
・腎臓には
⇒心臓から送り出される血液の1/5が流れ込む。
⇒このため、腎臓は非常に血管に富んでおり、血液をろ過するために糸球体
⇒身体に必要な水分や塩分の微調節
⇒老廃物の排泄・再吸収を担っている腎尿細管の周囲にも豊富な血管ネットワークが構築されている。
・生活習慣病による血管障害
⇒腎臓にも悪影響を及ぼし
⇒透析治療を必要とする末期腎不全(ステージ5)の原因として近年増加している。
⇒腎臓病が進行すると心血管病を増悪させるなどの悪循環に陥ることもよく知られている。
注)糖尿病性腎症
⇒糖尿病の合併症の一つで、高血糖により腎臓のろ過機能が低下する疾患。
⇒透析患者のうち、原因疾患で最も多いのは糖尿病性腎症で、39.1%(2019年末現在)を占めている。
【発症進展予防】
・食事管理、適度な運動、禁煙といった生活習慣の是正が大切。
⇒生活習慣の改善及び生活習慣病の適切な治療は心血管病だけでなく腎臓病進行抑制にも非常に重要。
⇒早期発見し早期治療をすれば寛解する場合もある。
上記内容は腎臓の病気を調べる「4.急性腎障害と慢性腎臓病」より転記(下記のURLから)
https://jsn.or.jp/general/kidneydisease/symptoms04.php
【高齢者の心疾患患者の腎機能を維持するために】
東北大学は、外来通院型の包括的な心臓リハビリテーションプログラムに参加することや、身体活動量を高く保つことが、75歳以上の後期高齢心疾患患者の腎機能維持に寄与する可能性があることを発表した。(保健指導リソースガイド 2021年02月09日付けニュースより)
🔳末期腎不全であるステージ5(eGFR 15未満)になると透析治療
🔳腎臓にやさしい食事にするためのポイント