出典:https://news.yahoo.co.jp/articles/df4317ef821c6b4f741c4386747798e16559e091?page=3
注意:以下の情報は『一つの見方』であり、一般化できない個別性が非常に高い事例(たまたま起こった事)だと想定して紹介する
■標準治療
・がんの治療では
⇒科学的根拠に基づいて安全性、有効性が認められた最良の治療が「標準治療」として定められている。
・「どこのがんのどのステージ(病期)なら
⇒この治療か、あるいはこの治療が効果的」という具合に、
⇒がん種とステージごとに有効な治療法が細かく決まっているのだ。
⇒そのため、がん治療においては、この標準治療を行うことが医学界の常識なのだ。
❖標準治療を終えたあとにがんが再発してしまうと
⇒治療の選択肢がほとんどなくなり、
⇒多くの場合、治すためではなく
⇒延命のための全身抗がん剤が行われます。
■現代のがん治療では、
⇒転移があると全身に見えないがん細胞が散らばっていると考え、
⇒『全身転移説』が常識とされています。
⇒手術など、局所療法では取りきれないので局所療法は意味がないとされ、治療の選択肢は全身抗がん剤だけになっていました。
■『小数転移説』
善本さんのがんは広範囲に広がっていて全身転移のように見えましたが、
転移箇所はリンパの流れに沿ったもので、
モグラたたきのように再発箇所をひとつずつ丁寧に治療すれば治せると思いました」と岡田先生。
・岡田先生が主治医として監修する形で各治療の専門医と連携しながら、
⇒手術や、
⇒高濃度の抗がん剤を病巣に入れる治療、
⇒加速した炭素粒子を病巣に照射する重粒子線、
⇒高周波の電流で病巣を焼き切るラジオ波焼灼術など、
⇒実に5種類もの治療を受けた善本さん。
・その間にも肺、鎖骨、肝臓など、全身の転移が2度発覚したが、
⇒2013年12月にはすべてのがん細胞を消滅させ、なんと「残存病変ゼロ」となった。
・合計して5度も再発転移があったにもかかわらず、
⇒善本さんはなぜ助かったのか。
⇒実は先述の治療は常識的にはやらない治療なのだという。
■病巣部だけに高濃度の抗がん剤
・がん治療において、
⇒抗がん剤は全身のがん細胞を攻撃する「全身治療」に使われる。
⇒しかし岡田先生は、抗がん剤を直接がん病巣に流し込む「局所治療」をすすめたのだ。
・「これは動脈化学塞栓(そくせん)療法という治療法で、
⇒血管内にカテーテルという細いチューブを入れてがん病巣に直接抗がん剤を流し込み、
⇒そのあと、がん病巣につながる動脈をふさぐというもの。
・がん組織に非常に濃度の高い抗がん剤を作用させる動注療法と
・動脈をせき止めて、がんを兵糧攻めにする動脈塞栓療法を
⇒同時に行います。
⇒濃度の濃い抗がん剤を長時間作用させることで、高い治療効果を得られる場合があるのです」(岡田先生)
■この動脈化学塞栓療法は
・もともと肝臓がんの治療として開発されたもの。
⇒肝臓がんでの標準治療だが、それ以外のがんでも一定の効果があり、
⇒保険診療でできることはあまり知られていないと岡田先生は話す。
⇒この抗がん剤の常識外れの使い方によって肝臓への転移が消えたことで、
⇒善本さんは根治への足がかりをつかむことができたのだ。
■標準治療以外の治療は
・保険認可がおりていない自由診療で
⇒高額な治療費を請求されるイメージが強いが、
実は保険診療下で行える治療法もあるのだ。
・善本さんが受けた治療も
⇒自由診療は重粒子線のみで、
⇒それ以外はすべて保険が適用された(重粒子線の費用は民間の保険でカバーした)。
注)善本さんが受けた治療を再度記載
・岡田先生が主治医として監修する形で各治療の専門医と連携しながら、
⇒手術や、
⇒高濃度の抗がん剤を病巣に入れる治療、
⇒加速した炭素粒子を病巣に照射する重粒子線、
⇒高周波の電流で病巣を焼き切るラジオ波焼灼術など、
⇒実に5種類もの治療を受けた善本さん。
こうした治療を取り入れている病院や医師を探して、標準治療以外の保険診療の治療を組み合わせる方法もあることを知ってほしいと善本さん。
岡田直美●千葉大学医学部卒、同大学院修了。東京共済病院腫瘍内科部長、放射線医学総合研究所病院(現QST病院)医長などを経て、がんのセカンドオピニオン専門の「ナオミクリニック」を開業。 YouTubeチャンネル「がん治療チャンネル」(https://youtu.be/vNxE7WtYd50)開設。(取材・文/井上真規子)
<<ネット情報から:間違いも多い事に留意して>>
・重粒子線治療は先進医療特約の保険に入っていないととても高額になります。各部位のがんの状態によっては保険適用になる場合もある。
・この方が受けた治療は誰でも受けられるわけでらない。 重粒子線はできる病院が限られている。
・小数転移説に基づいて治療しても残念ながら完治できなかった 患者さんも沢山いらっしゃいます。 それはがんの種類や悪性度によって左右されている。
■がんを治療する先進医療の一例
(アクサ生命より:URL:https://www.axa.co.jp/about-insurance/more-info/advanced-medical)
・重粒子線治療
平均費用:3,086,340円(*1)
平均入院期間:12.1日(*1)
施設数:5施設(*2)
対象となる病気:「固形がん」が対象となる。
⇒原発巣(がんが発生した臓器)から離れた臓器に転移のない場合に限られる。
⇒「固形がん」は、白血病などの血液がんを除くがんを指し、脳や眼など体のいろいろな部位にできる。
治療方法:一般的な放射線治療ではX線やガンマ線を照射するが、この治療法では重粒子線(炭素イオン線)という粒子線を、がん病巣に集中照射する。
メリット:がん病巣に集中して多くの線量を照射できるため、周りの正常な組織へのダメージを小さくすることができる。そのため、副作用を抑えながら高い治療効果が期待できる。
■先進医療とともに知っておきたい「患者申出療養」とは?
・2016年4月に新しい制度として「患者申出療養」がスタートしました。
⇒患者申出療養とは、患者からの申し出をもとに審査を迅速に行い、身近な医療機関で先進的な治療を受けることができる制度です。
⇒「未承認薬をできるだけ早く保険外併用療養として使いたい」、
⇒「先進医療や治験で実施していない医療も迅速に受けたい」。
このような患者の思いにこたえるため、「患者申出療養」は創設されています。
・メリットとしては
⇒身近な医療機関で、迅速な治療を受けることが可能なことです。
⇒先進医療を受けるには、病院の規模や医師の数、治療の実績などの厳しい基準があるため、治療を受けたくても受けられない患者が存在することも事実。
⇒患者申出療養を利用することで、今まで治療を受けられなかった困難な病気と闘う患者が、迅速な審査と治療を受けられるようになります。
先進医療と患者申出制度では、審査期間や受けられる技術、実施医療機関に違いがあります。
出典:アクサ生命URL:https://www.axa.co.jp/about-insurance/more-info/advanced-medical
高額療養費制度の対象となりますが、健康保険制度における自己負担額は年齢や所得によって異なります。
先進医療と患者申出療養は、どちらも高度な技術を受けることができる制度となり、今後、さらなる技術の進歩が期待されています。医療費や安全性などを考慮しながら、自分に合った医療を選択することが大切です。
(*1)出典:平成28年1月20日中央社会保険医療協議会総会資料「平成27年6月30日時点で実施されていた先進医療の実績報告について」(平成26年7月1日~平成27年6月30日の実績報告)(「平均費用」の表示単位未満は切捨て)
(*2)出典:厚生労働省「先進医療を実施している医療機関の一覧」(平成29年3月10日現在)
出典:https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/sensiniryo/kikan02.html
「先進医療」について再掲示
国立がん研究センターによれば
「医療技術ごとに、実施者、治療対象、治療法とその実績、医療安全など、厚労省の基準を満たし、かつ、実施承認を受けた医療機関でのみ行われる医療」のことだ。
厚生労働省の承認を得て、診察・入院・検査代は保険適用となるが、医療技術料は全額自己負担となる。
■国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 QST病院https://www.nirs.qst.go.jp/hospital/patients/cost.php
(千葉市稲毛区穴川4-9-1)
■費用について
・費用の区分
重粒子線治療は、
⇒患者さんの病状により
「保険診療」、
「先進医療」、
「臨床試験」、
「自由診療」
によって行われます。
どの病状がどの区分によって行われるかは、「重粒子線治療の適応」の各疾患のページをご覧ください。
■■■QST革新プロジェクトの転記■■■
以下のURLから同プロジェクト情報を転記する
https://www.qst.go.jp/site/qst-kakushin/39695.html
・量子メス研究プロジェクト
QSTでは、これまで25年以上にわたり重粒子線がん治療の研究と14,000人を超える患者の治療に取り組んできました。その結果、骨軟部や頭頸部腫瘍、前立腺がん、局所進行性膵がん、肝臓がん、肝内胆管がん、大腸がん術後再発、子宮頸部腺がんが保険適用となり、当初は6週間だった治療照射を肺がんでは1日に短期化して生活の質(QOL)を向上させるなどの成果を上げてきました。
治療実績が認められ、重粒子線がん治療施設は国内外に拡がり、日本では7施設で合わせて年間約3,600人の治療が行われています。しかし、その人数は、1年間に日本で新にがん患者となる人の0.4%、世界に目を向ければ0.02%に過ぎません。
「適応となる全てのがんの治療効果を高め、もっと多くの患者に届けたい」
そのためには、高度な治療ができる小型の重粒子線治療装置『量子メス』が必要です。
QSTは、量子ビームによる腫瘍除去手術になぞらえて名付けた『量子メス』の開発を通じて、がん死ゼロ健康長寿社会の実現に貢献していきます。
■『量子メス』: 小型・高性能な重粒子線がん治療装置
■ほぼ全てのがんで働きながらの治療を可能に
現在の重粒子線治療では、炭素のみを用いていますが、量子メスでは、炭素、酸素、ヘリウムを組み合わせたマルチイオン照射で、より効果的な照射と副作用の低減を実現。照射回数を減少させ、働きながらの治療を可能に。高いQOLを維持して、個人の自分らしい生き方を可能にする治療を実現します。
■既存の病院建物内に設置可能なサイズを実現
現在、国内で普及している重粒子線治療装置は60m×50mと非常に大きく、専用の建物も必要となりますが、QSTが持つ高強度レーザー技術と超伝導技術の応用により、入射器とシンクロトロンや回転ガントリーの小型化により、既存の病院建物内に設置できる20m×10mのサイズを実現。装置のサイズと費用を抑えた『量子メス』の普及によって、より多くの病院で安心してがん治療を受けられる社会を目指します。
■量子メス開発のロードマップ
1994年から、放射線医学総合研究所(当時)で使用されている装置を第1世代とすると、現在、日本国内に普及しているのは、それを3分の1のサイズに小型化した第2、第3世代の装置です。
第4世代は、超伝導技術によりシンクロトロンを小型化し、第1世代の20分の1程度にサイズダウンします。また、マルチイオン照射による高度な治療を実現します。
第5世代は、高強度レーザー技術を用いたレーザー加速入射器と、超伝導回転ガントリーも導入して、第1世代の40分の1程度のサイズにまで小型化します。また、マイクロサージェリー・ポートの導入により、ビームの直径を1から3mmまで細くし、その照射位置精度を0.1から1mm程度まで高めて、がん以外の疾患にも適応を拡大します。
■■量子メス開発に必要な要素技術■■
■超伝導シンクロトロン
高い磁場を作ることが可能な超伝導磁磁石技術を用いることにより、既存の重粒子線治療装置の円形加速器(直径20mから)で大きなスペースを占めている電磁石を大幅に小型化し、約10分の1の設置面積にまで小型化します。
■マルチイオン
悪性度の高いがん領域には、炭素よりも重い酸素やネオンを照射することで、放射線抵抗性の難治がんの治療成績をより向上させるとともに、正常な臓器に近いがん領域には炭素よりも軽いヘリウムを照射することで、副作用を軽減し、照射回数の減少につなげます。
この治療を実現するため、住友重機械工業株式会社と共同で、マルチイオン源の開発に世界で初めて成功しました。このイオン源は、ヘリウムからネオンまでの複数の多価イオンを出力するとともに、イオン種を1分以内で高速に切り替えることができます。また、普及を見据えて病院に設置できるように、永久磁石と半導体マイクロ波増幅器を採用することで、従来型に比べて1/5にまで大幅に小型化し、かつメンテナンスフリー化を実現しました。
・完成したマルチイオン源
■レーザー加速入射器
ビーム加速部とビーム輸送部の総計の長さが30m程度で計画が進んでいる第4世代の重粒子線治療装置(量子メス)の入射器を、レーザー駆動イオン加速という技術を用いて加速部と輸送部の総計5m程度にコンパクト化することを目指した開発を進めています。2023年には、連携企業等との共同でレーザー駆動イオン入射器の原型機の開発に成功しました。この装置は、レーザー加速に必要なレーザー光を発生する「レーザー装置」、レーザー光を標的に照射してイオンを加速する「イオン加速部分」、発生したイオンビームを制御しながらシンクロトロンへ輸送する「イオン輸送部分」で構成されています。(JST未来創造事業の支援を受けて実施)
今後は、原型機を用いて、レーザー装置、イオン加速部分、イオン輸送部分をそれぞれ最適化することで、量子メスに搭載する最終的なイオン入射装置のデザインを進めます。
■高温超伝導回転ガントリー
超伝導磁石技術により、既存の重粒子線回転ガントリー(直径11m、長さ13m)を、それぞれ約半分に小型化し、一般の放射線治療室に設置可能にします。
京都大学、東芝、KEKとの共同研究により開発した高温超伝導磁石(右)は、約2.5テスラと高い磁場による炭素イオンビームの誘導と、安定的な動作を実証しました。高温超伝導磁石は、多様な粒子加速器の小型化、省エネ化につながるだけでなく、広範な分野への波及効果が期待できます。
■マイクロサージェリー・ポート
エミッタンスコリメータにより、従来5mm程度ある治療ビームの直径を、1から3mmまで細くし、その照射位置精度を0.1から1mm程度まで高めます。これにより、良性腫瘍や網膜の加齢黄斑変性症、脳動脈瘤などの血管性疾患、てんかんなどの神経疾患への適応を拡大します。
■■量子メスを核とする「がん死ゼロ健康長寿社会」の実現■■
「がん死ゼロ健康長寿社会」実現のためには、革新的ながん治療開発はもちろんですが、がんの治療中・治療後も高いQOLを維持しながら生活できることが重要です。
また、そういった社会が形成されるためには、高額な医療ではいけません。 QSTでは、高いQOLを維持できる医療を安価に提供するため、小型・高性能な次世代重粒子線がん治療装置である『量子メス』を核に、α線を放出する放射性薬剤を投与して体の中からがんに直接放射線を照射する標的アイソトープ治療の開発にも取り組んでいます。
これらと免疫治療などを組み合わせることにより、手術不要で働きながらのがん治療を可能とし、量子メスを世界に普及させることによって安価ながん治療を世界中の人々に提供する「がん死ゼロ健康長寿社会」の実現を目指して研究開発を推進しています。
JASTRO x COVID-19 平野俊夫先生(QST理事長/前大阪大学総長)講演
出典:https://www.youtube.com/watch?v=A-cs-PddxU4&ab_channel=SatoakiNakamura
671 回視聴 2020/05/17”COVID-19 x IL-6 アンプ x 量子メス” https://jastrocovid19-004.peatix.com/ 昨年末に中国武漢で始まった新型コロナウイルス感染症は瞬く間に世界に広がり世界で370万人が感染し、26万人がなくなった。80%の感染者は軽症か無症状で経過するが、20%は重症の肺炎になり、そのうち20~30%は致死的な急性呼吸器不全に陥るとされている。COVID-19肺炎は劇症の間質性肺炎の様態を呈し、リンパ球減少とIL-6などの炎症性サイトカイン増加などを特徴とする。NF-kBとSTAT3が関与するIL-6増幅回路(IL-6アンプ)の慢性的な活性化は関節リウマチを引き起こし、IL-6阻害薬であるトシリズマブがその治療には有効である。COVID-19においては自然免疫反応とアンジオテンシン2タイプ1受容体シグナルの双方の経路から活性化されたNF-kBと、IL-6により活性化されたSTAT3が協調してIL-6アンプを活性化することによりサイトカインストームが生じていると考えられる。したがって、COVID-19に見られる重篤な肺炎は関節リウマチと同様にトシリズマブなどのIL-6阻害薬で治療できる可能性が大きい。さらに慢性的なIL-6アンプ活性化はがんの悪性化や転移、あるいはがん免疫抑制にも関与している。
QSTでは次世代重粒子線がん治療装置として小型で高性能な量子メスを開発するとともに重粒子線がん治療とIL-6アンプ制御による炎症制御や免疫制御との相乗効果を検討しようとしている。