■粒子線(重粒子・陽子線)治療の保険適応内容に関する注意事項
※手術による根治治療が困難ながん種が多い
※限局したリンパ節転移・再発(他の部位に転移がないもの)
【前立腺がんの保険対象条件】
⇒手術による根治治療が困難が前提にならない
⇒限局性及び局所進行性前立腺がんのみが保険対象
但し、転移を有するものを除く
<参考情報>

■X線・陽子粒子線・炭素粒子線治療成績比較
【5年PSA制御率(%)】
・高リスク:X線治療が低くなる
【前立腺がんの副作用】
・尿路障害:X線治療が高い

※有害事象(副作用)に関する詳細な比較内容が不明。結論のみ。
・直腸への副作用対策例


■前立腺がんに対する陽子線治療結果事例(日本での一例)
・前立腺がんの5年生化学的非再発率(PSA検査)
【限局がん】
⇒中リスク迄:97.0%
⇒高リスク:91.0%
⇒超高リスク:83.1%

<参考情報:がん細胞のDNA切断:X線の場合>



<参考情報>
■生物学的(治療効果)の違い
・炭素線(≒3.0)>>陽子線(1.1)>X線(1.0)
⇒炭素線(重粒子線)は3倍のDNA切断能力が有る
⇒副作用も陽子線に比較して3倍高くなる
※副作用の観点から重粒子線は
⇒陽子線と同じレベルまでDNA切断性能を低減するように線量制御
(放射線抵抗細胞は遺残する)
【下表の高リスク前立腺癌の長期治療成績比較】
⇒IMRT(X線:非画像誘導)の全生存率:82%
⇒重粒子線の生存率:76%
※陽子線と同じレベルまで重粒子の線量を約1/3まで減らしている?
⇒だから両者の成績がほぼ同等になるのも不思議ではない
「前立腺がんにおける各種放射線療法の使い分け〜本当のところは?〜」 溝脇 尚志 先生の発言(京都大学大学院医学研究科 放射線腫瘍学・画像応用治療学教室 教授)


<参考情報>

■炭素線(重粒子線)と陽子線の違い
・拡大ブラッグピーク(がん病巣領域に合わせる)
⇒陽子線は終点の勾配が急峻(正常組織部への影響が少ない)




・腸(リスク臓器:穴が空く)に
⇒線量が当たらないようにスペーサー留置
⇒16回照射(倍の線量照射)






出典:https://www.youtube.com/watch?v=0AoOnX4N_H0&t=12s&ab_channel=SatoakiNakamura
WØW!010:放射線治療の進化 粒子線治療 講師:出水祐介(神戸陽子線センター)
■局所線量増加と尿路・直腸副作用

■副作用比較
・下段(3度)が本当に困る副作用

■京都大学でのIMRT(X線)治療成績


■放射線抵抗性細胞

■陽子線と重粒子線の両方で治療できる兵庫県立粒子医療センター
・前立腺がん:陽子線治療のみ
⇒理由があって陽子線に決めている
(沖本院長談:2024年9月1日)

◆2021年度から炭素イオン線治療(重粒子)数が増加
・安全に重粒子線治療が出来るノウハウが
⇒蓄積されてきた背景があるので
※重粒子と陽子線のどちらを選ぶか?
(安全性確保の運用体制が出来ると)
⇒重粒子の利点を選択
【DNA損傷の自己修復機能】
・正常細胞は自己修復機能が高い
・がん細胞は自己修復機能が相対的に弱い
⇒細胞死(アポトーシス)を導く




・放射線治療の体系

■従来の放射線(X線:IMRT等)治療 vs 陽子線治療
・放射線(X線:IMRT等)
⇒身体を突き抜ける
⇒正常な組織(突き抜けた組織)にもDNA損傷を与える

・相対線量%と深さ㎝(線量が届く長さ)の関係

<参考情報>


◆陽子線治療
・陽子線が
⇒特定の部位(例:前立腺)の後方で寸止め

・相対線量%と深さ㎝(線量が届く長さ)の関係


・陽子線治療
⇒左右から別々に照射


・線量分布(照射範囲)比較




※最新の保険適応内容を確認する事
⇒細かな制約の有無も確認の事
⇒更に、将来の保険収載動向にも注意を払う事
(噂レベル:2年後に食道がん(但し、高齢者)が保険収載?)






<参考情報>
・陽子線なら心臓・肺を避けて照射


・食道がん放射線治療後の副作用死
⇒隣接する心臓・肺に放射線が照射された結果事例
⇒副作用(X線治療の限界)の発生

・肺がんへの照射範囲比較
・IMRT(強度変調放射線治療)vs 陽子線治療





■心臓への影響
・陽子線の特性(線量深度の寸止め)を活用する事で
⇒心臓への線量軽減で
⇒心臓疾患の発祥割合を低減

<がん保険のオプションである先進医療保険特約>

※各保険会社が提供する「がん保険のオプション(先進医療保険特約)内容」を確認する事
・陽子線治療の治療回数は部位により異なりますが、
⇒全体の費用の自己負担額分(通常の3割計算、約500,000-800,000円)を
⇒陽子線治療の開始日に一括でお支払いいただくことが原則となっています。
⇒「限度額適用認定証」という制度を利用すれば定められた限度額の支払で済ませることが出来ます。
⇒治療の開始日までに保険証の発行元にて「限度額適用認定証」を発行してもらい保険証確認窓口にお持ちください。
⇒ただし、70歳以上の方は原則として上記の申請が必要なく自動で限度額が適用されることとなりますが、詳しくは各市町村にお問い合わせください。

※フォーカルセラピー(部分治療)は保険適応外

■陽子線における前立腺がん治療割合

■手術が体力的に難しい75歳以上の陽子線治療患者割合
・超高齢者でも治療対象になる
⇒保険適応(高額医療保険:廉価で治療が可能)

※メディポリス国際陽子線治療センター
出典:第8回 仙台医療センターがん診療連携講演会第「保険診療化が進む陽子線治療」 2022年10月18日
■日本の陽子線・重粒子線設置施設のがん治療における歪んだ運用
・陽子線、重粒子線共約50%が「前立腺がん」に使用
⇒保険収載との関係もあるが
⇒手術・IMRT(強度変調放射線治療)で難しいがん種が少ない
⇒肺がん、食道がん、肝臓がん等

・がんの罹患数と死亡数
⇒肺がんの推移に注目

・前立腺がんの放射線治療法

<参考情報:兵庫県立粒子線医療センター>
■陽子線装置と重粒子線装置の両設備がある
・前立腺がんは陽子線治療のみ
⇒理由があって陽子線に決めている
(兵庫県立粒子線医療センター 沖本院長(2024年9月1日)の
「あきらめないがん治療-粒子線治療講演会-後編での発言)


■直列 vs 並列電池の機能で概念説明
・一部がダメになっても機能するかどうか




■陽子線治療と重粒子線治療との違いについて
出典:【中部国際医療センター】医師特別講演|「新しい放射線治療」~陽子線治療~ 陽子線がん治療センター 施設長 不破 信和 医師 2023年10月1日

■質量比
・陽子線:1
・重粒子線:12

■がん細胞のDNA切断効果について(生物学的の違い)
・黒い線がDNA

<参考情報:がん細胞のDNA切断:放射線の場合>

■DNA損傷の自己修復機能
・正常細胞は自己修復機能が高い
・がん細胞は自己修復機能が相対的に弱い
⇒細胞死(アポトーシス)を導く

■生存率比較の一例
・肝癌 陽子線 vs 炭素イオン線(重粒子線)
⇒差が無い(過去のものを照らし合わせ結果)

・頭頚部悪性黒色腫 陽子線 vs 炭素イオン線(重粒子線)
⇒差が無い(過去のものを照らし合わせ結果)

※兵庫県立粒子線医療センター:陽子線装置と重粒子線装置の両設備がある
■重粒子線治療事例
・DNA切断の生物学的効果は高いが(約3倍)

・照射位置合わせがズレると
⇒DNA切断効果が高いので
⇒喉頭軟骨に穴が明いた(正常な組織)
⇒放射線、陽子線では穴が明いた事例を知る経験は無い
※進行肺がん、食道がんは陽子線治療が良い(不破 信和 医師)

・喉頭癌に対するX線治療の線量分布
⇒全国での標準治療との事(不破 信和 医師)
⇒赤線(喉頭がん領域)以外の周辺にもX線が照射される

・放射線治療による周辺部の副作用(両側総頚動脈狭小化)
⇒ステント挿入例

・陽子線治療例
⇒両側総頚動部に照射されていない

・治療後

・海外の医学雑誌に紹介された


<参考情報>

■国立がん研究センター東病院 放射線治療科「陽子線ラインスキャニング照射法」のご紹介【国立がん研究センター東病院】
■陽子線ラインスキャニング照射法
・2015年10月より、前立腺がんにおいて、
⇒複雑な形状の腫瘍に対応できる「陽子線ラインスキャニング照射法」による治療を開始。
⇒従来の方法よりも直腸の線量を下げることが出来、有害事象の低減が期待されております。

<参考情報>

※保険適応:2018年4月1日より、限局性及び局所進行性前立腺がん(転移を有するものを除く)
■陽子線をがんの形に合わせる技術
・加速器から取り出されたビーム
⇒1cm程度(半値幅、概算)であるのに対し、
⇒がんは直径10cmを超える場合もあります。
・様々な大きさと形のがんに対応するため、
⇒陽子線と
⇒「塗りつぶす」スキャニング法と
⇒「広げて切りとる」散乱体法が使われます。
・スキャニング法は
⇒陽子線をより腫瘍の形に一致して形作ることができるため、
⇒より副作用の少ない治療が期待できます。
⇒一方で高度な制御技術を要するため、
⇒当院では現在、前立腺のみを対象としています。

■ブロードビーム
・陽子線がリッジフィルタ当り中性子が発生
⇒がんの原因の可能性も有り
⇒若い人はスポットスキャニング法機器の治療が良い




出典:https://www.ncc.go.jp/jp/ncce/clinic/radiation_oncology/consultation/pbt/system.html
<参考情報:Microsoft Copilot回答>
■陽子線ラインスキャニング照射法(Proton Line Scanning Irradiation Method)
・がん治療において非常に効果的な技術
⇒この方法は、従来の拡大ビーム照射法とは異なり、
⇒細いペンシル形状のビームを使用して、がん細胞の形状に合わせて三次元的に照射
【主な特徴】
1.高精度な照射:ペンシルビームを使用することで、がん細胞の形状に合わせた精密な照射が可能です。これにより、周囲の正常細胞への影響を最小限に抑えることができます。
2.ランニングコストの低減:拡大ビーム法で必要とされるビーム成形器具(ボーラスやコリメータ)が不要となるため、コストの削減が期待されます。
3.短縮された照射時間:ラインスキャニングは、スポットスキャニング照射法と比較して照射時間の短縮が見込まれ、呼吸で動く臓器への治療にも効果が期待されます。
【臨床応用】
この技術は、前立腺がんなどの治療において既に使用されており、今後さらに多くのがん治療に応用されることが期待されています。
【具体的な手順】
1.治療計画: CTやMRIなどの画像データを基に、放射線腫瘍医や医学物理士が治療計画を立案します。
2.固定具の作成: 治療中の体の動きを抑えるための固定具を作成します。
3.ペンシルビームを使用して、がん細胞の形状に合わせた三次元的な照射を行います。
この技術は、がん治療の新たな可能性を広げるものであり、今後の臨床成績向上や適応拡大が期待されています。
■交通アクセス


■陽子線照射 vs X線照射特徴(10年前の動画情報)
■陽子線照射範囲
・狙いのがん細胞の位置(範囲)の場所の線量(出力値)
⇒最大値にする事ができる
⇒拡大ブラッグピーク
・狙いの位置で線量を止める性質がある
⇒不要な部位(正常な組織細胞)に照射しない

■X線照射範囲
・身体に届く時が最大の線量(出力値)
⇒身体内部に進む(深さ方向)につれて
⇒段々線量(出力値)が減衰していく
・狙いのがん細胞の位置(範囲)の場所
⇒線量がかなり減衰
・身体を突き抜ける性質がある
⇒X線を照射したくない部位(正常な細胞組織)に照射
⇒身体に害を与える

・X線照射法による線量集中例


■動きのある領域
・呼吸同期照射

■陽子線治療のリスク

■前立腺がんを対象とした副作用

■重要なもの
・急性期(治療期間中~治療後6ヵ月)
⇒排尿障害:頻尿・夜間頻尿、尿意切迫、排尿痛等・・必発
・晩期(治療後6ヵ月~数年)
⇒膀胱出血:血尿(1~5%)
⇒直腸出血:血便(1~5%)

■副作用低減化の照射法(照射方法の工夫)
・散乱体法からスキャニング

【スキャニング】
・照射したくない範囲(領域)への線量低減

(従来の方法:ブロードビーム法)
・照射したくない範囲(領域)も線量が減らせられない

【スキャニング法】
・照射したくない領域への線量が低減
⇒右図のマル領域にて線量低減が図られている

■領域毎に線量の濃淡が可能(スキャニング法)
・スキャニング法の概念を例示すると

出典:【信州の医療最前線】 「陽子線が変えるがん治療! ~日常生活をおくりながら治す~」2016年2月27日(日) SBC 信越放送
■がん陽子線治療とその保険適用拡大について


■陽子線治療の特徴
・放射線治療における
⇒メリットが上昇
⇒ディメリットが低下

■20年前のX線治療による晩期障害
・神経部に障害が出て左手動作不良












・4年無再発生存率
⇒各リスク別


■照射線量
・前立腺がん
⇒63Gy~79Gyが必要
・放射線発がん
⇒低線量域(1Gy)でも起きる(広島・長崎の原爆経験)
⇒陽子線は2方向のみ(低線量域の体積が少ない)
⇒X線IMRTは多方向から照射(低線量域の体積が多い)
※若年層では陽子線治療が望ましい

・将来の発がんリスクを考えれば陽子線






<参考情報>














・進行分類表









・陽子線の特徴を生かす
⇒両眼部及び脳部に線量が照射されない
⇒失明・脳障害回避

・3方向照射




■