⑤-4-1.再発リスク

■講演2「治療選択の迷いどころ、限局がんと転移がんの狭間を探る」

井上 貴博(三重大学医学部附属病院 腎泌尿器外科 教授)

出典:https://www.youtube.com/watch?v=MthuYtjdBsQ&ab_channel=%E3%80%9C%E5%89%8D%E7%AB%8B%E8%85%BA%E3%81%8C%E3%82%93%E6%82%A3%E8%80%85%E3%83%BB%E5%AE%B6%E6%97%8F%E3%81%AE%E4%BC%9A%E3%80%9C%E8%85%BA%E5%8F%8B%E5%80%B6%E6%A5%BD%E9%83%A8

限局ガンの2~3割が再発

転移が発見できない

病理学的指標(再発しやすいガン細胞

・Gribriformといわれる

顔つき悪いガン細胞

・IDCP

前立腺にガン細胞がさぁっと入り込む

■全摘手術前に既に転移

・IDCPありの再発率

3年後:48.6%

⇒5年後:55%

グレード5(グリソン分類)場合でも再発が高まる因子

断端陽性

前立腺の切断部の端部にガン細部がある

生検ガン陽性率≧47.2%

⇒生検で10本の針の内5本がガン細部あり

グレード5の予後不良比較

断端陽性生検ガン陽性率≧47.2%の両方の因子を持っている場合

全摘手術前に転移を起こしていると推測される

全身MRI(DWIBS)による検査事例(保険収載)

全身MRI(DWIBS)ならガン細胞が発見できた

従来の画像検査:骨シンチで発見できないガン細胞

限局ガンと判断していた

既に脊椎に転移していたのを見逃していた

※転移部には放射線治療に関する前向き臨床試験(三重大)

PSMAとは

ガン特異タンパク質

ガンの診断に有効になる

正常の前立腺では発現しない

前立腺ガンになると発現する

PSMAに狙いを定めた放射線薬品の開発

■PSMA-PET検査

初期病気診断をより正確に

⇒再発部位をより正確に診断

PSMA-PETによるPSAの値<0.5未満

再発の発見率:約40%

注:再発の閾値(手術:0.2,放射線:2.0)

※PSMAーPETとは前立腺ガン特異タンパク質を検出するPET検査

事例

■放射線治療の選択肢が取れる

ガン細胞の部位が特定できる

ガン細胞の部位が特定できなければホルモン療法になる

手術後の補助放射線療法 vs 早期救済放射線療法 ランダム比較調査

差は無かった

PSAが上昇してきたら治療するとなっているが

⇒参加者に特性が雑多(放射線治療を必要とする/しない)な為

⇒整理された患者特性で比較調査する必要がある

※このランダム比較調査は海外の事例である

<参考情報>

■生検で中・高リスクと判定された場合の病期診断

全身MRI(DWIBS)

全身MRI(WB-MRI/DWIBS)

保険適用

全身MRI(WB-MRI/DWIBS)が出来る施設は極めて限られている

PSMAーPETは保険適用ではない

従来分からなかったガンが確認できる

※PSMAーPETとは前立腺ガン特異タンパク質を検出するPET検査

海外で普及している

出典:出典:講演1「これだけは知っておきたい、前立腺がんの診断と治療」 成田 伸太郎(秋田大学医学部附属病院 泌尿器科 准教授)

■転移ガン

・従来は全身治療=ホルモン治療の一択だったが

より詳細に分析して適切な治療を検討

転移・再発ガンは多様な集団

自分がどのマトリクスに位置にいるかを知る必要がある

去勢抵抗性ガンになる確率(左図)と生存率(右図)比較

・紫色:初診時から転移がある人

根治治療後オリゴ(少数ガン細胞)転移と

根治治療後多数転移では

大きな差がある

■根治を目指せる人の可能性も(?)

根治治療後オリゴ(少数ガン細胞:1個~2個)転移の人

DNA解析

WNTシグナルDNA修復機能遺伝子の変異

骨転移や臓器転移が多い

■転移部位への局所療法の意義

・転移の少ない人

⇒積極的に放射治療・手術を行う動きが出ている

ホルモン療法の開始時期を遅らせる

転移数が少ない(初診時転移あり)人

従来はホルモン治療の一択であったが

前立腺に局所的放射線治療による延命効果が期待できる