⑤-4-2-6.病理学的指標(再発しやすいガン細胞)

病理学的指標(再発しやすいガン細胞

・Gribriform(クリブリフォーム)といわれる

顔つき悪いガン細胞

cribriformには、篩状しじょう)という意味があります。

病理学では、

細胞が成長して細胞間に小さな穴のパターンを形成して結合した状態を「篩状」と表現します

・IDCP(導管内浸潤)

前立腺にガン細胞がさぁっと入り込む

■ IDC-Pと篩状構造(Cribriform)の術後評価

<参考情報>

■全摘手術前に既に転移

・IDCPありの再発率

3年後:48.6%

⇒5年後:55%

<参考情報>

出典:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jpnjurol/108/1/108_5/_pdf

■講演4「病理診断と治療に伴う前立腺がんの形態変化」

大江 知里 先生(関西医科大学附属病院 病理診断科 講師)

出典:https://www.youtube.com/watch?v=_97AWbwdBTQ&ab_channel=%E3%80%9C%E5%89%8D%E7%AB%8B%E8%85%BA%E3%81%8C%E3%82%93%E6%82%A3%E8%80%85%E3%83%BB%E5%AE%B6%E6%97%8F%E3%81%AE%E4%BC%9A%E3%80%9C%E8%85%BA%E5%8F%8B%E5%80%B6%E6%A5%BD%E9%83%A8

■病理診断書を確認する事(標的生検結果説明時)

コアに占める

グリソンスコアの計算結果

がん細胞の割合(%)が示されている

<参考情報>

■顕微鏡

■基底細胞の有無でがん細胞を検出する手法

・腺がん

⇒HE染色

⇒免疫染色(右図)

■一番顔つきの悪いのは?

・右図

⇒細胞異型が強い

■基底細胞がはっきりしない

・黄色点線部

⇒拡大すると(右図)

まるい腺管が離れている

■黄色の矢印線の領域

・全てがん細胞

⇒拡大すると(右図)

ゆがんだ腺管がくっついている

黄色の矢印線の領域

・全てがん細胞

⇒拡大すると(右図)

⇒腺管を作らずバラバラ

■PSA検査の進展により

低リスクがんの検出(標的生検)

<参考情報>

PSA検査をすり抜ける『小細胞がん』

PSAは陰性

神経内分泌マーカーが陽性

<参考情報>

■内分泌治療

・前立腺の大きさは小さくなるが

がん細胞を滅する事は出来ない

※残存するがん細胞(右図)

■治療後の変化

がん細胞が弱って消失

がん細胞の顔つきが悪化

去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)

<参考情報>

PSA検査をすり抜ける『小細胞がん』

PSAは陰性

神経内分泌マーカーが陽性

IDC-Pありの細胞

グリソンスコア5より予後不良になる

<参考情報>

<参考情報>

グレード5(グリソン分類)場合でも再発が高まる因子

断端陽性

前立腺の切断部の端部にガン細部がある

生検ガン陽性率≧47.2%

⇒生検で10本の針の内5本がガン細部あり

グレード5の予後不良比較

断端陽性生検ガン陽性率≧47.2%の両方の因子を持っている場合

全摘手術前に転移を起こしていると推測される

■再発(PSA値上昇)

PSMA-PET(保険外診療:自己負担/¥25万円)

小さな病変を検出できる

⇒具体的な行動・意識決定が出来る

CT、骨シンチでは検出できない小さな病変

■PSMA-PET検査

初期病気診断をより正確に

再発部位をより正確に診断

PSMA-PETによるPSAの値<0.5未満

再発の発見率:約40%

注:再発の閾値(手術:0.2,放射線:2.0)

※PSMAーPETとは前立腺ガン特異タンパク質を検出するPET検査

事例

CTではリンパ節転移が発見できず

PSMA-PETでは矢印部の転移部位を発見

全医者が待ち望んでいる検査

放射線治療の選択肢が取れる

ガン細胞の部位が特定できる

ガン細胞の部位が特定できなければホルモン療法になる

■現在の標準的な検査の流れ

全身MRI

全身MRIの価値(保険収載)

骨シンチグラムでは移転を発見できず(A)

全身MRIでは第3腰椎と左腸骨転移を発見

PSMA-PET(非保険)

前立腺特異的膜抗原

CTではリンパ節転移が発見できず

PSMA-PETでは矢印部の転移部位を発見

全医者が待ち望んでいる検査

入口の検診を間違わない事