昨年11月の健康診断結果より主治医から『糖尿病』だと指摘され、即、生活習慣の見直しを実行する事で、今年7月には基準値以下にまで数値(HbA1c:8.7→6.0)を低下させる事に至った。
副次効果として約10年間服用していた『高血圧』の薬を今年5月には中止するまでになり、かつ体重もコロナ禍で6kg増えたが、肥満対策として1時間前後のウォーキングを週5日程度継続する事で14kg減(BMI:23.6)までなった。一方、数年前から尿酸値が少し基準値より高ったが、昨年11月以降、尿酸値の高止まり傾向が止まらず、ついに薬治療(尿酸生成抑制薬の服用)を開始する事になり、残念な現実を受け入れる事になった。
尚、ネットにて痛風対策を調べる過程で「体重を減らせば」、『尿酸値は低下する』との情報を何度か目にしたが、今回再度調査し直し以下の事が判明した。
・肥満によって内臓脂肪が増えますと、肝臓で『尿酸』が沢山作られます。また、肥満がありますと、腎臓から尿酸が排泄されにくくなるので、尿酸値が上がりやすいことが分かっている。
⇒体重を3%減らすと内臓脂肪は15%減り、尿酸値が低下する事が分かっている。
但し、急激な減量は『逆効果』で尿酸値が急速に上昇してしまいますので、3~6か月程度かけてゆっくりと3%減量するようにしてください。
上記情報はNHK「健康ライフ」あなどれない! 痛風(5)食事以外の原因より
・高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン ダイジェスト版 b肥満 にて記載されている内容。
⇒高尿酸血症の成因として肥満がどのくらい関与するかを評価してから、治療に当たる。
⇒減量だけで高尿酸血症が是正される例もある。
⇒急速な減量時には、尿酸産生過剰型の高尿酸血症を併発するため、すでにある高尿酸血症を悪化させ、痛風発作をきたす可能性がある。
⇒したがって、尿酸生成抑制薬の使用が必要である。
昨年12月に生活習慣の見直しで『食事対策』も検討したが、糖尿病対策(血糖値の低下)と痛風対策(尿酸値の低下)を同時に実現できる食事メニューがよく分からず、糖尿病対策を重点にした理解し易い食事メニューを選択した。
両生活習慣病の合併症を患えば、治療レベルが一気に難しくなる事(トレードオフの関係に直面:一方で良い選択が他方では悪い選択になる)は素人でも直観的に感じられるので、糖尿病の改善を最優先した。
下図)高尿酸値が引き起こす病気の流れ:不適切な生活習慣→予備群 内蔵脂肪の蓄積(尿酸異常)→生活習慣病の発症 生活習慣病 高尿酸血症⑤→重症化・合併症 痛風腎⑩→人工透析⑲→生活機能の低下・要介護状態・死亡
■高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン
◆尿酸値を指標にした治療方針(薬物治療 vs 生活指導)
◆生活指導
・肥満の解消
⇒適正な体重(BMI 25kg/㎡未満。理想はBMI 22kg/㎡)
・食事療法
①適正なエネルギー摂取
・適正エネルギー量(kcal/日)=標準体重(kg)✕身体活動量(kcal/kg)
⇒標準体重(Kg)=身長(m)×身長(m)×22・・・理想のBMI(22)
(例)身長170cm 軽労作の場合 身体活動量28Kcal/kgとすると
1.7(m)×1.7(m)×22=63.6kg (標準体重)
63.6kg(標準体重) ×28(Kcal)=1,781 Kcal
エネルギー摂取量 約1,800 Kcal。
②プリン体・果糖の制限
⇒タンパク質食品(肉・魚・大豆・鶏卵)の過剰摂取を避け、肉汁や内臓(レバー)を制限。
③十分な飲水
⇒ノンカロリーの飲料(水・お茶等)で2,000ml/日を目標に水分補給。
(水分をたくさん取って尿量を増やすことで、尿酸の排泄を助ける)
・飲酒制限
・運動の推奨
①有酸素運動(過激な運動、無酸素運動は避ける)
②週3回程度の軽い運動
◆食事療法
・1日の摂取量がプリン体として『400mg』を超えない事。
⇒高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン ダイジェスト版で記載されている。
・尿路管理も重要である。
⇒高プリン食には尿の酸性度を高める傾向の強いものが多い。
⇒食事療法ではそうした食品の制限にも力点を置く。
⇒尿のphは食事の摂取で変化する。尿が酸性では、尿酸が溶けにくく、尿路結石を招く可能性がある。
⇒尿酸はアルカリ性~中性によく溶けるので、海藻類や野菜、芋類等のアルカリ性食品を毎日摂取。
🔳食品に含まれるプリン体(痛風と核酸代謝 第31巻 第2号 金子 希代子:平成19年より転記)
・生活習慣病に奨められる通常の1食分
⇒140mg~180mgのプリン体が含まれる。
⇒豆腐・卵・野菜を中心とした食事に含まれるプリン体は30mg~60mgであるため、
⇒痛風・高尿酸血症では、1食を豆腐・卵・野菜を中心とした食事にする事により、ガイドラインで奨められる1日400mgを実施する事ができると思われる。
・食事で摂取されるプリン体の体内時間
⇒5割~9割は24時間以内に排泄される。
⇒しかし、尿酸は排泄が限られている為、プリン体を多く含む食品を沢山摂取すると
⇒排泄しきれない尿酸が体内に残り尿酸プールを増大させ血清尿酸値が上がる原因になる。
◆血清尿酸値を上げる食品
・肉類・魚類
・アルコール
◆血清尿酸値を下げる食品
・タンパク質
⇒乳製品のタンパク質は尿酸の排泄を増やすことによって血清尿酸を下げる。
・ビタミンC
⇒ビタミンC(500mg/day、2ヵ月)群とプラセボ群で比較したところ、ビタミンC群では、GFR(糸球体濾過率)の増加に伴い、血清尿酸値の低下(平均0.5mg/dl)が見られた(P<0.001)
・ポリフェノール
⇒白人女性10人がポリフェノールを含むチェリー(ビング種)280g(約45個)を10分で摂取したところ、尿中尿酸排泄量が増加すると同時に血中尿酸値が5時間後に0.53mg/dl低下し、ぶどう、イチゴ、キウイではこのような変化が見なれなかった。
・植物繊維
⇒ラットによるテストでは、便への排泄量を増加させることにより、血中および尿中の上昇を抑えた。
・コーヒー
⇒アメリカの疫学調査において、コーヒーと血清尿酸値の関係が調べられた。その結果、1日にコーヒーを4杯以上飲む人では有意に血清尿酸値の低下が認められた。
🔳食品中のプリン体含量
・100gあたりの量(mg)で表示。
・魚介類・肉類は部位によって異なるが全般的にプリン体が多めである。
⇒特に肉類ではレバー、魚類ではマイワシ、カツオ、エビ。
・一部の健康食品(DNA/RAN、ビール酵母、クロレラ、スピルリナ)にもプリン体の多いものがある。
⇒これらの健康食品に関しては、一日量でガイドライン推奨のプリン体摂取量400mg/日の半分を占めることから、痛風・高尿酸血症の患者さんでは服用を控えるのが望ましい。
・乾燥させた食品の重量には注意が必要。
⇒生の食品に比べて相対的に軽くなっているため、100gあたりの試料の量が相対的に多い。
⇒シイタケ(乾燥品:242mg~380mg、生シイタケ:21mg)。
注:乾燥シイタケの処理によるプリン体量の変化について
乾燥品シイタケのプリン体量:242mg~380mg/100g。生シイタケの重さが1個あたり20g~40g、乾燥シイタケの重さが1個あたり1g~4g、重さが1/10~1/20となり、この事からプリン体量を逆算すると、乾燥品では10倍から20倍となり、理論値と実測値がほぼ一致する。
塩基別の数値はそれほど変化していないようであるが、検討が必要。
・魚の干し物
⇒1食に1尾(50g~70g)とすれば70mg~210mgのプリン体であり、
⇒食べ過ぎなければよいのではないかと考えられる。(?)
・プリンリッチ野菜
⇒野菜は全般にプリン体は少ない。
⇒しかし、一部に100gあたり50mg以上のプリン体を含む野菜がありプリンリッチ野菜と呼ばれる。
⇒ほうれん草、カリフラワー、ブロッコリーなどがそれにあたるが、芽にあたるブロッコリースプラウト、たけのこ上部などで50mg以上のプリン体が含まれていた。
⇒しかし、プリンリッチ野菜は痛風の発症には関係がないと報告されているので、
⇒野菜はどれでも奨められる食材である。
◆実際の食事におけるプリン体量
・バランスの取れた生活習慣病に奨められる食事
⇒ご飯(軽く1杯)またはパン、スープ(みそ汁など1杯)、メインのおかず(魚や肉、豆腐、卵を使った主菜で魚肉類は1人あたり100g程度)、小鉢の副菜2品(野菜や海藻、キノコなどを使ったおかず)である。
⇒これを1食分としてプリン体を計算したところ、概ね、140mg~180mg(魚か肉を1人100g程度使った場合)のプリン体が含まれることになる。
⇒メインのおかずを豆腐や卵にすると、1食分が30mg~60mgとなる。
・高尿酸血症・痛風の患者さんでは
⇒1日3食のうち1食は豆腐、卵、野菜をメインのおかずとし
⇒あとの2食に肉類や魚類を一人分80g~100gを目安に(干物の場合は小さめのものを1尾)使っていくとよいと考えられる。
・全般に腹八分目の量とし
⇒野菜やキノコ、海藻等、できるだけ多くの食材を使って1日30品目を摂ることが奨められている。
・このような食事の摂取により
⇒ガイドラインで推奨され1日400mgのプリン体摂取が可能になる。
・プリン体は
⇒高分子核酸(DNA、RNA)、ヌクレオチド、ヌクレオシド、プリン塩基の総称であり、食品中の旨味成分である。また、とても効率の良いエネルギー源でもある。
⇒但し、摂り過ぎには注意が必要である。
細胞に必要な核酸成分(DNA、RNA)は、体内で2つの経路で合成される。
ひとつはde nove(デノボ)合成経路。もうひとつはsalvage(サルべージ)経路。
注1.de nove合成:『肝臓』でアミノ酸や糖、ビタミン等を原料に核酸を合成。
⇒人は自分に必要な核酸を自分の体内でつくることが出来る。核酸を1からつくる(de nove合成)には手間と時間がかかる。
注2.salvage合成:食事から摂取した核酸(プリン体)や体内で不要になった核酸成分を再利用して核酸を合成。
⇒核酸の分解物を合成する道。骨髄や腸粘膜など細胞分裂が激しいところでは優先的行われる。
⇒肝臓以外の細胞では、出来上がりの材料を使って核酸をつくる。
de nove(デノボ)合成経路は、加齢に伴って衰え、細胞の活動がスムーズに行えない。健康維持のために食事から核酸を摂る事が大事になる。
◆食品中のプリン体含量(高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第2版より)
以下の表1のデータは痛風と核酸代謝 第31巻 第2号 (平成19年)食品に含まれるプ リン体についてに記載されている内容、