🔳森谷敏夫 京都大学名誉教授のYoutube動画(世界の最先端学術論文をひもとく(続編)~フレイル)の内容を中心に紹介する。
■フレイルモデル
・要介護状態に至る前段階
⇒意思と適切な筋トレを行えば『自立』に戻れる。
・フレイル状態と生存曲線
⇒フレイル群の『7年後生存率』は50%台後半。(登録時を起点にして)
・登録時と1.5年後の状態比較?
・老い伴う身体機能の変化
・フレイルの評価法
⇒世界共通の基準はまだない。
⇒よく用いられる評価方法は、米国のリンダ・フリードという先生が提唱されたCHS基準。
⇒CHS基準を修正したJ-CHS基準が2020年に改訂された。
◆サルコペニア
・加齢と共に骨格筋量ならびに筋力が低下
⇒ヨタヨタし転びやすくなることは、以前よりよく知られた事実である。
・1989年Rosenberg IHgが加齢に伴い骨格筋量の減少が起きることの重要性を主張し
⇒『サルコペニア』という造語を提唱した。
・一般に70歳までに20歳代と比較すると
⇒骨格筋面積は25%~30%、筋力は30%~40%減少し
⇒50歳以降毎年1%~2%程度筋肉量は減少すると一般に言われている。
⇒骨格筋の減少は誰でも起きるが、
⇒極端に筋肉量が減少し、筋力が低下するとサルコペニアと診断される。
・簡易自己診断:指輪っかテスト
・相関関係が高い項目
⇒握力が一番筋力との相関関係が高い。
注:4km/hで≒1.1m/sec
◆老化
・漸増的で不可解な過程ですべての臓器とシステムに影響を与える。
⇒骨格筋システムも例外ではない。
⇒高齢者ではサルコペニア、筋力低下、その後の要介護のリスクが高まる。
・骨格筋の代謝の低下が
⇒テロメア縮小、遺伝子変化、ミトコンドリア機能不全、不活動による体組成変化、
⇒慢性炎症、ホルモン不調、低栄養による筋分解亢進などに関与してくる。
■歩行速度と生存率の関係評価
・方法と参加者
⇒9件の研究結果の総合解析
⇒追跡期間6~21年間
⇒初期の歩行速度の記録がある共同生活をしている65歳以上の34,485名の個人データ
🔳男性の75歳を時点にして歩く速度で寿命がほぼ確定される。
・歩く速度が遅い人(≒0.7km/hで0.2m/sec)は
⇒85歳まで生延びる割合は19%。
・歩く速度が遅い人(≒5.8km/hで1.6m/sec)は
⇒85歳まで生延びる割合は87%。
注:4km/hで≒1.1m/sec
・同調査で65歳の男性例では
⇒秒速1.6m(時速5.76㎞)で歩行する人の平均寿命は95歳以上
⇒秒速0.8m(時速2.88㎞)で歩行する人は約80歳
⇒秒速0.2m(時速0.72㎞)で歩行する人は約74歳
◆筋力アップして早く歩く事を強く意識する事
・だらだらして歩く速度を遅くすると健康寿命を縮める。
・意識して歩くスピードを速くする事で健康寿命を延ばせる。
◆理想的な歩幅で、足の筋肉を鍛える
・人の筋肉は、運動をしないでいると
⇒20歳以降1年に約1%ずつ衰えていくと言われている。
・筋肉の減少を防ぐには
⇒歩くことが有効。
⇒足には、体を支える大きな筋肉がある。
・足の筋肉が収縮・伸長する時
⇒周囲の血管も収縮・伸長を繰り返し、血液の流れを良くする。
⇒「足は第2の心臓」と呼ばれる理由である。
・歩く時の歩幅は
⇒おおむね身長×0.45が理想とされている。
■フレイルを予防する運動
・サルコペニアを起点にすると
⇒筋肉量の減少や筋力の低下が
⇒歩行速度の低下や移動困難を引き起こし、
⇒それにより活動性が低下する。
・歩行速度と生存率の関係評価の視点から『高齢者の歩行速度を上げる』ためには
⇒心身機能を適切に評価し
⇒筋力トレーニング(レジスタンス)やバランス練習、ストレッチなどを
⇒組み合わせながら、トレーニングを行う。
・フレイルの発症・進行予防に推奨される運動
◆下肢筋量や筋力(膝を伸ばす力)を増やす
・運動と合わせてタンパク質(必須アミノ酸:BCAA)の摂取のタイミング
◆筋肉量を増やすために必要な栄養素「分岐鎖アミノ酸(BCAA)」
・筋肉をつくるために
⇒タンパク質の摂取が欠かせない。
・タンパク質は
⇒体の中で「アミノ酸」に分解されるが、
⇒アミノ酸の中でも筋肉の保持や増量にもっとも重要な役割を果たすのが
⇒「分岐鎖アミノ酸(BCAA)」。
⇒BCAAとは、アミノ酸の種類であるバリン、ロイシン、イソロイシンの総称。
⇒BCAAには、筋肉の材料となるたんぱく質の合成を促進し、分解を抑制する働きがある。
◆高齢者が若者と同じ筋力トレーニングが出来るか?
・高齢者は軽めの負荷にして
⇒速筋のスピードを3.5倍上げて対処する。
⇒低速度・高負荷トレーニング=3.5倍の収縮速度・低負荷トレーニング
◆レジスタンス運動とバランストレーニング
・転倒しないように、必ずつかまるものがある場所で行う。
・動作中は息を止めないようにする。
・足の筋肉にしっかり力が入っているか、意識しながらゆっくり行う。
◆アクティブガイド
・身体を動かすとは
⇒掃除、通勤、家事などの日常生活で行う活動と、ウォーキングや体操などの運動を指す。
・+10(プラステン):今より10分多く体を動かそう
⇒今より10分多く身体を動かすことが、
⇒糖尿病、心臓病、脳卒中、がん、ロコモ、うつ、認知症などになるリスクを
⇒下げることに繋がる。
◆地域資源の利用
・社会資源を利用し、介護予防する。
出典:https://www.ncgg.go.jp/ri/news/documents/chojutext_2020.pdf