⑤-4-3-4-3.去勢抵抗性前立腺がん治療中のQOLと骨転移への早期対応の重要性について~北村 寛 ( 富山大学 学術研究部医学系 腎泌尿器科学 教授)~

出典:https://www.youtube.com/watch?v=WPD-2DMALbQ&t=1872s&ab_channel=CancerChannel

■概念

■男性ホルモン(アンドロゲン)内の

テストステロンが90%占め

精巣から主に分泌される

これが前立腺ガン細胞に入り込み

ガン細胞内のAR(アンドロゲン)受容体が待ち構えている

T(テストステロン)は直接ARに結合するのではなく

T(テストステロン)は5α還元酵素によって

DHT(ジヒトロテストステロン)に変換されて

AR(アンドロゲン)受容体に結合する

ガン細胞の核の中にDNA(2重螺旋)があり

DHTAR受容体がDNA内で

ガン細胞のタンパク質を生成増加をさせ

PSAが上昇し

画像診断でガン細胞が分かるまで成長する

◆ホルモン療法の実態

・T(テストステロン)を除外すれば

前立腺ガン細胞の餌がなくなる

⇒昔は2個ある精巣を除去していたが

現在は薬(ホルモン注射)にて

精巣が無いと同じ状態を作っている

去勢抵抗性前立腺ガン(CRPC)

ホルモン治療が効かなくなる

前立腺ガン細胞を大別する研究が示唆する事

ホルモン療法が効きやすいタイプのガン細胞

ホルモン療法が効きにくいタイプのガン細胞

一つのシナリオ例(CRCPになるまでの過程)

■前立腺がんの転移部位について

圧倒的に骨が多い

⇒特に多い部位は

脊椎、骨盤、大腿骨、助骨

■転移の無いCRPC(去勢抵抗性前立腺がん)の患者(海外データ)

CRPCになってから2年以内(標準的な治療を受けて)に骨転移する割合

⇒33%

・転移が有り、かつCRCP患者の骨に転移している割合

90%

■転移のメカニズム

がん細胞が増えてくると

⇒組織自体が破壊され

色んな所にがん細胞が飛びやすくなるし、

血管の中とか毛細血管の中とかリンパ管の中に

がん細胞が入り込んで

そこから血管とかリンパ管の流れに乗って

⇒色んな所に旅経って(転移)しまう

流れた先でがん細胞の仲間を増やす

・骨転移のメカニズム

⇒血行性転移といって

血液の中にがん細胞が入り込んで

移動し

⇒骨は

前立腺がんにとって居心地が良く

住みついてがん細胞を増やし、範囲を広げる

■骨転移の診断

PSAは上昇する

骨転移のマーカーではないが

◆骨に特徴的な検査方法

・ALP(アルカリホスファターゼ)

一般の血液検査の項目に入れいている病院が非常に多い

骨だけでなく

肝臓の病気でも上昇する

2本採血し、

一本は赤血球、白血球などの血液成分検査

他の1本は生化学、肝臓の機能、腎臓の機能、電解質と呼ばれる体液のバランス

この2本の中で、骨の検査も行える

ガンが正常な骨を壊して

⇒ガン細胞の居場所を作って

骨の転移を活性化、つまり増えて行く際

このALPアルカリホスファターゼが上昇する

同時にPSAも上昇すると

骨転移が悪化しているのではないか?と疑われる

・骨代謝マーカー

⇒BAP、NTx、ICTP等の骨粗しょう症のマーカー

追加でオーダーする検査項目

骨シンチグラフィー(骨シンチ)

・ラジオアイソトープ(放射性物質)を血管注射後、数時間経過すると

ラジオアイソトープが

骨のある所に取り込まれる特徴がある

⇒写真で撮影してみると

⇒黒く墨を落したような影が見える(左図)

その部位が骨転移箇所である

膀胱(一番下の真中:左図)が黒く映る理由

⇒膀胱に

血液を介してラジオアイソトープが流れ着くから

骨の転移ではない

逆に言うと、膀胱以外の黒い部分は骨転移の部位である

◆骨シンチでは

炎症や骨折の部位も黒く映るので

正確な判断をするために

⇒CTやMRIなどの検査と組み合わせて総合的に判断される

■前立腺がんで「骨のケア」が大切な理由

・既に転移しておりホルモン療法を受けている患者は

⇒ADT治療が行われている事が非常に多い

・ホルモン療法によって

⇒アンドロゲン、男性ホルモンが凄く低く抑えられているので

この事によって骨密度が低下する骨粗しょう症になる事が知られている

女性が閉経後に骨粗しょう症になる風に考えて下さい

⇒ホルモン療法をすると4.6%骨量が減少する

健康な男性と比べて約10倍程度減少する

⇒閉経後の女性と比べて5倍程度減少する

アンドロゲンが低下がもたらす身体機能の低下及び合併症

男性ホルモンがホルモン療法によって下がる事によって

骨密度が低下して骨粗しょう症になり骨折するリスクが高くなる

その他として筋肉量が減るとか認知力が低下造血量が低下メタボになる等様々な弊害が起きる

・医師の対応

様々な弊害が起こってこないかどうかを

⇒様々な検査や問診で必ずチェックしている

⇒患者側も例えば筋肉量が減った等を訴える事で

⇒双方の情報交換を密にする事が大事であ

これらの合併症を

⇒早期に発見して対応する事が重要である

■病的骨折とは

がんによる骨転移で

⇒転移部が骨折する事がある

前立腺がんの場合は

⇒造骨性の骨転移と言われている

⇒結構、密集して白くなるような転移なので

骨転移している所がポッキンしてしまう事は無い訳ではないが

⇒他のがん種と比べるとその頻度は低いと言われている

ホルモン療法の影響で

骨粗しょう症骨が薄くなっている状態になっている方が一定の割合で出てくる

そういう方は背骨の圧迫骨折であったり

大腿骨の骨折つけ根部の骨折を起こすリスクが高まる

痛みやじびれの症状は本人以外は気づきにくい

・初期

⇒違和感なの

発見されずスルーされてしまう

この段階で診断したい(医師)

⇒PSA値が上昇すると画像検査もして確認しする事もあるが

⇒それはがんの進行に対するものであって

ホルモン療法の副作用については

初期の段階で発見する事は難しい

患者さん本人からの症状の変化の報告を

非常に重視しているので

⇒主治医には遠慮なく変化を報告するように

・進行

ひどくなると

しびれや麻痺が起こる場合がある

そうなる前に医師は対処したい

■我慢しないで、伝えてください

患者さんの生活の質(QOL)がどうなっているか

⇒医師は良く分からない(推測はできるが?or 個人差によって?)ので

本人の口から家族から伝えて欲しい

特に、痛み、しびれ、麻痺は凄く重要である

患者さんのQOLに直結する

変化があった場合は主治医に伝えて欲しい

痛みの程度うあ日常生活への影響をどのように伝えればよいか?

・痛みの程度の指標

例えば『顔マーク』で段階(程度の具合)を伝える(上図)

・痛む場所はどこか?

・どういう痛みなのか?

⇒ズキズキ、ジンジン、キリキリ、ピリピリ等、これらは実はそれぞれ違う

ドン痛とピリピリというしびれは神経痛なので

出す薬が違う

ここを患者側はうまく表現する力が必要がある

・いつ痛いのか

常に痛いのか、何かをした時に痛いのか、ある特定の時間帯だけか

これによっても薬の処方内容が変わってくる

・日常生活で困っている事

睡眠、食欲、活動性(例:自転車を漕ぐのが疲れる)等

■特に骨転移に関連する治療(ホルモン療法で骨粗しょう症になるとそれに準じた治療)

・骨修飾薬

⇒骨転移による痛み、病的骨折をなるべく遅らせる目的で

⇒一般的に使われる

・整形外科

骨折してしまって本当に外科的な処置が必要な場合

・放射線療法

痛みに対して

除痛目的で放射線治療を行う事は有効とされている

■特に骨転移に関連する治療

・鎮痛薬

最初は麻薬でない薬を使う

骨転移の範囲の広がりが有る人、何処の骨に転移してるかによって

かなり痛みの程度は様々である

⇒段階的に上図のように薬を使う

・第一段階→第二段階→第三段階

患者さんが痛くない程度にまで調整する必要がある

治療が増え、薬が増えることにより

・何か症状が増えてくるかを

⇒主治医に伝える事

■検査は重要であるが

・検査では分からない病態があるので

主治医は患者さんからの情報を待っている

我慢は美徳ではない