⑤-4-2-8-1.進行前立腺がん治療におけるPSA検査の落とし穴と画像診断 溝上 敦(金沢大学附属病院 泌尿器科 教授)

出典:https://www.youtube.com/watch?v=5_ms8jOo6mU&t=1378s 2023年11月23日

超高リスクの患者に対して放射線治療・手術をどうするか

精のう浸潤T3b)、膀胱浸潤T4

放射線(外部・内部照射/HDR)しても再発率は高いというのが現状だろうと思う

それに対して積極的に手術を勧めていない正直に言うと再発率が高い

高リスクであるT3a(被膜外浸潤)患者に対してさえも放射線治療を勧めている

<参考情報:ステージ分類とTNM分類>

勧めている放射線治療

HDR(高線量率ブラキーセラピー)

⇒1回に組織内照射を13グレイ照射する(寡分割照射の極み

外部照射に換算すると60グレイ位に相当する

それでも足りないので外部照射を40グレイ近く行う

⇒トータルで外部照射に換算すると

100グレイ相当になるエネルギーでがん細胞をやっける

精のう浸潤T3b)で2年間ホルモン療養併用を勧めている

MRI画像で明らかに精のうに浸潤しているのが

泌尿科の医師・放射線技師なら誰でもが分かる(左上図)

この状態で手術したらならば多分7割~8割で再発する位の浸潤度合

ホルモン療養でがん領域を小さくなったところで

組織内照射を行う

⇒精のうまでの放射線照射エネルギー分布図(下図)

画像上で見える範囲までは確実に放射線照射ができるやり方

■成績

こんなに成績が良いの?と一般の泌尿科の医師・放射線技師は思う位のデータ

T3a(被膜外浸潤/高リスク)で8年間で90%の方が再発していない

T3b(精のう浸潤/超高リスクでさえも8年間で90%の方が再発していない

T4膀胱浸潤/超高リスク8年間で70%の方が再発していない

かなり成績が良いのではと金沢大学附属病院 泌尿器科は思っている

<参考情報>

■小線源療法は以下2種類ある

・HDR

体内に高線量の放射性物質であるイリジウム192のシード(線源)を、一時的に留置する方法(高線量率組織内照射

・LDR

低線量のシードであるヨウ素125を永久留置する方法(低線量密封小線源療法

の2つの治療方法がある

CAB治療(Combined Androgen Blockade:併用アンドロゲン遮断療法)とは(Copilot回答)

前立腺がんの増殖源である“男性ホルモン(アンドロゲン)”を最大限に抑えるために、

⇒ ① LH-RHアゴニスト/アンタゴニスト(注射)+ ② 抗アンドロゲン薬(内服)を併用する治療法です。

主な副作用

CAB治療は男性ホルモンを抑えるため、更年期様の症状が出やすい。

  • 乳房の腫れ・痛み(21〜32%)
  • ほてり(ホットフラッシュ)
  • 性欲低下・ED
  • 筋力低下・疲労感
  • 骨密度低下(骨粗鬆症リスク) → 骨密度検査や予防薬が推奨

<参考情報>

<参考情報:トリモダリティー治療を受けられた山口氏の治療風景>

・ホルモン治療

内照射:高線量率組織内照射(HDR)

・25本の針を前立腺組織内に刺して放射線照射

・外照射:高度変調放射線治療(IMRT)/25回

ホルモン治療2年間治療

出典:「 がん医療フォーラム 2023」 活用しよう!相談と支え合いの場 基調講演3:「医療記者、そしてがん当事者として」 山口 博弥(読売新聞東京本社 編集委員)&⑤-4-3-2-3-3.HDR小線源治療(高線量率組織内治療)/超高リスク(精のう浸潤T3b、膀胱浸潤T4)のトリモダリティー治療~溝上 敦(金沢大学附属病院 泌尿器科 教授)~

転移性の進行前立腺がん

■BONENAVI(ソフト)

赤色で転移部を表示

骨シンチグラフィ画像を解析し

骨転移の有無や量を客観的に評価する診断支援ソフトウェア

特に前立腺がんや乳がんなどの骨転移の診断、治療効果の判定、予後予測に用いられている

BSI式による骨転移量を評価

⇒PSAが808で、BSIの値は1.54%時にホルモン療法によって(CAB:従来のビンテージホルモン療養)PSAが4.0に低下したが

⇒再燃して2nd ARSI アビラテロン(薬品名:ザイティガ)というホルモン薬を使用

⇒一旦PSAは低下していったが

⇒PSAが60.9に上昇した時、BSIの値は0.9%

骨転移量は?

一見、BSIの値は1.54%⇒0.9%に低下しており

赤色表示も少なくなっているが

本当にそうなのか?

この画像の問題点は

PSAが最低値の時に骨シンチをしていなかった

良くなった骨転移(BSIの値0.9%)なのか

PSAが最低値の時の骨転移(BSIの値0.9%)がより低い値だったのか?

それとも悪くなっていった状態がこの結果(BSIの値は0.9%)になっているのか

全然検討がつかない

全身MRI(DWIBS)検査を実施

普通MRI検査では骨(骸骨)は見えない

下図(びまん性骨転移)ではしつかり骸骨が見える

全ての骨に転移している事が分かる(全身MRI(DWIBS)検査の威力)

極致の骨転移の状態である

2nd ARSIであるホルモン療養が効かなくなった去勢抵抗性前立腺がんCRPC)

直ぐに抗がん剤治療であるドセタキセルを治療開始

⇒薬剤が効き、QOLも良い状態で治療ができた

去勢抵抗性前立腺がんCRPC)の5年生存率53.4%

全身MRI(DWIBS)検査

■別の事例

金沢大学附属病院に転院

全身MRI(DWIBS)検査を実施

⇒2nd ARSI エンザルタミド(薬品名:イクスタンジ)というホルモン薬を継続

⇒PSA値 0.14→0.36に上昇

⇒黄色の矢印先が黒く大きくなっている

⇒PET-CT検査で活動性であると判明

⇒サイバーナイフ(SDRT:寡分割照射)後にPSA値 0.006以下になった

以降、3年間エンザルタミド(薬品名:イクスタンジ)を服用で経過観察中

・別の症例

3ヵ月後の骨シンチで

黒い色部が急激に増加(びまん性骨転移)

組織生検で『神経内分泌がん』(小細胞がん)と確定

・普通の抗がん剤治療は出来ない、多分効かないとの判断で

肺の小細胞がんに準じた治療として

化学療法として『エトポシド(E)』と『シスプラチン(P)』を使用

NSE(腫瘍マーカ)が劇的に低下し、肝機能のAST値も低下

⇒しばらく小康状態が続いたが、また悪化して亡くなった

前立腺小細胞がん(前立腺小細胞癌)は

、前立腺がん全体の中でも1〜2%未満と非常に稀なタイプのがん

一般的な前立腺がん(腺がん)と比較して進行が極めて速く、悪性度が高いという特徴がある

・2nd ARSI エンザルタミド(薬品名:イクスタンジ)、アビラテロン(薬品名:ザイティガ)等のホルモン薬を使用中には

PSA値は低下するので

画像検査でオリコ転移の早期発見が大事である

オリゴ転移には

局所放射線照射治療(サイバーナイフ等)で結構直せることがある

・画像検査は3ヵ月に1回はすべきである

時と場合には臨機応変の2ヵ月に1回の場合もある

一般的な泌尿科医は半年毎と言うが

私(金沢大学附属病院 泌尿器科 教授)は大反対である

<参考情報>

出典:サブタイトル/⑤-4-3-4-1.前立腺がん薬物療法の変遷(Radium223 α線治療を含む)、今に至るまで 坂本 信一(千葉大学医学部附属病院 泌尿器科 診療教授)より関連情報を抜粋

<参考情報>

全身MRI(DWIBS)検査

出典:サブタイトル/⑤-4-2-9.DWIBS(背景抑制広範囲拡散強調画像)検査~従来のMRI、PET-CTとの違い~