■昔の家(断熱等級2)、いまの家(断熱等級4)、これからの家(HEAT20 G2≒断熱等級6)
◆これからの家
・HEAT20 G2、気密性能C値1以下。
・『断熱・気密』強化でどれだけ変わるの?暖房費
<参考情報>
・断熱等性能等級
等級7:HEAT20 G3相当(2022年10月施行)
等級6:HEAT20 G2相当(2022年10月施行)
等級5:ZEH基準相当(2022年4月施行)
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等級4:平成28年(2016年)省エネルギー基準
注)平成11年(1999年)に定められた「次世代省エネ基準」と言われるものとほとんど同じ
等級3:平成4年(1992年)省エネルギー基準
等級2:昭和55年(1980年)省エネルギー基準
等級1:無断熱(等級2に満たないもの)
■電気単価の推移
・2011年の東日本大震災後のエネルギー供給制約(多くの原発の一時停止)から
⇒代替エネルギー源の使用増を起因とする電気単価の上昇が続くが
・2015年頃から米国のシェールオイル革命により新規供給源が生まれ、
⇒世界的にエネルギーコストの低下が進み、電気単価も下落。
・2022年2月末、ロシア軍によるウクライナ侵攻とセットで露産天然ガスの大幅な供給制限
⇒主要電力エネルギー源の天然ガス不足に直面及び価格高騰化の継続
⇒特に露からの天然ガスパイプラインで接続されていた欧州各国の電気料金の暴騰が酷い。
⇒欧州諸国が非露産天然ガスを求めて争奪競争の発生、価格の暴騰化を長期化させている。
⇒一方、中国・インドは露産天然ガス(液化天然ガスを含む)・原油の買い手で資源価格の高騰を回避している。
■窓ガラスの省エネ対策による改善効果を検討
◆単板ガラス熱貫流率6.0W/(㎡k)から真空複層ガラス2.6W/(㎡k)に取替の概算見通し
・SMASH計算モデルによる「戸建モデル住宅における暖冷房負荷比較」から推測
⇒『暖房』省エネ率(52%:複層ガラス)から約半分程度のコスト削減が想定される。
◆リビングの単板ガラス(2.9m×3.1m:Fix窓、引違窓)を真空複層ガラスに取替効果予測
・真空複層ガラスの熱貫流率:2.6W/(㎡k)なので複層ガラスより省エネ性能が高い。
・一方、SMASH計算モデルの複層ガラスの熱貫流率:2.9W/(㎡k)
⇒概ね半分以上のコスト削減が想定可能になる。
但し、戸建とマンション(上下左右隣戸で囲まれた住戸)では外皮性能Ua値や気密C値で違うが。
◆電気料金削減額試算:リビングの単板を真空複層ガラス・真空複層断熱ガラスに交換
・U値(Uw):窓から逃げる熱量
⇒数値が低い程、高性能なガラス(=窓から熱量が逃げない)。
注①)真空複層ガラス+採光型ハニカムブラインドの重ね使いの熱貫流率
⇒概ね1.77~1.65W/(㎡k)を想定。
注②)冬季で晴れた日のエアコン使用時間帯:午後6時~午後11時の5時間程度。
■昼間の日射取得率を最大化する観点から
◆敢えてリビングに『真空複層ガラス2.6W/(㎡k)』を選択
・制約条件:アルミサッシ枠の交換は出来ない。
⇒ガラスの特性比較だけでは不十分。
⇒窓(サッシ+ガラス)一体で評価が必要。
・『ガラスのみ』の昼間の熱収支比較(1㎡の窓の熱収支比較)
⇒昼間の真空複層ガラス(クリアFit)と真空複層断熱ガラス(スペーシア)はほぼ同じ。
・サッシ材料による表面温度(熱伝導)&ガラス特性による表面温度比較
⇒サッシ材料:アルミサッシ(0.1℃)、アルミ樹脂複合(9.7℃)、フル樹脂(15.7℃)
⇒ガラス:単板(4.9℃)、普通二層(13.3℃)、Low-e二層(16.9℃)、Low-e三層(18.6℃)
注)室内温度20℃、屋外温度0℃でのデータ及び室内湿度30%以上で
⇒アルミサッシは結露が発生する。
・窓(サッシ+ガラス)一体の性能比較
・ダイレクトゲイン手法による蓄熱環境の整備
⇒日射取得率の最大化が望ましい。
⇒熱を吸収する面と放散する面が同一。
⇒床・壁・天井等、日射を受けた部分から熱を放散させる自然暖房の手法。
■日射(ダイレクトゲイン)と開口部の熱損失との収支対策
◆真空複層ガラス(熱貫流率2.6W/(㎡k))とハニカムブラインドの重ね使い
・真空Low-e断熱ガラスを使用すると熱貫流率(1.4W/(㎡k))は低くなるが
⇒日射熱取得率(0.64)も小さくなる。
・真空複層ガラス(熱貫流率2.6W/(㎡k))とハニカムブラインドの重ね使いをすれば
⇒日射の取得時はハニカムブラインドを上げて日射熱取得率(0.77)を下げずに集熱ができ、
⇒夕日が沈む前にハニカムブライドを下ろして断熱性を高め、
⇒熱貫流率(概ね1.77~1.65W/(㎡k))を更に低くして、熱損失を抑えることが出来る。
・真空複層ガラスとハニカムブラインド組合せ推定熱貫流率試算
⇒真空複層ガラス単独2.6W/(㎡k)⇒組合せで概ね1.77~1.65W/(㎡k)に改善が期待出来る。
但し、ハニカムブラインドのU値を5.5と4.5にて仮定し、想定幅で評価。
注)複層ガラスとの組合せ:複層ガラス熱貫流率:3.4W/(㎡k)⇒組合せ熱貫流率2.1W/(㎡k)
・ハニカムブラインドのU値を仮定(5.5と4.5の二ケース比較)して試算
⇒U値(5.5と4.5)の逆数のR値を算出し、R値の合計から再度逆数にして、組合せのU値を求める。
注)IKEAのハニカムブラインドHOPPVALSのU値が不明なので仮定値として2種類を採用。
◆『採光型』ハニカムブラインドの弱点
・対流に対しては効果が有るが
⇒放射(室内の輻射熱)には全く効果がなく、室外に熱移動(高い温度から低い温度へ)。
尚、熱損出の60%は放射が占める。
◆参考データ①:ガラスの日射侵入率(日射熱取得率比較データ)
・冬季の昼間の強烈な日射量(南面)を有効に活用するならレースカーテン等を使用しない。
⇒レースカーテンを使用すると真空ガラス:遮熱(≒スペーシアクール)と同程度になる。
⇒日射熱取得率を最大化するためには冬季の期間中は『網戸』を取り外す。
◆参考データ②:東面と西面に窓が有る住戸の場合は日射遮蔽タイプの硝子
・夏季は直接朝日と西日が水平に部屋に入るのでLow-e真空複層遮蔽タイプの硝子を選択。
・冬季は気温が低い為に東日・西日が室内に入る熱取得量程度では直ぐに熱が窓から逃げるので
⇒Low-e真空複層遮蔽タイプ(熱が一番逃げにくい)の硝子の選択となる。同様に北面の窓も。
■健康空間の要因は 温度と湿度のバランス
❖温度と湿度と免疫力の相互関係
◆呼吸
⇒人間の呼吸数/1日当りは20,000~28,000回(1呼吸に4秒程度)。
⇒「乾燥した空気」と『適度な湿気を含む空気』を吸うのでは健康に大きな違いを生み出す。
・喉(口腔粘膜)や鼻(線毛活動)の機能
⇒インフルエンザや風邪のウイルスを捕まえて体内の侵入を防いでいる。
◆免疫と湿度の関係
・湿度が40%を下回ると
⇒ウイルスを捕まえて体内の侵入を防ぐ活動が弱まる。
・湿度が30%以下の過乾燥状態では
⇒体内の侵入を防ぐ活動は顕著に弱まり、
⇒免疫力は大幅に低下する。
・インフルエンザウイルスは
⇒湿度が40%以下になると『活性化』が始まり、
⇒30%を切る過乾燥では更に活性化していく。
◆温度と免疫力の関係
⇒体温が1℃下がると、免疫力は30%~40%低下すると言われている。
・体温低下による免疫力低下の理由
①血液中の赤血球や白血球そしてリンパ球などは、血液に運ばれて、体内を巡る。
②心臓から出た動脈は、太さによって大動脈そして細動脈、最後に毛細血管と呼ばれるものになり。 心臓に戻る時はその逆で、毛細血管⇒細静脈⇒大静脈となる。
③大動脈、細動脈、細静脈、大静脈の血管の壁には孔が開いていないが、
⇒毛細血管だけは白血球やリンパ球が出入りできる大きさの孔が開いている。
・免疫機能
⇒心臓から動脈を通って運ばれたリンパ球は、
⇒毛細血管から血管外に出て(遊走)、 各細胞に入り込む。
⇒そこでウイルスや病原体を退治したり、異物を除去したりする。
・体温が下がると
⇒自律神経による作用で毛細血管が収縮し、
⇒遊走するリンパ球が少なくなる。
⇒つまり免疫力が低下してしまいます。
⇒一般に暖房の場合には『20℃程度』の確保が望ましいと言われている。
・血液の働き(運搬・調整・免疫・止血)
◆2040とは、
・室温20℃+湿度40%という健康空間を意味する
・過乾燥(湿度30%以下)のもたらす健康被害
■結露
◆結露の発生原理
・暖かくて水分を含んだ室内の空気が
⇒冷たい窓ガラスの表面で冷却され、部分的に湿度が100%を超えることで発生する。
・湿度
⇒正確には相対湿度と呼ばれるもので気温と密接に関係した値。
・相対湿度
⇒大気中に含まれる水蒸気の量を
⇒その時の気温に応じた飽和水蒸気量で割ることで求められる。
・飽和水蒸気量
⇒大気中に含むことが出来る水分(水蒸気)量の上限値で、
⇒空気は気温が高いほど多くの水分を含むことが出来る。
・断熱性の高い複層ガラス
⇒断熱空気層の効果で室内側ガラスは外気の影響を受けにくくなり、
⇒室内側のガラス表面温度が室内温度に近くなることで、結露が起きにくくなる。
■Climate Consultantを活用した露点温度分析
◆露点温度の求めた方
①乾球温度(気温(横軸:例22℃))
②相対湿度(飽和水蒸気量に対する割合(赤字曲線:例70%))
・上記①と②の交点の水平方向に延ばす。
⇒水平方向の右(絶対湿度(縦軸)まで延ばす。
⇒水平方向の左(飽和水蒸気量(赤線表示した曲線:相対湿度100%ライン)まで延ばす。
⇒相対湿度100%ラインとの交点から垂直に乾球温度(気温)まで下ろす。
⇒①と②の条件において、16℃が露点温度になる。
1.乾球温度=気温(横軸)
2.絶対湿度(縦軸)
3.飽和水蒸気量(赤線表示した曲線:相対湿度100%ライン)
4.相対湿度(飽和水蒸気量に対する割合:80%、60%、40%、20%等)
5.エンタルピー(空気の持つ全熱量)
・温度(乾球温度)に比例したのを顕熱
・湿度(絶対湿度)に比例したもの潜熱