
■CT、MRI、骨シンチ画像検査の前立腺ガン検出の限界

■新しい画像検査技術
・全身MRI(WB-MRI/DWIBS:ドゥイブス):保険収載
・PSMA-PET:非保険

※千葉大医学部付属病院(千葉大学病院/放射線部)
https://www.ho.chiba-u.ac.jp/dept/houbu/modality/mri
小児領域にて記載
主に頭部や腹部の検査を行っており、生後まもない新生児から撮像することができます。特殊な検査としては、冠動脈撮像や全身DWIBS撮像があります。冠動脈撮像は、川崎病患者に対し造影剤を使用せずに冠動脈瘤の評価を行うことができます。
全身DWIBS撮像は造影剤を使用することなく、全身の腫瘍の検索や治療効果の判定を行うことができます。

■確定診断
・針生検(14本)で腫瘍進展を把握

・生検の問題点

■より生検のガン検出を高める(新しい技術)

↓

<参考情報>
・グリソンスコアの評価例(針生検)

・病理学的指標(再発しやすいガン細胞)

<参考情報>
⇒Gribriformといわれる顔つき悪いガン細胞
⇒IDCP:前立腺にガン細胞がさぁっと入り込む

・全摘手術前に既に転移
<IDCPありの再発率>
⇒3年後:48.6%
⇒5年後:55%

出典:出典:出典:講演1「これだけは知っておきたい、前立腺がんの診断と治療」 成田 伸太郎(秋田大学医学部附属病院 泌尿器科 准教授)
■病期診断
・ステージ診断(CT、MRI、骨シンチ検査に基づいて)
⇒限界がある(ファジーな判定になる)
⇒手術してみないとリンパ節転移は分からない

・CT検査によるリンパ節転移判定の限界
⇒CTでは8mm以上でないと映らない
⇒下図CT画像:左内腸骨12㎜(リンパ節転移の疑いが濃厚)
⇒炎症の場合もあるが

高リスク症状におけるリンパ節転移率の推移と大きさ
・転移の平均的大きさ:1.8mm
⇒大半のリンパ節転移をCT検査で見逃している(再発因子)

・MRI検査の限界
⇒MRI検査で病期はcT3aと評価したが
⇒手術後の標本を調べたらpT2c(MRI検査は過剰診断だった)

・骨シンチ


■BONENAVIで色表示
⇒骨転移部位を赤色表示
⇒骨転移量の程度把握

※BONENAVI
骨シンチグラフィーの画像データから ANN(Artificial Neural Network)、BSI(Bone
Scan Index)、Hs(Hot Spot) の 3 つの指標を算出
・ANN(Artificial Neural Network)
⇒ソフトに組み込まれたデータベースを基に対象症例の異常集積の確率を 0 ~ 1 までの数値で自動的に算出・表現したもので、
⇒1 に近いほど転移がある疑いが濃厚になります。
・BSI
⇒赤で示された転移リスクが高い高集積部位の面積の合計に係数を掛け全体の骨面積で割ったパーセンテージで表示し、
⇒骨転移量の割合を示す指標です。
⇒BSI では 0 %で転移なし、0.5 5 % で概ね転移があり、5 % 超ではほとんど全身に転移があると考えられます。
⇒00.5% では画像を踏まえ慎重な判断が必要となります。
・Hs
⇒全身骨における高集積部位の数で、数値の変動は経過観察や治療効果判定に利用できます。
特に骨転移の頻度の高い前立腺癌では、診断時のBSI、BSI の変化のいずれも全生存率との相関が認
められており、前立腺癌診療ガイドライン (2016 年 )にも BSI の有用性が言及されています。
PSA に加えBSI による評価を行うことで、より正確に前立腺癌骨転移症例の治療効果判定や予後予測が可能となると考えられます。
画像出典:講演5「進行前立腺がん治療におけるPSA検査の落とし穴と画像診断」溝上 敦(金沢大学附属病院 泌尿器科 教授)
<参考情報>

■全身MRI(DWIBS:ドゥイブス)ならガン細胞が発見できた
・従来の画像検査:骨シンチで発見できないガン細胞
⇒限局ガンと判断していた
⇒既に脊椎に転移していたのを見逃していた
※転移部には放射線治療に関する前向き臨床試験(三重大)


・全身MRI(WB-MRI/DWIBS)
⇒保険適用
⇒骨転移が無ければ
⇒骨は表示されない
⇒右図より全部の骨に転移している事が分かる
⇒抗がん剤で対応
※全身MRI(WB-MRI/DWIBS)が出来る施設は極めて限られている。
※DWIBS(ドゥイブス)は比較的新しい検査法であるため、がん発見率など精度についてはデータを蓄積している段階ですが、DWIBS(ドゥイブス)とPET−CTを比較した場合、がんに対する「診断能力に大きな差異はない可能性が高い」とする報告があります*9。
また、2020年には前立腺がんの骨転移を調べる検査として保険診療の対象となったほか、ヨーロッパでは骨髄がんを調べる際に最初に行う検査として認定されています*4。
子宮体がんや卵巣がんなどの転移を調べる検査としても、造影剤を使用したCTと比較し遜色ない結果が得られたとの報告もあり*7、有用性が評価されてきています。
・DWIBS(ドゥイブス)はMRI装置を使用するため、受診にはMRI検査と同等の注意事項があります。
・経験豊富な医師が読影しているかどうか
DWIBS(ドゥイブス)は比較的新しい撮像法であることもあり、画像を読影する医師にはより専門的で高度な知識が必要です。熟練した医師が読影しているかどうか調べるときは、日本医学放射線学会認定の「放射線科専門医」が在籍しているかどうかチェックしましょう。
(出典:https://www.mrso.jp/mikata/862/)

画像出典:講演5「進行前立腺がん治療におけるPSA検査の落とし穴と画像診断」溝上 敦(金沢大学附属病院 泌尿器科 教授)
■全身拡散強調MRI(DWIBS)
・CT、骨シンチに比べ感度が良い
⇒局所再発、および転移(リンパ節、骨、内臓)を同時に診断
⇒治療効果判定、経過観察にも有用

・事例

・DWIBS対骨シンチ比較
⇒右図の骨シンチでは陰性(再発ガンの部位は無し)
⇒一方、DWIBISでは再発部位が表示されている
(1年前に比べ大きくなっている)
※前年にDWIBSで小さなガンの部位が発見され
⇒経過観察の判断がなされた

出典:根治的治療後に再発した前立腺がんの診断と治療 東京医科歯科大学大学院 腎泌尿器外科学 教授 藤井 靖久先生 2020/03/27
■PSMAーPETは保険適用ではない
⇒従来分からなかったガンが確認できる
※PSMAーPETとは前立腺ガン特異膜タンパク質を検出するPET検査
⇒海外で普及している


■新しい画像検査を活用が従来の治療方針を変えさせる

出典:出典:出典:講演1「これだけは知っておきたい、前立腺がんの診断と治療」 成田 伸太郎(秋田大学医学部附属病院 泌尿器科 准教授)
・NCCN分類とD’amoco分類ではリスク評価が違う




■生検で判定された病期診断



<参考情報>


■講演5「進行前立腺がん治療におけるPSA検査の落とし穴と画像診断」
溝上 敦(金沢大学附属病院 泌尿器科 教授)

■骨シンチ(BONENAVI) vs 全身MRI
(ホルモン治療患者例:経過判断で困る事例)
・骨シンチ
⇒PSAが最低値の時に骨シンチグラフィ検査をしていない
・全身MRI(WB-MRI/DWIBS)検査結果
⇒骨転移が無ければ
⇒骨は表示されない
⇒右図より全部の骨に転移している事が分かる
⇒抗がん剤で対応

■別の事例

↓
・全身MRI(WB-MRI/DWIBS)によるオリゴ転移(少数転移)検査
⇒骨部は表示されていない
⇒左図黄色矢印部の推移
⇒PET-CT検査で黄色丸部に癌を確認
⇒外放射線療法(サイバーナイフ)実施





■CRPC(去勢抵抗性前立腺がん)の場合
・3ヵ月一度は画像検査をすべきであると主張されている
※男性ホルモンを抑える治療を行っているにもかかわらず、
前立腺がんが進行している状態

■PSA(アントロゲン応答タンパク質)の生成メカニズム
・T(テストステロン)が
⇒前立腺ガン細胞内の5α還元酵素により
⇒DHT(活性型テストステロン)に変換され
⇒DHTがAR(アンドロゲン受容体)に結合する
・活性化されたAR(アンドロゲン受容体)が
⇒PSAのDNAの核内に結合し
⇒DNAからmRNAになって
⇒PSAというタンパク質になる
⇒最終的に前立腺から漏れたPSAが血管内に流れる

<参考情報>



■再発時のPSA値の基準が異なる理由
・PSAの特性による
⇒生理活性物質で正常な前立腺細胞がPSAをつくるが
⇒細胞がガン化してもPSAをつくる
⇒普通は組織のバリアに守られて血中に出てることはほとんどないが
・ガンや炎症などが起こると
⇒バリアが破壊されて血中に入るようになり
⇒前立腺ガンの診断に使われる
※全摘手術後PSAが上昇すれば、ガン細胞が原因であると想定できる
⇒PSAの値が0.2の微量でも再発とみなされる

<参考情報>

