■大腸がん、リンパ節などへの転移前に見つかれば5年生存率は8割超…緻密なロボット手術「根治の割合高く」
出典:https://www.yomiuri.co.jp/local/kyushu/news/20260930-GYS1T00037/ 2026年9月30日 読売新聞オンライン
大腸がんの治療の基本は、がんの部位と転移の可能性がある周辺のリンパ節を切る根治手術だ。切った後に残りの腸をつなぎ合わせ、便が通るようにする。がんが肛門近くにあり、機能を残せなかった場合、人工肛門(ストーマ)を造る。
手術は大きく分けて、おなかを切る開腹手術と、おなかに数か所の穴を開けて器具を入れる 腹腔
鏡手術、専用アームに器具を取り付けて操作するロボット支援手術の3種類ある。
ロボット支援手術は、医師が拡大された立体画像を見ながら行う。手ぶれがなく、人間の手より可動域も広がるなどの利点があり、近年急速に広まっている。ロボット支援手術プロクターは、技量や手術実績に基づく学会認定の指導医。在籍数(26年4月現在)の多さは、技術面や安全性など実施体制の充実度をはかる手がかりになる。
粘膜の浅い部分にとどまる早期のがんの場合は、「内視鏡的粘膜下層 剥離
術(ESD)」といった内視鏡治療の対象となる。肛門から器具を入れるので、おなかに穴を開けずに済み、体への負担が少ない。一方、転移が進み、手術できない状態になると、薬物療法が中心になる。
早期発見のため、40歳以上の人は、年1回は便に血が混じっていないかを調べる「便潜血検査」を受けることが推奨されている。
■毎日セルフチェックを
長崎大学病院(長崎市)の大腸・肛門外科には約10人の外科医が在籍し、手術用のロボット3台を運用している。ロボット支援手術は2018年に直腸がんが保険適用され、22年には結腸がんも追加された。こうしたこともあり、同病院でのロボット支援手術の件数は年々増加。18年の17件から25年は122件に増え、手術全体の約半分を占めるまでになった。
ロボットには4本のアームが付いており、うち1本にはカメラを、残りの3本には 鉗子
(はさみ形の手術器具)を装着する。医師は拡大した立体画像を見ながらアームを操作。折り紙が折れるほどの 緻密
な操縦ができるといい、野中隆教授(50)は「安全に精度が高い手術ができ、がんを根治できる割合が高くなった」と説明する。排尿障害、手足の神経障害などの術後のトラブルも少なくなったという。
近年は、若い世代の患者も増加している。一方、大腸がんはリンパ節などに転移する前に見つかれば、5年生存率は8割を超えるとされ、早期発見できるほど、高確率で根治できるという。
野中教授は「便が細くなったり、血便がでたりする初期症状に気づくためにも、日常的に排便状況をセルフチェックしてほしい」と呼びかけている。
■大腸がんの基礎知識〜症状と治療〜
出典:https://www.jcancer.jp/information/colorectal/ 日本対がん協会
■【大腸がんのステージ分類】
ステージ0:がんが粘膜の中にとどまっている
ステージ1:がんが大腸の壁でとどまっている
ステージ2:がんが大腸の壁の外まで広がっている
ステージ3:がんがリンパ節に転移している
ステージ4:がんが血管を通じて他の臓器(肝臓や肺)へ転移、遠隔リンパ節(病巣から遠く離れたリンパ節)へ転移、または腹膜に散らばっている(腹膜播種)
■【大腸がんの深達度による分類】
Tisがん:粘膜内がん
T1がん:粘膜下層に広がっているがん
T2がん:粘膜を超え、固有筋層に広がっているがん
T3がん:漿膜下層にまで広がっているがん
T4がん:漿膜を破って広がっているがん

大腸癌研究会編「患者さんのための大腸癌治療ガイドライン2022年版」をもとに作成
6. 大腸がんの治療
大腸がんの基本は内視鏡治療と手術によるがんの切除です。進行度によっては薬物療法や放射線治療も選択されます。
◆ステージ0~2:内視鏡治療と手術が中心
がんが大腸の粘膜と粘膜下層にとどまる「早期がん」であって、リンパ節転移の可能性が低いと判断された場合には、負担の少ない内視鏡治療が行なわれます。
【大腸がんの深達度による分類】
Tisがん:粘膜内がん
T1がん:粘膜下層に広がっているがん
T2がん:粘膜を超え、固有筋層に広がっているがん
T3がん:漿膜下層にまで広がっているがん
T4がん:漿膜を破って広がっているがん

がんが大腸の壁により深く広がっている場合やリンパ節に転移している場合は
開腹手術や腹腔鏡下手術が標準治療です。
現在では、手術療法のひとつとして、ロボット支援(ロボット制御)による腹腔鏡下手術も保険適用となりました。
◆ステージ3:手術+薬物療法が中心
術後の病理検査で、
切除されたリンパ節からがん細胞が見つかった場合はステージ3と診断され、
再発予防のため薬物療法(術後補助化学療法)が勧められます。
◆ステージ4:がんの治療+症状をやわらげる治療
大腸から離れた臓器(肝臓、肺、腹膜など)にがんが転移している場合(ステージ4)は、転移したがんの位置や症状などをふまえて、手術のほか薬物療法、放射線治療などから治療が提案されます。患者さんのからだの状態によっては、がんに対する積極的な治療よりも、つらい症状をやわらげる治療が優先されます。
出血や腸閉塞などの症状がある場合は、手術で人工肛門を造設することもあります。
大腸がんの進行度と治療方針

大腸癌研究会編「患者さんのための大腸癌治療ガイドライン2022年版」をもとに作成
【再掲示】

7. 大腸がんの再発
5年目までは定期検査を受けましょう
大腸がんの術後再発の95%は5年以内に見つかります。
術後5年目までは3~6カ月に1度の定期検査を受けることをお勧めします。
ただし、リンパ節転移のないステージ0の大腸がんの場合は、術後の定期検査の必要はほとんどありません。
【再掲示】
■【大腸がんのステージ分類】
ステージ0:がんが粘膜の中にとどまっている
ステージ1:がんが大腸の壁でとどまっている
ステージ2:がんが大腸の壁の外まで広がっている
ステージ3:がんがリンパ節に転移している
ステージ4:がんが血管を通じて他の臓器(肝臓や肺)へ転移、遠隔リンパ節(病巣から遠く離れたリンパ節)へ転移、または腹膜に散らばっている(腹膜播種)
【再掲示】

再発する割合
進行度が高くなるにつれて再発のリスクは高くなります。
ステージ1では約5%(結腸がん3%、直腸がん7.2%)、ステージ2では約14%、ステージ3では約29%の方に再発がみられます。5年目を過ぎてからの再発率は、いずれのステージでも1%以下とごくまれです。*4
9. 大腸がんの発生要因と予防
喫煙、飲酒はリスクを上げます。
国立がん研究センターの調査によれば、大腸がんのリスクを上げることが「確実」なのは喫煙と飲酒です。1日あたり20本以上喫煙すると、大腸がんのリスクは吸わない人に比べて男性で約20%、女性で約40%増加することがわかっています。
アルコールについても飲酒量に応じて大腸がんのリスクが上昇します。
その他、日本人では肥満もリスクを上げることがほぼ確実とされており、適度な運動を取り入れることは大腸がん、特に結腸がんのリスクを下げます。
食生活では牛肉などの赤肉やハム、ソーセージなどの加工肉の食べ過ぎが、大腸がんのリスクを上昇させる可能性があると報告されていますが、確実な予防法とはいえません。*5
大腸がんを予防するには、これらのリスク要因をできるだけ避け、バランスのよい食事、適度な運動が大切です。
2. 大腸がんができるしくみ
多くは良性腫瘍( 腺腫 )の悪性化
大腸の内側の粘膜に生じるイボ状のできものである「ポリープ」は、ほとんどが良性です。
しかし一部に悪性腫瘍(がん)、あるいは悪性化する可能性のある良性の腫瘍である「腺腫」が含まれます。
大腸がんで最も多いのは腺腫が時間をかけゆっくりと大きくなり、悪性化してがんになるパターンです。
実際に悪性化するのはほんの一部ですが、できればすべての腺腫(少なくとも直径6mm以上は必ず)を切除することが望ましく、保険診療での内視鏡治療による切除が認められています。
この他にポリープの状態を経ずに、粘膜から直接がんが発生することもあると言われています。
大腸がん検診でおこなわれる「便潜血検査」は、便に付着した微量の血液を検出することによって、がんや大きなポリープを見つける検査です。
便潜血検査が陽性となった人の3~5%で大腸がんが発見されます。陽性になった場合は、がんや腺腫がないかどうかを確認するために大腸内視鏡検査を受けるようにしましょう。
5. 大腸がんの検査(検診・精密検査・治療方針を決めるための検査)
(1)大腸がんを見つけるための検査(大腸がん検診)

日本では、大腸がん検診として、便潜血検査が自治体の対策型検診でおこなわれています。便潜血検査は採取した便に血液が混じっていないかどうかを分析するもので、採取する時間や食事の制限もなくとても簡単な検査です。
国立がん研究センターによれば、大腸がんによる死亡率を70%低下させるという研究結果もあり*3、科学的根拠のある検診です。
この検査で「陽性」と診断されたら、大腸がんが疑われますので、自己判断で様子見などせず早めに診断のための検査(2)を受けましょう。
(2)大腸がんかどうかを診断するための精密検査
大腸がんが疑われる場合に、がんや腺腫かどうかを確定するためにおこなう検査です。検査方法には以下のようなものがあり、状況に応じて選択されます。 これらの検査でがんではないとわかっても、引き続き定期的な大腸がん検診(1)を受けるようにしましょう。

大腸内視鏡検査
肛門から内視鏡を挿入し、大腸を内側から直接観察します。腺腫や早期のがんがあれば切除して組織を採取します。便潜血検査で陽性となった場合、第一選択の検査となります。
注腸X線検査(レントゲン検査)
肛門からバリウムと空気を注入し、X線でがんの病変を確認して、位置や大きさなどを調べます。
大腸CT(コンピューター断層撮影)検査
肛門からガスを注入した状態でCT検査を行い、大腸の病変を検出します。
(3)大腸がんと診断された後、治療方針を決めるための検査
胸部腹部CT検査
X線で体の断面を撮影し、がんと周囲の臓器との位置関係や転移の有無などを調べます。
腹部超音波検査
腹部に超音波(エコー)を当て、がんと周囲の臓器との位置関係や転移の有無などを調べます。
MRI(Magnetic Resonance Imaging、磁気共鳴画像法)
より詳細な検査が必要な状況であれば、強力な磁石と電波を使って、がんと周囲の臓器との位置関係や転移の状況を調べます。
必要に応じてこの他の検査が加わることもあります。