


■前立腺全摘後のPSA非再発を予測するノモグラム
・kattan型モノグラム


■計算内容
・PSA2ng/ml:65ポイント
・Gleasonスコア7:29ポイント
・被膜外浸潤-:0ポイント
・切除断端+:32ポイント
・精嚢浸潤+:25ポイント
・リンパ節転移-:0ポイント
●総ポイント:65+29+0+32+25+0=151
◆84ヵ月(7年)非再発率:84%
■ノモグラムの利点と欠点
・外部検証がされているかも必要
⇒答えではなく、あくまでも情報の一つ


出典:前立腺癌の診断〜リスク分類とノモグラムについて〜東邦大学医療センター 佐倉病院 泌尿器科 准教授 神谷 直人先生 2019/02/06
■モノグラム
出典:https://ohori-hosp.jp/division/urology/staging/
・ノモグラムは
⇒統計学な手法を使って、
⇒PSAや直腸診、グリソンスコアなどを点数化して、
⇒その点数を足して、その結果により治療後の再発率を予測するものです。
⇒リスク分類と違い、
⇒予測値(例えば手術後の再発率)を個々の患者さんに出します。
⇒現存する予測のモデルの中ではノモグラムは最も正確で、
⇒自分がこの治療を選んだら、5年後、10年後の再発の可能性はどれくらいと予想できますので、
⇒治療後の心構えや生活を構築する上でとても大切だと思います

ここではPSA, 生検のグリソンスコアそして臨床病期を使って手術後1、3、5、年後の非再発率を出しています。
それぞれの結果を一番上の点数に当てはめ、
その合計点を中央にある総点数に当てはめ、
それを下方に伸ばし非再発率で一致するところが非再発率になります。

例えばPSAが10、生検グリソンスコアが7、臨床病期がT1cですと、それぞれ上の点数が20点、14点、0点で合計が34点になりますので、それを総合点数に当てはめて下方の非再発率をに当てはめますと、
1、3、5年後の非再発率はそれぞれ90%以上(ほとんど再発無し)、89%、84%となります。5年後の非再発率84%、つまり16%の方が再発する可能性ありと言うことです。
■限局ガンと診断された確率
◆日本版ノモグラム
・限局ガンでない確率のうが圧倒的に多い
⇒小さな浸潤ガンとか
⇒小さなリンパ節転移が飛んでいる等
(CT検査、MRI検査で検出できない現状が有る)
<参考情報:Microsoft Copilotの回答>
・CTでは8mm以上のリンパ節転移を検出するのに適しているとされています。
・DWIBS法は8.5mm以上のリンパ節転移を検出するのに適しているとされています。
・超音波検査では約5mm以上のリンパ節転移を検出することが可能
⇒ただし、検出精度は使用する機器や技術、検査を行う医師の経験によっても異なるため、より小さな転移を見逃す可能性もあります。
・MRI検査では約8mm以上のリンパ節転移を検出することが可能
・PET-CT検査では約4mm以上のリンパ節転移を検出することが可能
■全摘手術で
・目では見えない浸潤ガンとかリンパ節転移を
⇒どれだけ取れるか?
(個人的見解:小さな浸潤とリンパ節郭清を意識している外科医が必要)
◆中間リスク
・限局ガンの確率:38%
⇒限局ガンでない確率:62%(被膜外浸潤等に進行してる)
◆高リスク
・限局ガンの確率:26%
⇒限局ガンでない確率:74%(被膜外浸潤等に進行してる)

・手術⇒放射線⇒薬物療法の流れを事前に告知
⇒根治治療が提示出来ない現状(現実)に直面して
・副作用
⇒各ステップ毎(手術⇒放射線⇒薬物療法)に足し算的に増加
⇒QOLの低下
<参考情報:Microsoft Copilotの回答>
・CTでは8mm以上のリンパ節転移を検出することが可能
・DWIBS法は8.5mm以上のリンパ節転移を検出するのに適しているとされています。
・超音波検査では約5mm以上のリンパ節転移を検出することが可能
⇒ただし、検出精度は使用する機器や技術、検査を行う医師の経験によっても異なるため、より小さな転移を見逃す可能性もあります。
・MRI検査では約8mm以上のリンパ節転移を検出することが可能
・PET-CT検査では約4mm以上のリンパ節転移を検出することが可能

■日本版ノモグラム
出典:https://pros-can.net/01/01-2.html
・TNM分類

■この表(下記表)をを見て気付くことは、
・「限局がん」だと告げられても、
⇒実際には浸潤がん(局所進行がん)である場合が、予想以上に多いということです。
例えば、中間リスク”T2b、PSA=7、GS=4+3”のような場合では、
⇒限局率は41%(27-56%)に過ぎないので、
⇒実際には(病理検査の結果は術後に知らされます)限局がんではない(大部分は浸潤がん、一部は転移がん)可能性のほうが高いわけです。


・「限局がんなら切り取るのが一番」と言われ、
⇒手術を受けてみたところ、
⇒実際には浸潤があり、T2bと言われていた病期が術後T3aに変わったというのは 良くある話で、
⇒同時に断端陽性(取り残しがあるということ)があったと告げられ、悔しい思いをするケースも珍しくはありません。
中リスクでもこれですから、高リスクではなおさらです。

例えば”T2c、PSA=15、GS=8”であれば、限局率は34%、浸潤率46%(25%+21%)、転移率20% です。


前立腺癌診療ガイドライン(2012)では、手術が勧められる病状として根拠のあるのは低・中リスクであり、 高リスクに対しては根拠はないと言っています。




■ノモグラムを用いたロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘術における骨盤内拡大リンパ節郭清適応の妥当性についての検討

出典:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jserjje/35/2/35_290/_pdf/-char/ja





<参考情報>
注)リンパ節郭清をする背景


<参考情報:Microsoft Copilotの回答>
・CTでは8mm以上でないと映らない
・DWIBS法は8.5mm以上のリンパ節転移を検出するのに適しているとされています。
・超音波検査では約5mm以上のリンパ節転移を検出することが可能
⇒ただし、検出精度は使用する機器や技術、検査を行う医師の経験によっても異なるため、より小さな転移を見逃す可能性もあります。
・MRI検査では約8mm以上のリンパ節転移を検出することが可能
・PET-CT検査では約4mm以上のリンパ節転移を検出することが可能



・拡大リンパ節郭清の適応範囲(以下の病院では)


<参考情報>



<参考情報>
・PET-CT検査では約4mm以上のリンパ節転移を検出することが可能


<参考情報>

・中間リスク群のリンパ節郭清の適応範囲(以下の病院では)




<参考情報>

























■限局性前立腺癌における術後生化学的非再発率の術前予測ノモグラムの開発
出典:東京医科大学学術リポジトリhttps://tmu.repo.nii.ac.jp › toidaishi074010054


<参考情報>




・モノグラムとは

<参考情報>

・kattan型モノグラム




注)リンパ節郭清をする背景


<参考情報:Microsoft Copilotの回答>
・CTでは8mm以上でないと映らない
・DWIBS法は8.5mm以上のリンパ節転移を検出するのに適しているとされています。
・超音波検査では約5mm以上のリンパ節転移を検出することが可能
⇒ただし、検出精度は使用する機器や技術、検査を行う医師の経験によっても異なるため、より小さな転移を見逃す可能性もあります。
・MRI検査では約8mm以上のリンパ節転移を検出することが可能
・PET-CT検査では約4mm以上のリンパ節転移を検出することが可能














<参考情報:kattan型モノグラム>









・前立腺体積の大きさ




■新リスク分類で日本での全生存率などの予後をチェック
・前立腺がんの新リスク分類とその評価 予後良好な中間リスク群ではPSA監視療法も
出典:https://gansupport.jp/article/cancer/prostate/15696.html
・前立腺がんのリスク分類は、
⇒監視療法などの適応拡大に伴い、
⇒新しい前立腺がんのグレーディング(評価)システムを利用した分類が更新され続けられている。
⇒先ごろ米国で新しいリスク分類の改訂版が公表されたが、
⇒日本においてこの新しい分類を用いた集学的な治療成績の検討を行った研究結果が、
⇒昨年(2016年)10月横浜で開かれた日本癌治療学会で報告された。その内容を紹介する。
■新たな前立腺がんのリスク分類
前立腺がんのリスク分類は、複数の要素を組み合わせて決められる。世界的に広く利用されているのが、全米を代表とするがんセンターで結成されたガイドライン策定組織 NCCN(National Comprehensive Cancer Network;全米総合がん情報ネットワーク)が作成したガイドラインに沿ったものだ。
リスクは大きく3つの要素から推測される。まず、病変部についてのTNM分類がある。Tは「がんが前立腺の中にとどまっているか:原発腫瘍・深達度」を表し、Nは「リンパ節転移の有無」、Mは「遠隔転移の有無」を表す。それにPSA(前立腺特異抗原)の値、針生検で得た複数の病変部の組織を顕微鏡で見て悪性度を決めるグリーソンスコア(GS)が組み合わされる。
■中間リスクを2つに分ける
「今回のNCCN前立腺がんガイドラインの改訂(2016年第3版)で特徴的なのは、
・中間リスクを
⇒予後良好中間リスクと
⇒予後不良中間リスクに分ける案が加わったこと」
国立病院機構東京医療センター放射線科医長の萬篤憲さんは、
そのリスク分類に日本の症例を当てはめて予後を調べる研究を行った。
これまで、長期の治療成績がリスク別で報告されることが日本では少なかったからだ。
まず、NCCNの新しいリスク分類について説明すると(表1)、
・超低リスクがT1c、GS6以下、PSA <10ng>
・中間リスクは、T2b-T2c または GS7または PSA 10-20ng/mLとし、
⇒さらにGSが3+4で陽性コア率<50%かつ危険因子は1つであるものを「予後良好中間リスク」、
⇒GSが4+3のケースは「予後不良中間リスク」とする。
・高リスクは、T3aまたは GS 8-10 または PSA >20 ng/mL。
・超高リスクは、T3b-T4、GS 8-10、複数の危険因子を持つ。
表1 前立腺がんリスク分類(NCCN 前立腺がんガイドライン2016年第3版)

GSの「3+4」「4+3」とは、針生検においてはがん細胞の悪性度を1~5の値で評価するが、その際に最も多い悪性度の細胞の値と次に多い悪性度の値を足してスコア化する内訳を示したもの。
3+4とは最も多い悪性度が3で、次に多いのが4という意味となる。
合計で6以下は性質のおとなしいがん、
7は前立腺がんの中で最も多いパターンで、中くらいの悪性度とされている。
■7年間の全生存率などを検討
萬さんは、新しいリスク分類を用いて、従来の治療成績を各種エンドポイント(評価項目)について検討を行った。
2002年から2011年までに萬さんの勤める国立病院機構東京医療センターで放射線治療を行った限局性前立腺がん患者1,974人を対象とした。内訳は、小線源985人、外照射194人、併用療法795人だった。
861人(44%)に内分泌療法(LH-RTアゴニスト)が併用された。再発に対する救済治療として内分泌療法、手術、再照射、観察が行われた。
対象を新しいリスク分類に沿って分類すると、超低リスク91人、低リスク520人、予後良好中間リスク469人、予後不良中間リスク552人、高リスク209人、超高リスク133人となった。
「約半分51.8%が中間リスクで、超低リスクが4.6%、低リスク26.3%、高リスク10.6%、超高リスクが6.7%でした」(図2)
図2 NCCNの新しいリスク分類に沿って分類した患者の割合

エンドポイントは、7年経過時点の全生存率(OS)、前立腺がん特異的死亡率、転移率(去勢抵抗性を含む)、生化学的(PSA)再発率とした。
結果は、7年全生存率を
・超低リスク、低リスク、予後良好中間リスク、予後不良中間リスク、高リスク、超高リスクの順に列挙すると、⇒96%、94%、95%、92%、89%、75%だった。
⇒そして前立腺がん特異的死亡率は、それぞれ0%、1%、1%、1%、3%、12%。
⇒転移率は同0%、1%、1%、4%、8%、25%。
⇒生化学的再発率は同1%、3%、7%、9%、18%、52%だった(表3)。
表3 リスク分類ごとの各種評価項目(エンドポイント)の治療成績(7年)

2002年から2011年まで:国立病院機構東京医療センターで放射線治療を行った限局性前立腺がん患者1,974人を対象とした。
内訳は、小線源985人、外照射194人、併用療法795人だった。
861人(44%)に内分泌療法(LH-RTアゴニスト)が併用された。再発に対する救済治療として内分泌療法、手術、再照射、観察が行われた。
<参考情報>


■3つの血液検査項目で高悪性度前立腺癌を診断するノモグラムが有用【泌尿器科学会2008】
出典:https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/jua2008/200805/506343.html
2008/05/02 加藤 勇治=日経メディカル別冊
・PSA値と血清テストステロン値、卵胞刺激ホルモン値(FSH)の3つのデータを使って
⇒浸潤性前立腺癌を評価できるノモグラムが作成され、
⇒Gleason score7以上の前立腺癌である確率を簡便に表すことができる可能性が示された。
4月25日から開催された第96回日本泌尿器学会総会のワークショップ「テストステロンと前立腺癌─新しい展開─」で、帝京大学泌尿器科准教授の井手久満氏が発表した。
・井手氏によれば、前立腺癌のスクリーニングでは、
⇒PSA値について明確なカットオフ値はなく、
⇒PSA値を4または2.5に設定しても、
⇒それ以下のPSA値で臨床的に重要な癌が見つかる例があるという。
⇒逆にPSAのカットオフ値をさらに下げると、臨床的に重要ではない癌が検出される可能性も指摘されている。
・一方、近年、血清テストステロン値が
⇒前立腺癌の悪性度の予測因子であることが国内外で報告され始めている。
⇒井手氏らの研究でも、同科を受診した前立腺癌患者235例を対象として血清テストステロン値を測定した結果、
⇒Gleason score7以上で有意にテストステロン値が低いことが明らかになった。
<参考情報>

出典:https://www.youtube.com/watch?v=WPD-2DMALbQ&t=1872s&ab_channel=CancerChannel
⇒そこで、血清テストステロン値を含む臨床データを用いて、
⇒前立腺癌およびGleason score7以上の悪性度の高い前立腺癌を予測するノモグラムを開発するため、
⇒PSA値が2.5ng/mL以上を示した、前立腺癌生検を受けた患者396名を対象に解析を行った。
・解析項目は
⇒年齢、PSA、LH、FSH、血清テストステロン値、前立腺重量、移行領域(Tz領域)前立腺重量で、
⇒作成したノモグラムは別の前立腺癌71例、正常103例の計174例のデータを用いて検証した。
・396例のうち、生検で陽性だった患者146例、陰性だった患者250例だった。
⇒年齢中央値は、生検陽性例72歳(42-89)、生検陰性例68歳(43-89)、
⇒PSA値は、生検陽性例24.02±50.22、生検陰性例10.34±26.02、
⇒前立腺重量は、生検陽性例35.12±18.00、生検陰性例52.25±25.70、
⇒Tz(移行領域)量は、生検陽性例17.35±11.45、生検陰性例29.89±19.85、
⇒LH(黄体形成ホルモン)は、生検陽性例10.83±9.32、生検陰性例8.49±6.35、
⇒FSH(卵胞刺激ホルモン)は、生検陽性例19.44±20.23、生検陰性例は14.01±11.31、
⇒TST(血清テストステロン)は、生検陽性例402.67±179.47、生検陰性例は426.29±170.05だった。
・多変量解析の結果、
⇒生検による癌の有無に関して、
⇒年齢、PSA、Tz量、FSHがそれぞれ独立した因子だった。
⇒これらの結果から作成した前立腺癌を診断するノモグラムが図1だ。

図1 前立腺癌を診断するノモグラム。排尿障害でかかりつけ内科医院を受診した患者(70歳、PSA:10mg/mL、FSH:15mIU/mL、テストステロン値200ng/dL)で、Tz量を20gか60gと仮定した場合のノモグラムの使用例
このノモグラムは、初めてかかりつけ医を受診した患者という場合を想定したスクリーニングに活用できる。井手氏によれば、血清テストステロン値に有意差は見られなかったが今回のノモグラムには加えており、PSA値などの条件を変えて新たに検討すればテストステロン値の有用性がさらに変わる可能性があると指摘した。
・また、生検で陽性だった患者146例を対象に解析を行った結果、
⇒Gleason score7以上は80例、7未満は66例だった。
⇒年齢中央値は、7以上で73歳(56-89)、7未満で71歳(42-87)、
⇒PSA値は、7以上で35.71±65.09、7未満で9.84±10.25、
⇒前立腺重量は、7以上で33.17±16.01、7未満で37.48±20.01、
⇒Tz量は、7以上で17.23±10.85、7未満で17.49±12.22、
⇒LH値は、7以上で12.21±11.44、7未満で9.15±5.44、
⇒FSH値は、7以上で23.18±25.08、7未満で14.91±10.52、
⇒TST値は、7以上で351.69±164.85、7未満で464.47±178.16だった。
また、多変量解析を行った結果、PSA、FSH、TSTがそれぞれ独立した因子だった。

図2 前立腺癌の悪性度(Gleason score7以上)を診断するノモグラム。排尿障害でかかりつけ内科医院を受診した患者(70歳、PSA:10mg/mL、FSH:15mIU/mL)で、テストステロン値が200ng/dLか700ng/dLと仮定した場合のノモグラムの使用例
これらの結果から作成した、Gleason scoreが7以上の悪性度の高い前立腺癌かどうかをPSA値、TST値、FSH値で診断するノモグラムが図2だ。
最後に井手氏は、血清テストステロン値はGleason score7以上の悪性度の高い前立腺癌を予測するバイオマーカーであり、ホルモン療法だけでなくさらに進んだ治療が必要な前立腺癌を検出するために役に立つ可能性が示唆されたこと、Gleason scoreが7以上の前立腺癌である確率が示されるノモグラムは、患者の希望や画像所見とともに生検を実施するかどうかを判断する際のツールとして活用できることを指摘して講演を締めくくった。