■環境保全型農業の今日的意義
敗戦後(1945年)
1,000万人が餓死すると言われたほど、深刻な食糧不足に陥り、
かつ痩せた土地(黒ボク土)に対し、
食料増産を図る観点から、
無機肥料である窒素(N)、リン(P)、カリウム(k:肥料ではカリと呼ぶ)の3大肥料要素を毎年過剰投入し、並行して病害虫対策として積極的に農薬散布を行い、対前年度比で生産増を目指す慣行農法が、全国レベルで急速に広がった。
短・中期的には、
①耕運機を始めてとする省力化機器等の積極的な導入により、
1973年のオイルショックの際には、
石油漬け農業と揶揄されるまでになっていた事を思い出す。
②拡大する都市圏に住むお旺盛な需要を満たすべく、
大規模産地化政策と土地改良政策と相まって更なる生産性の向上をもたらすべく農地の集積化を進めた。
しかしながら、他方で、中・長期的には土壌の劣化(連作障害の頻発)や水質汚染をもたらし、
その結果、生産性の低下や健康被害をもたらした。
注:黒ボク土の分布する面積は国土の31%程度であり、農耕地では畑(普通畑、牧草地、樹園地)として広く利用されている。わが国の畑の約47%は黒ボク土が分布している。
◆Ⅰ.環境保全型農業の立ち位置
『食料生産の持続性』は、
人類生存の基本である事から、
この慣行農法に関する見直しが始まり、環境保全を重視するようになった。
保全方法は多種多様であり、
農薬・化学肥料の減量化した農法もその中に入り、
『環境保全型農業』の開発が始まった。
その立ち位置は、
『慣行農法の前の時代に発展してきた方法』の再導入と
社会の要請(「健康」「安心・安全」は『食品』にとって大切なキーワード)に合った『ブランドの創出』とを結び付ける事で、
農産物の新たな価値を消費者に提供する事にある。
【生態系に配慮した生産基盤整備(滋賀県長浜市)事例】
一例として、
農業生産基盤(区画の整理・大型化・農業水利施設等)の整備は、
自然生態や生態系の保存を配慮(田んぼに遡上できるように魚道の設置)する等、自然環境調和に配慮した整備を県、土地改良区が連携し、推進している。
【滋賀県の『魚のゆりかご水田米』がブランド創出に結びついた事例】
田んぼに遡上できるように設置した魚道を通り、田んぼで産卵・繁殖している状況を確認すると共に、
魚毒性の最も低い農薬(除草剤)を使用するなど、
魚にやさしい田んぼで作られた米を滋賀県が『魚のゆりかご水田米』として認証し、
新しい価値(=ブランド)を消費者に分かりやすく提供している。
有機栽培の特性である収量減(減農薬・減化学肥料)と販売単価アップ・労働コスト増という制約条件下で
ビジネスとして立ち行くための『ビジネスモデル』を構築する必要がある。
その為、段階を踏んだ取組が必要であり、
具体的な絵図を滋賀県環境こだわり農産物認定制度で確認する。
以下3のステップを踏んで最終ゴール(③農薬・化学肥料不使用)を目指している。
①農薬・化学肥料不使用
⇒びわ湖にやさいし農法
②農薬・化学肥料通常の5割以下
⇒環境こだわり農業
③農薬・化学肥料不使用
⇒オーガニック農業(有機JAS認証取得)
オーガニック農業は、品質や収量が不安定な事や労力等のコストがかかる課題がある。
【オーガニック農業の営農特性】
・全国での取組面積は耕地面積の0.5%(H29・推計値)と少なく、滋賀県では全国よりも多いものの1%(H29)程度で、面積にして503ha(水稲247ha、そば233ha、茶7ha、その他26ha)となっている。
・生産量が少なく、小ロットの取扱いとなるため、生産者による直販が中心となり、量販店への流通は少ない状況であり、個々の経営体単位では、新たな販路開拓には限界があり、積極的な生産拡大を行いにくい状況にある。
・有機農産物の農産物売上に占める割合を5%程度増加させる量販店やオーガニック専門スーパーが店舗数を拡大させる動きも出てきた。
【市場別環境こだわり農産物の位置付け】
【環境農業直接支払制度を導入】
【参考情報:有機栽培と農薬を使った慣行農法の経営指標比較】
・有機栽培の収穫率は約8割程度
・販売金額は177%増し
・労働時間は161%増し
有機栽培では労働負担が大きい。
◆Ⅲ.環境保全型農業の管理会計モデル
慣行農法、合鴨有機農法、自然栽培、自然農法水田の採算比較調査事例
資料元:自然栽培農法による地域づくりが成功する社会経済的条件の研究
-経済採算性、マーケティング、学習・ネットワークモデルを中心に-
『創造都市研究e』13巻1号(大阪市立大学大学院創造都市研究科電子ジャーナル)https://creativecity.gscc.osaka-cu.ac.jp/ejcc/issue/view/166
【①比較条件】
・調査実施時期:2017年
・各農法調査を1反(300坪:300×3.3㎡)、「10a=1,000㎡」に設定。
・面積、コスト削減の工夫、農薬の有無、人件費、農機具の減価償却費、損益分岐点売上高、FM比率(固定費の『限界利益(固定費+経常利益)』に対する割合=1年間で固定費を回収するに費やす割合=損益分岐点比率)、農林水産省全国水田経営状況調査データと比較
【②各農法の採算比較】
【価格上昇・下落がもたらす利益&生産量の増減の関係】
・価格上昇率
利益を2倍にするには価格を12%アップさせれば良い。(基準と同じ利益の場合には、生産量が0.5倍で良い)
利益を1.5倍にするには価格を6%アップさせれば良い。(基準と同じ利益の場合には、生産量が0.67倍で良い)
価格を上昇(10%~20%前後)させるだけで経営の利益率が大きく改善される。
・価格下落率
12%下落するだけで利益はゼロになる。
10%下落で利益は0.17倍に低下する。(基準と同じ利益の場合には、生産量を6倍増させる必要がある)
11.9%下落すると利益は殆どゼロ(0.01倍)に近い(基準と同じ利益の場合には、生産量を120倍増させる必要がある)
デフレ経済はいかに社会を疲弊させるかが実感できる。
・高付加価値商品開発の意義
デフレ経済下で価格を上げる事は困難であるが、
付加価値(農薬・化学肥料不使用、農薬・化学肥料通常の5割以下、農薬・化学肥料通常の7割以下等)を付けたり商品のポジショニングを取る事で、価格上昇の仕組みが出来上がれば、それ以降は継続して利益を生み出せるようになる。
参考情報:滋賀県の環境農業直接支払制度による交付金額
【③調査分析結果】
●FM比率:固定費の『限界利益(固定費+経常利益)』に対する割合(損益分岐点比率)
・慣行農法:固定費回収に8割以上を費やしている(1年間の内8割以上の時間を費やす)
・合鴨有機農法:固定費回収に4割を費やしている(1年間の内4割の時間を費やす)
●コスト:慣行農法<合鴨有機農法<自然栽培<自然農法
●販売価格:慣行農法<合鴨有機農法<自然栽培<自然農法
●利益:慣行農法<合鴨有機農法<自然栽培<自然農法
●労働時間・コスト:自然農法は水草等の除草作業に多くの時間を費やす
●農薬・除草剤、肥料の使用:自然農法は一切使用しないので、それに伴う資材費用は掛からない。
●収穫後の天候リスク:自然農法は『天日干し作業』に時間を要し、乾燥機をレンタルしないと乾燥できなくなる。
【④ブランド創出による高付加価値農産物の生産】
合鴨有機農法、自然農法、有機農法は、
人件費等でコストは高くなるが、
それ以上にブランド化に成功し、販売価格が上がれば十分経済的に成立する。
・差別化
⇒認定制度による品質を認め消費者に表示(農薬・化学肥料不使用、農薬・化学肥料通常の5割以下、農薬・化学肥料通常の7割以下)
・高価格化
⇒石川県羽咋市の自然栽培米は
農協の卸価格が約1キロ700円~と
通常の農薬を使う慣行農法の米とくらべれば約2倍の価格で買い取られている。
東京のスーパーではキロ1,000円を超えている(自然栽培米)。
尚、自然栽培農法等は土地の生産力に制約が有るため、大規模な生産化が出来ないが故に、価格競争巻き込まれない特性が有る。
・流通(東京等の意識の高い消費者がいる立地場所)
⇒大手デパートの外商向けとして販売。
・プロモーション(情報伝達)
情報発信の信頼性(滋賀県等の農産物認証制度)に基づいたメディア活用と利用シーンに応じたSNS(Facebook、Twitter、Instagram等)の継続的な情報発信。
「健康」「安心・安全」は『食品』にとって大切なキーワードである。
消費者に確認手段を提供するブロックチェーン技術活用の広がりは、大きな追い風になる。
【⑤各農法について】
・慣行農法
場所:富田林市嬉地区の慣行農法箕浦水田
農機具や光熱費、農薬等の資材費が大きくコストとして浮上した。
これに人件費を加算すると農家の利益はわずかである。
高価な農機具を農家が取り揃える事は負担である。
4月(苗作り)⇒5月(田おこし)⇒6月(田植え・除草剤散布)⇒8月(防虫剤投入)⇒9月(水抜き、水田の乾燥)⇒10 月(稲刈り)⇒11 月(乾燥・脱穀)⇒12 月(販売)。
・合鴨有機農法
場所:富田林市の貴志地区にある合鴨有機水田の浦野水田
4月(苗作り)⇒5月(田おこし)⇒6月(田植え・除草剤散布)⇒8月(防虫剤投入)⇒9月(水抜き、水田の乾燥)⇒10 月(稲刈り)⇒11 月(乾燥・脱穀)⇒12 月(販売)。
・自然栽培
場所:石川県羽咋市の農協の協力により現地調査とヒヤリング調査
聞き取り調査:のと里山農業塾水田
4月(もみ準備・もみまき)⇒4月末(畦畔除草)⇒5月(あらおこし・あら代かき・仕上げ代かき)⇒6月(田植え)⇒7月~8月(草刈)⇒9月(草むしり)⇒10 月~11月(稲刈り・もみおり)
自然栽培圃場年間コスト作業の流れとして、
1)自然栽培圃場年間コスト作業の流れとして、4月にもみ準備がある、羽咋市では前年度のもみを使用する。苗箱は、JAはくいの苗箱を無料で使用、農家は苗を育苗する。4月末になると畦畔の草刈り作業を行う。
2)5月に土おこし作業を行う、作業は荒おこし、あら代かき、仕上げ代かきになるがトラクターで作業を行うため、どの作業も 10 アールなら約 30 分程度で了する。
3)6月に田植えが始まるがそれまでに畦畔除草はしっかり行い、畦畔のメンテナンスをする。自然栽培の水田でもっとも大切だと高嶋氏が教えるのは田植えをしてからの水草の除草作業だという。
4)初期除草をしっかり行えば 7 月 8 月の雑草の生え方のスピードが遅くなり、あとの除草作業が軽減される。7 月、8 月、9 月の水抜きまでは必要に応じ畦畔
除草をし、稲刈りに備える。稲刈りまでのここまでの作業は 1 回 30 分程度の作業になる。
5)10 月に稲刈りをコンバインで行い、11 月にもみおり、乾燥・脱穀作業をする。
6)乾燥は、はくいライスセンターで行い乾燥機を保有していない農家でも乾燥調整費として1俵、1728 円でレンタルすることができる。
・自然農法水田
場所:大阪府富田林市嬉地区の「根っ子の会」が運営する「農業塾」に入塾し調査
4月(もみまき準備)⇒5月(代かき)⇒6月(田植え)⇒7月~8月(草取り作業)⇒9月(ひえとり作業)⇒10月(稲刈り・天日干し作業)⇒11月(もみおり・脱穀)⇒12月(商品化)
1)自然農法水田の年間作業については稲作の経験にもよるが、平均的に草刈り作業が慣行農法と比べたら回数が多い、コスト計算上草刈り作業を換算すると人件費でコストがかさむことになるが、今回は 2017 年度の高橋自然農法水田に於いての実際の作業全てを調査研究した。
2)自家採種ひと手間をかけた苗作り:まず年間作業のはじまりとしてもみ巻きの準備があるが、高橋水田はビニールハウスで育苗するのではなく、実際の水田(圃場)にて田お越し、田なめしを行ったうえで、もみ巻きと育苗をする。水田に於いて育苗をする間は針金で囲ったビニールをかけ、ハウス状にした保護シートで苗を保護する。もみは前年度使用したもみ(自家採種)を使用する。保護用ビニールハウスについてはビニール購入費で 4930 円のコストが係る。さらに作業として育成された苗を取る作業がある。
3)自然農法に大事な代かき作業:5月に行う自然農法の水田に大切な代かきはトラクターで約1時間の作業であった。トラクターのガソリン費用は換算しない。田植えは「田植え機」での作業にて換算する。田植えが終わると5~6日後から毎週水草を除去する草取り作業を行った。8月末までに8回作業をし、毎回 30 分行った。初期除草がうまくいけば後の作業は楽になるが9月にひえとり作業もあり、水草を除去する作業は除草剤をまかないので頻繁に行うことになる。
◆Ⅳ.環境保全型農業に向けた制度設計
環境保全を目的とする農法に移行できるように経営的(金銭的支援)する仕組みが必要である。
【環境支払いの試み】
・環境こだわり農業推進条例と認証基準の概要
滋賀県は、2001年3月に「しがの農林水産ビジョン」を策定し、
『食』『土』『水』『人』4つの元気の創造を目指した環境保全重視の農政の方向性を示した。
また、同年に『環境こだわり農産物認定制度』を発足させ、
2003年、『環境こだわり農業推進条例』の規定に基づいて
知事と5年間の協定を結び、
化学合成農薬・化学肥料の使用量を原則として慣行の5割以下にとどめるとともに、
堆肥などの有機資材を適正に使用し、
更に農業排水を適正に管理するなど、
『環境こだわり農業』を行う農家に対して、
掛かり増し経費として
10a(1a=10m×10m=100㎡。1a×10=1,000㎡:1反≒992㎡)当り最高30,000円(施設栽培野菜・果樹の一部)、最低2,000円(ナタネ)、水稲では農薬・肥料5割以下使用の場合には,3haまでが 5,000 円/ 10a,3ha 超過部分が 2,500 円の交付金を支払う。
環境こだわり農産物が 7,500ha に拡大したと仮定して,予算総額の上限を3億 7,800 万円としている。
この制度の特徴は、
第一にその目的が琵琶湖の水質改善と安全な農産物を提供するという環境・消費者視点にたっていることである。
第二に、条例と目的に基づいて農業者たけではなく消費者,流通業者,行政とが一体となった取組となっている。
第三に目的を実現するために,年次別の目標面積を設定し,個人認証たけではなく,集落,生産組織単位等の認証を認めている。
注:環境こだわり認証制度と実施協定への参加は,2004 年度(H16)の協定面積は、2,540ha であり,当初予算である1億 700 万円では不足し,補正で1億 2000 万円を追加した。2005 年度(H17)は7月現在で4,282ha 余りであり,予算額2億5千万円を超えている。そのため,上限額に近づいている。
第四に,申請した農業者と県知事とのあいだでは協定に基づき,それぞれの責務を分担している。したがって、生産者は栽培基準に基づく生産を認証面積通り生産することが求められている。
2004年、滋賀県が独自の環境支払いに踏み切り、
農林水産省は2007 年度から農業環境直接支払制度を導入する意向を明らかにした。
・滋賀県の環境こだわり政策の展開と推移の概要
1979年(S54):琵琶湖富栄養化防止条例の制定。
武村知事は、合成洗剤に入っているリンが琵琶湖を汚染するとし、水質を規制する「富栄養化防止条例」を制定、「台所から滋賀県の環境を考えよう」と石けん運動をおこした。(武村知事:1974年~1985年)
1997年(H9):従来の『航空防除は必要である』政策から『航空防除から地上防除への転換』を市町村の要請。
この結果、1997 年を最後に、有人ヘリコプターによる水稲の航空防除は滋賀県から姿を消した。滋賀県農政の環境重視への転換を物語る象徴的な出来事であった(稲葉知事:1986年~1997年)
2001年(H13):しがの農林水産ビジョン』を策定。
この中で、環境にこだわった農業を展開するために、「しがエコ農業」を推進することが宣言され、「環境こだわり農産物認証制度」は、2001 年度から早速始まった。
しかしながら、「環境こだわり農産物」は思ったほど有利販売できるものではないことが次第に明らかになっていった。
2003年(H15):『環境こだわり農業推進条例』制定により環境支払いを実施。(國松知事:1998年~2005年)
2007年(H19):農地・水・環境保全向上対策
2009年(H21):取組面積13,149ha(内国制度の活用11,352ha)
2010年(H22):18,000ha(2015年:H27)を目標に推進計画を改訂(嘉田知事:2006年~2014年)
2018年(H30):国連が新たな開発目標として掲げるSDGs(※)を県政に取り込むことを、全国に先駆けて宣言。
注)SDGs:持続可能な開発目標の意味。2015年9月の国連サミットで採択された、2016年から2030年までの国際目標
環境を保全・再生しながら経済を成長させる「琵琶湖モデル」に世界が注目(三日月知事:2014年~2020年現在)
琵琶湖の環境を守る中で培われてきた技術やノウハウは、琵琶湖発の取組として、海外の海や川、工業団地といった様々な場所に応用できる可能性を秘めている。
江戸時代に各藩が競って特産物の育成をしたように、
地域独自の地場産業の育成と世界から求められる独自技術の提供がゴール設定になる。
◆Ⅴ.慣行農法と環境保全農業のギャップを埋める現実的なアプローチ
個人が週末に行う家庭菜園規模(7m×7m=49㎡)では、
人力が中心で無農薬・堆肥(牛ふん等)、追肥に少量の化学肥料の使用で済み、
環境保全型農業の最終ゴールに近い環境を実践出来ている。
一方、慣行農業の営農レベル1ha(100m×100m=10,000㎡)以上(大規模産地を含む)と
家庭菜園レベル(7m×7m=49㎡)には大きなギャップが存在するが、
それを埋める事例として
キューバの『都市農業』や
滋賀県の『環境こだわり農産物認証』等は
道しるべとして参考になる。
◇キューバ農業における農薬使用量の変遷と都市農業生産の推移
1998年の冷戦終了により、キューバは食料危機に直面し、大規模国営農場が解体され、『小規模化』する農業改革がなされ、都市部に住む多くの人々が、家庭菜園をするきっかけにもなり、有機農業転換への一助となった事例は、今日の世界各国の都市住民にとって参考となる雛形であり、示唆に富むと考える。
1989年の農薬の使用量は9,740トン、
➡1995年には4,124トン、➡2000年には3,213トン、➡2005年には2,558トンにまで激減している。
他方、都市農業生産の推移は、1989年はゼロ、
➡1995年には40,000トン、➡2000年には1,680,000トン、➡2005年には4,110,000トンにまで急激的に激増している。
都市農業生産は、2005年の農産物合計の9,646,785トンの43%を占めるまでになった。
◇滋賀県環境こだわり農産物認証事例
詳細内容は、
メニュー『環境保全型農業が取組むブランド創造事例と環境破壊がもたらすブランド喪失』の■■環境保全と土壌管理を結び付けた『安全で栄養価が高くて美味しい』ブランド創造 にて記載。
【世界における有機農業の急速な拡大】
欧州委員会では
2020年5月に『欧州グリーンディール』として
2030年までの10年間に
・農薬の50%削減
・化学肥料の20%削減
・有機栽培面積の25%への拡大
等を明記した。
EU政府を動かし、トレンドを強化したのは消費者抜きに語られない。
注:EUへの有機農産物の輸出の第1位は中国。
■■循環型農法(=オーガニック農業)の営農上における開発の困難性と家庭菜園ブーム
循環型農業の立ち位置は、
慣行農法の前の時代に発展してきた方法を土台にしており、
土壌の生産力を超えない収穫量が原則である為、
反(≒1,000㎡:10a)当り生産量は慣行農法に比べるとかなり少なくなる。
従って、ビジネスとして立ち行くための『ビジネスモデル』を構築する必要がある。
自然生態系と調和した農法であるが故に自然環境や農作物についての観察力・知恵、更に人力も必要になる。
この為、自然循環型農業が占める面積は日本で1%未満である事からも分かるように、農業経営上の困難さは循環型農業(=オーガニック農業)を遅らせている。
一方、個人が実践できる家庭菜園規模(7m×7m程度)なら、容易にオーガニック農業を実施できる。
家庭菜園ブームの世界的な広がりで、多くの個人が週末に楽しめるオーガニック農業の広がりによる市場規模の拡大化は、専業農家の参入を促し、同時に米国のウオールマートが積極的に取り組んでいるブロックチェーン等のピア・ツー・ピア技術は、世界的なトレンドになり始めている。それらの技術活用の社会的な広がりが、より参入障壁を低くさせ、そのインフラに相乗りした自立した(補助金無し)中小規模の営農層が、その後に続くようになると思われる。
新型コロナ収束後の世界は、
人々の意識を随分変え、一気に舵を切り、
遠い先にあると思われた将来が、身近に迫るようになると感じている。